七隈線延伸の新駅開業により
駅近立地を手に入れたキャナルシティ博多
キャナルシティ博多は1996年4月に開業。ショッピングモール、映画館、アミューズメント施設、ショールーム、オフィスの他に、キャナルシティ・福岡ワシントンホテルとグランド ハイアット 福岡の2つのホテルが入る複合施設。
「都市の劇場」をコンセプトに、中央に約180mの運河(キャナル)が流れ、噴水のショーが訪れる人を和ませてくれる。県内外のショッピング客だけでなく、修学旅行生や、インバウンド客が来場し、2017年度には来場者数が過去最高の1700万人となった。
これまで、天神や博多からのアクセスは徒歩やバスがメインで、天神・博多からそれぞれ徒歩約10分という不利な立地をコンテンツや体験で補ってきたキャナルシティ博多。
2023年3月に福岡市地下鉄七隈線の「天神南」駅から「博多」駅までの延伸開業による新駅開業で、駅徒歩約3分の駅近立地を手に入れた。
地下鉄「天神南」駅から「博多」駅、延伸された2つの駅の間に完成したのが「櫛田神社前」駅。新駅は毎年7月に博多祗園山笠が奉納される櫛田神社と、大型商業施設キャナルシティ博多にほど近い場所に完成。
キャナルシティ博多から徒歩3分の地下鉄「櫛田神社前」駅から「天神南」駅には2分、「博多」駅には2分と、天神・博多がより身近になった。
イーストビルを賃貸・商業・宿泊の複合施設へ建替え
駅近立地を手に入れたキャナルシティ博多の次なる一手は「イーストビルの再開発」だ。
イーストビル(地上5階、地下1階建て)はキャナルシティ博多の拡大・増床のため、2期開発として2011年に竣工。リーフウォール緑化システムを施し、日本最大級の壁面緑化(約3,000㎡)が特徴的な建物として、カジュアル衣料品店「ユニクロ」やピザ店「シェーキーズ」など15店のテナントが入っていた。
2023年3月、福岡地所はキャナルシティ博多イーストビルの建替計画を発表、イーストビルは2023年5月をもって閉館している。
将来的には、都心部の洗練されたライフスタイルを実現する商業施設、ハイクラス賃貸レジデンス、短期・長期滞在に対応したサービスアパートメントなどからなる複合施設の開発を予定。
新施設は福岡市地下鉄「櫛田神社前」駅と直結し、キャナルシティ博多本館ともつながる予定など、駅近立地を活かした設計となる。
期間限定で「賑わいと憩いの広場」をオープン
また既存施設の解体完了後、新施設の工事着工までの間、期間限定で賑わいと憩いの広場がオープン(2024年夏を予定)。
スポーツを楽しめる他、仮設店舗の出店、ファーマーズマーケット、テーマ性のあるマルシェ、キャナルシティ博多の店舗とタイアップしたイベントも計画される。
開発予定地で事業が本格化するまでの間の暫定利用が、街づくりの新たなテーマとなる中、この地域に適した広場を設置し、年間を通じて様々なイベントを開催し、地域のにぎわい創出を図るなど、新たな取組も展開する。
アジアの交流拠点として成長を続ける福岡市。
キャナルシティ博多は、天神と博多の中間に位置し、地下鉄「櫛田神社前」駅を利用すれば、どちらにもスムーズにアクセスが可能だ。
コンパクトシティ福岡を使いこなせる立地として、駅近の賃貸レジデンスや、長期滞在に対応したサービスアパートメントの実現に期待が高まる。
取材・文:
(たけいやすのり)