小平市は、首都圏でも比較的早くから西武が開発した学園都市だ。元々、住環境の整った街であるだけでなく、都心からのアクセスも良い。
再開発の遅れで、商業施設などの生活利便性に難があったが、同市の小平駅と小川駅では大規模再開発が進行中だ。
特に小川駅前にはタワーマンション建設が予定されており、駅前が急激に便利になる。今後の周辺賃貸市場への影響も考えられ、注目したい。
学園都市として開発され、高度成長とともに発展した小平市。近年再び人口増加
小平は、都心から26キロの東京多摩地区に位置する。JR中央線からは外れるが、大正末期から昭和初期にかけて、国立とともに学園都市として西武(箱根土地)が開発した。津田塾大、一橋大、武蔵野美大のほか6大学がキャンパスを構える。
高度成長期には、ブリヂストンや日立の工場が置かれ、これらの企業が従業員のために寮や運動場、図書室、遊園地などの福利厚生施設を建設した。文人の愛した武蔵野の自然を残すため、緑化にも配慮し、早くから住環境と利便性のバランスに配慮した住宅地であったといえる。
当時、最先端の設備を備えた鉄筋コンクリートの小平団地が建設されたが、50倍以上の高倍率だった。昭和40年頃、6万人程度だった人口は、10年間で16万人にまで膨れ上がっている。
人口増加は一時期落ち着いたものの、近年ふたたび増加し、人口増加率上位にも顔を出している。20万人に迫る勢いである。
小平市全体の家賃相場は、1Kで5.61万円、2DKでも8.09万円と手ごろである(LIFULL HOME’S家賃相場)。経済的には学生にもファミリーにも住みやすい街であるといえるだろう。
小平駅前北口で進行する再開発
西武線小平駅は、南口は西友などのスーパーや商店もあり開発されているものの、北口は小平霊園に近いこともあり、商業施設も少なく、道路も狭隘であり回遊性に乏しい。現在の駅前は、駐車場や居酒屋、戸建てが混在し、生活利便性に劣る印象だ。
そこで、平成22年から再開発が計画され、平成28年には、三菱地所、野村不動産、東京建物の3社が協力事業者となり準備が進められてきた。
令和4年4月に再開発準備組合が公表した「小平駅北口地区第一種市街地再開発事業概要」によると、小平の顔と言えるような、自然と調和したランドマークを整備し、賑わいを創出することを目標とする。
駅前広場のほか、緑地を整備し、商業施設、公共施設を備えた集合住宅施設の建設を計画している。令和5年9月には都市計画が決定され、令和11年の工事竣工が予定されている。
小川駅前周辺ではタワーマンション建設を含めた大規模再開発が進行
小平市では、西武国分寺線と西武拝島線の結節点であり、JR武蔵野線新小平駅に近い小川駅でも、駅前周辺地区を地域の暮らしの中心地と位置づけ、大規模再開発を計画している。現在の小川駅前は、コンビニや個人商店、駐輪場が点在するのみで、暮らしの中心地からは程遠い。
平成26年に、「小川駅前周辺地区まちづくりビジョン」を策定、小川駅前を駅近くで様々な活動ができる「高度に集約したまち」として再開発するとした。
西武線を挟んで東西の駅前広場を整備し、100メートル級のタワーマンションを建設、街のシンボルとするとしている。
平成30年には、小川駅西口地区第一種市街地再開発事業がスタート。令和2年には再開発組合が設立されている。
再開発組合の計画によると、低層階に公共施設、商業施設、駐車場を備え、高層階を分譲住宅などとする27階のタワーマンション建設が予定されている。
平成30年に、小川駅西口地区第一種市街地再開発事業が本格スタートした。令和2年には再開発組合が設立された。
再開発組合は、低層階に公共施設、商業施設、駐車場を備えた27階のタワーマンションの建設計画を公表している。着工は令和5年の予定だ。竣工されれば、現在の小川駅前の様相は一変する。「高度に集約したまち」として多摩地区郊外の要所となるのか、注目していきたい。
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取材・文:
(さとうえいいちろう)