■下町、木造密集地
前回、地盤で低地の話が出たので、下町、木造密集地のことを書こうと思います。
建築学科の授業で、大学の近くにある根津や本郷の下町の調査をやったことがあります。クネクネと入り組んだ狭い路地、密集した木造家屋。近代都市には無い風情を感じ、集合住宅の設計課題に生かそうとしたことが思い出されます。また飲み会では、根津の古い居酒屋にみなで出掛けました。
木造密集地はモクミツとも呼ばれ、未だに礼賛する方は多くいます。狭い道だって、今では消防も工夫されていて進入できる。こういう下町文化を無くしてはいけないと。最近亡くなった建築家の黒川紀章氏も、著書「 共生の思想 」の中で、都市は古いものと新しいものが混在するから面白いのだ、共に生かすという考え方が重要だといった旨のことを述べています。
ヨーロッパにも、中世の複雑な町並みを賛美することは繰り返しされてきました。自然発生的な道や広場は、近代都市計画のものよりも人間的で優れていると。
パリの町並みは19世紀に相当手を入れて、権力と金で大きな街路を強引に通して現在の姿に至っています。凱旋門、ルーブル、オペラ座などのモニュメントをねらって軸線の強い大...
前回、地盤で低地の話が出たので、下町、木造密集地のことを書こうと思います。
建築学科の授業で、大学の近くにある根津や本郷の下町の調査をやったことがあります。クネクネと入り組んだ狭い路地、密集した木造家屋。近代都市には無い風情を感じ、集合住宅の設計課題に生かそうとしたことが思い出されます。また飲み会では、根津の古い居酒屋にみなで出掛けました。
木造密集地はモクミツとも呼ばれ、未だに礼賛する方は多くいます。狭い道だって、今では消防も工夫されていて進入できる。こういう下町文化を無くしてはいけないと。最近亡くなった建築家の黒川紀章氏も、著書「 共生の思想 」の中で、都市は古いものと新しいものが混在するから面白いのだ、共に生かすという考え方が重要だといった旨のことを述べています。
ヨーロッパにも、中世の複雑な町並みを賛美することは繰り返しされてきました。自然発生的な道や広場は、近代都市計画のものよりも人間的で優れていると。
パリの町並みは19世紀に相当手を入れて、権力と金で大きな街路を強引に通して現在の姿に至っています。凱旋門、ルーブル、オペラ座などのモニュメントをねらって軸線の強い大...
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