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再び「マイナス利回り物件」が登場する可能性

長嶋修さん_画像 長嶋修さん 第227話

2020/9/22 掲載

安倍首相が辞任表明し、世間の話題はこれからの景気や株価などがどうなるかといったことで持ち切り。しかし結論を言えば、何も変わらないでしょう。

正確に言えば「 変えられない 」ということ。なぜならすでに日銀は未曾有の資産を積み上げており、現在の株価や不動産をはじめとする資産価格は、これに支えられているためです。

例えば景気回復を企図して消費減税をするなどの方策が打たれたとしても、あるいはマイナス金利の深堀といったことが行われるとしても、私たちはもう戻れないところまで来てしまったのです。

結果として株価や不動産価格を下げた民主党政権から自民党への政権交代時、日銀の資産はおよそ158兆円でした( 2012年末 )。それが現在は約683兆円( 8月20日現在 )と、実に525兆円も膨らませています。

増えた資産は主に国債422兆円、ETF( 信託財産指数連動型上場投資信託 )33兆円、REIT( 不動産投資信託 )52兆円など。

コロナ禍であらゆる経済指標が悪化し、元の軌道に戻るまで2年程度かかることが見込まれる中、日銀による財政出動や無制限金融緩和などの方策は変更できるはずもなく、ましてや資産の売却などできないでしょう。

もっともそれは日銀のみならず日米欧の中央銀行はすべて同じで、2008年のリーマンショック時のように金融システムを破綻させないため、史上最高に資産を膨らませた中央銀行を救う先は、どこを探してもありません。

出口をどうするのか明確に回答できる者は市場関係者にも当局者にもいないはずで、したがって誰にも止めることもできないのです。



FRB( 米連邦準備銀 )の資産はリーマン時に1兆ドル程度でしたが、リーマン処理で3兆ドル、コロナ後は7兆ドルへと資産を膨張させています。同様にECBは100兆ユーロ程度からコロナ後は550兆ユーロ。日米欧合計でリーマン以降ざっと1,700兆円の資産増加が、現在の金融システムを支えているわけです。

1985年のプラザ合意では、円高によって日本経済の悪化が予想され、財政出動と金融緩和を行った結果、あのようなバブル経済を招きました。株価や不動産などの資産価格は実力を超えて、86年から89年まで毎年300〜500兆円のペースで資産価格が増大しています。

すでに株価や不動産価格はコロナ前の水準をすっかり取り戻し、すでに世界にふんだんにばらまかれたマネーはこれからどこに向かうのか・・・。

金融システムは破綻しない限りにおいて、ふたたび「 資産バブル 」が発生する可能性が高いのではないかと筆者は考えています。いやもう、それはすでに始まっているのかもしれません。

「 強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく 」といわれます。

90年バブルも懐疑の中スタートし、87年ころ楽観に変わり12月29日の大納会に、終値の最高値38,915円87銭を付けたのをピークに翌1990年( 平成2年 )1月から暴落に転じましたが、しばらくのうちは「 また元に戻るだろう 」といった楽観論が大勢を占めていました。

そこから「 失われたウン10年 」をたどることになったのは記憶に新しいところですね。



不動産経済研究所によれば、東京都7月の新築マンション平均価格は8,031万円と、一般人にはおいそれと手の届かない価格にまで到達しており、これ以上上げ余地はないように思われます。

しかしバブル経済ではこうした時、5億・10億レベルのマンションが供給され話題になったものです。その原資は主に暴騰した株式売却によるものでした。収益物件も価格を大幅に上昇させましたが、バブル終盤には「 マイナス利回り物件 」の取引が多く見られました。

利回りマイナスでも流通した理由は「 賃料上昇が後からついてくる 」というものです。コロナ禍の現在こういう話を聞いてもピンとこないかもしれませんが、世の中の雰囲気が変わるのは意外と一瞬だったりします。

いずれにせよ現行の金融システムは持続可能ではありません。いつかくる財政破綻に対し、私たちは備えておく必要があるのではないでしょうか。その前に来るかもしれない本格的なバブルにも。そしてそのあと導入されるであろう新しい金融システムにも。



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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

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不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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