オペレーションがわかりやすい和菓子とかき氷を中心にした軽飲食店を出店し、障がいを持った方が就労の訓練をする場所を作っていきたいと思います。行政からの指定申請を受けて行う「 就労継続支援A型 」という事業です。
知的障がいがあり、同様に就労施設で働いている弟を持つ者として、利用する方やご家族の方に寄り添った運営をしていきたいと思っています。
初めてのことばかりで色々と苦労することばかりですが、新規事業、特に店舗の開店に向けて、不動産賃貸業で培ったノウハウなどがかなり活きました。今回はそのお話を紹介します。
■ 物件選び
店舗専門の不動産仲介業者さんとのやり取りで不動産の専門用語や商慣習をある程度理解していたので、物件情報を見るときなど、業者さんとのコミュニケーションがスムーズでした。
また、テナントオーナーさんの気持ちがわかる部分もあり、各種交渉に役立ちました。例えば、内装工事や役所への認可申請を待つ間、いわゆる「 空家賃 」が発生しますが、その期間( 2カ月分 )の家賃をフリーレント扱いにしていただく交渉に成功しました。
総額で50万近く浮くことになったので、大変助かりました。
■ 内装業者さんとのやり取り
元々は事務所として利用されていたテナントだったため、お客様を入れるイートインコーナーを作ったり、福祉施設としての要件を満たすための設備を入れたりと、それなりに手を入れる事になりました。
DIYの経験からある程度は作業工程を把握しているため、業者さんとの打ち合わせなどもスムーズでした。木材の資材が60cm刻みということでなるべく材料の加工が少なくて済む図面を作成したり、コーキングのし忘れに気づいたりということもありました。
■ 壁紙の施工について
壁紙の施工について、大家の経験上、知っていてよかったこととそれが生きた場面を紹介します。
1)壁紙の施工単価は壁紙を貼るu数で決まる
壁紙の施工コストは「 貼る面積( u数 )×施工単価 」で決まるため、壁紙の種類が1種類を部屋全部にベタっと貼った場合でも各面の色柄を変えた場合でも、費用はそこまで変わりません。そこでいろいろな種類の壁紙を多用することでオシャレな空間を目指しました。
2)量産型クロスと1000番台クロスがある
壁紙でもコストが安い量産型クロスとホテルなどで使われるような高級感ある1000番台クロスがあり、材料価格としては90cm× 1mあたり、300円ほど値段が変わります。
今回はお客様の目にふれる店舗部分は1000番台クロスを使いました。天井に2種類の木目調の壁紙を使うなど、プロの職人さんの技術もお借りして様々な柄を組み合わせ、高級感を演出しました。ちょっと珍しい印象的な内装になったのではと思います。
一方で、お客さんの目に触れない事務所部分やバックヤードは量産型クロスを使うことで、コストを抑えました。
壁紙の指定の仕方も業者さんがなるべくわかりやすいように指示書を作りました。

3)使えそうなものはそのまま使う
家賃が比較的休めの中古戸建投資をしていると、リフォームをするかどうかの見極めが事業上の大きなポイントになってきます。「 やることを決める 」というより「 やらないことを決める 」ことが大事です。
今回の店舗もまさにそうで、壁紙が全体的に少し汚れていましたが、特に破れなどない箇所はクリーニングを行いそのまま利用することにしました。バックヤードにあまり好みでない花柄の壁紙がありましたが、それもそのまま利用することにしました。
内装業者さんからの見積は「 壁天井のクロス張替 計60万 」でしたが、20万円弱にまでコストを圧縮することができました。
■ 施主支給でコストを抑える
室内ドアと消防設備について、施主支給で対応してもらいました。ドアはモデルルームなどで使われたキレイな建具を販売しているリサイクルショップから、1セット1万円ほどで仕入れてきて、現場に配送してもらいました。
消防設備は業者さんから型番を聞いて、ネットで購入しました。誘導灯などは定価だと4万近くするのですが、ネットで同じ型番を探すと7,000円ほどで揃いました。消火器も15,000円の見積でしたが、4,200円でamazonで見つけることができました。
( 消防法に適合するクラス・型番は多種多様ありますので、素人判断での購入は間違えてしまうリスクがあります。必ず業者さんに型番を指定してもらってください )
↓取り付けてもらったドア

スティーブ・ジョブズのスピーチで有名な「 コネクティング・ドッツ 」という言葉があります。日本語で訳すと「 点と点がつながる 」という意味で、過去の体験や学んだことが思わぬ形で現在に繋がってくるという言葉です。
新事業に取り組んでいる最近は、まさにそのような経験の連続です。人生にムダな時間なんてないのだ、と実感する毎日です。