手付の解約と実務上の問題＜解約トラブルその2＞

自ら大家としての経験も有する、不動産・相続トラブルに注力する弁護士の山村が、不動産トラブルを予防するために、実話を基にした解決事例をご紹介します。

1、解約トラブルその2

解約トラブルの第2回目となります。不動産取引としては一番多いかもしれないご相談です。何となくは分かっていると思われる手付解約ですが、手付解約できるかのどうか微妙な問題（「履行の着手」）や、そもそもトラブルになった際の実務上の問題について解説させていただきます！

2、手付解約とは？！

1)手付とは、売買契約締結の際に、買主から売主に前渡しするお金です。たとえば、1億円の売買契約だったとしたら、買主から契約時に500万円を先に支払っておく、その後、決済時に9,500万円を支払う、という流れです。

この場合、「 相手方が履行に着手する 」までは、買主側は手付を放棄することで契約を解除できます。また、売主側は、手付の倍額を支払うことで、契約を解除できます。これらが、手付解除と呼ばれる大まかな流れです。

手付金をお互い無駄に支払いたくないので、双方契約を守るために行動するだろう、という意味合いで設けられる取り決めですね。不動産の場合、高額...