■ 逆転が難しいアメリカ社会と誰にでも可能性がある日本社会
最近の日本では、高額な塾に通わせないと有名中学校や有名大学に入ることは難しいと言われます。しかし、アメリカの有能な人材を世界から集めるシステムに比較すると、それほど厳しいものではないと私は思います。
ニューヨーク・タイムズによると、ハーバード大では親の年収の中央値が16万8,800ドル( 約1,770万円 )、ブラウン大学は20万4,200ドル( 約2,140万円 )に上るというデータもあります。
アメリカの各大学は、通常は以下の5つの要素について合否を判断するようです。
【アメリカの各大学:入試採点基準】
(1)高校の内申書(トランスクリプション)。具体的には学年別、科目別の 成績表
(2)SAT・ACTなど全国統一テストの成績
(3)履歴書。スポーツや芸術の活動、課外活動、ボランティア経験
(4)推薦状( 学校の先生や、スポーツ指導者などに依頼して書いてもらう )
(5)エッセイ( 大学別に指定されたテーマに関してエッセイを書いて提出 )
(1)高校の内申書(トランスクリプション)。具体的には学年別、科目別の 成績表
(2)SAT・ACTなど全国統一テストの成績
(3)履歴書。スポーツや芸術の活動、課外活動、ボランティア経験
(4)推薦状( 学校の先生や、スポーツ指導者などに依頼して書いてもらう )
(5)エッセイ( 大学別に指定されたテーマに関してエッセイを書いて提出 )
私はアメリカの友人たちから、アメリカでは進学のためのスポーツや芸術活動、ボランティア経験などの資格を得るための高額ツアーなどがあり、裕福な家庭でないと参加させるのは難しいという話を何度も聞きました。
私の個人的な見解ですが、アメリカの入試制度は日本以上に「 何も取り柄のない学生 」にとって厳しいものになっています。そして、その取り柄はある程度、親の年収によって左右されるという現実もあるのです。
アメリカのIT業界、金融業界などでは、世界から超優秀な人材を集めるシステムが徹底されています。親がお金、時間を子供に投資をして、その投資を受けた子供が競争に勝ち抜いていく。
そして、競争に勝った子弟がアメリカの名門大学に入り、世界的な有名企業に厚遇で迎えられ、「 IT製品 」「 ITサービス 」「 金融商品 」「 金融サービス 」を提供して、世界の富をアメリカに集める仕組みが出来上がっていると感じます。
そこには、アメリカでは親が貧しければ貧しいほど、子供が逆転人生を描くことが難しい、超格差社会が存在すると、私は考えています。実際に、主要先進国のジニ係数の推移を見ても、それは現れています。
出典:OECDデータベース資料を素に作成
■ 学歴、会社の大きさで収入が決まる日本
日本はどうでしょうか。日本の入試はアメリカに比べれば、公平性が保たれていると私は感じます。アメリカのように「 取り柄 」を準備する必要はなく、入試試験の結果次第で誰でも合格できる可能性があるからです。
そして昔も今も、親が子供をいい大学に入れようとする傾向は変わりません。大企業や外資系企業に入社して高い収入を得るために必要なものが「 学歴 」だからです。
中小企業庁のデータによれば、日本には現在400万以上の企業が存在します。その中で大企業は1.2万社、全体の僅か0.3%です。従業者数で見ると、全体の4,794万人に対して大企業は1,433万人。割合でいうと、大企業が29.9%、中小企業が70.1%となります。
【中小企業基本法による大企業と中小企業の定義】
製造業の場合 :資本金3億円以下 または 従業者数300人以下
卸売業の場合 :資本金1億円以下 または 従業者数100人以下
小売業の場合 :資本金5千万円以下 または 従業者数50人以下
サービス業の場合:資本金5千万円以下 または 従業者数100人以下
製造業の場合 :資本金3億円以下 または 従業者数300人以下
卸売業の場合 :資本金1億円以下 または 従業者数100人以下
小売業の場合 :資本金5千万円以下 または 従業者数50人以下
サービス業の場合:資本金5千万円以下 または 従業者数100人以下
つまり、日本で働く人の2/3以上が中小企業で働いているのです。それなのに、大企業に入れなければ人生終わりだとか、大企業に入れない人間は全然ダメだという論調が今の日本にはあります。
なぜこうなるかといえば、大企業と中小企業で、収入に大きな差があるからです。学歴による収入の差も歴然です。
大企業と中小企業の報酬・給与データ
最終学歴別:大企業・中小企業の報酬・給与データ ※図表1.2は厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」結果より概算整理した数値
私はもっと、中小企業に入ることを目指す人たちが増えればいいと思いますし、そのための教育があってもいいと思います。例えば「 高専 」のような一条校がもっと増えてもいいと思うのです。
中小企業の経営者から見れば、学生時代に技術を身に着けた高専の卒業生を迎えたいという人は多いはずです。そのような、一流大学を目指すこと以外の選択の先に希望がある社会になることを願っています。
■ 不動産の世界では学歴関係なく富裕層を目指せる
先ほど、アメリカほどではないけれど、日本でも学歴や会社の規模が収入に結び付く話をしました。
一方、不動産の世界はどうでしょうか? 恐れずに言いますが、健美家のコラムニストは全員が、大企業出身でしょうか? 有名大学を出ていますか? そんなことはありません。
ちなみに私は自分の学歴、経歴もたいしたものではないと思っています。それでも自分に合った分野で努力すること、不動産事業をコツコツ積み上げていくことで、資本主義社会のトップに近い場所に立つことができました。
ここで、皆さんに知っておいてほしいことがあります。不動産の世界では人として腐っているような人、「 助け合い? バカ言うなよ、利用出来るものは全て利用させてもらうよ 」という考えの人間でも、資産を増やしていけます。
これは、決して当たり前の話ではありません。例えば、某グローバル外資系企業では、入社前に近隣調査や親族の身辺調査までを徹底的に行います。自分に問題がなくても身内や近い親族に問題の人間がいると採用してもらえないこともあります。
場合によっては、採用候補者の近隣への聴き取り調査が行われて、その近隣からボロクソなことを言われると採用されないこともあります。
何を言いたいかというと、親の資産も関係なく、本人の人間性なども関係なく、「 超富裕層 」を目指すことができるくらい、日本の不動産市場というのは「 公平 」「 平等 」が担保されているということです。
実際、日本の不動産市場というのは、人格が破綻していて、物凄く性格が悪い人でも、属性情報や資産背景さえあれば、性格のいい素晴らしい人間を置き去りにして融資を受けることが可能です。
「 人間性が大事 」なんてキレイ事は関係なく、単に資本主義社会を研究し、攻略した人間たちも「 超富裕層 」となっています。これは学校では教えてくれない現実です。
コラム読者の皆さんには、この現実を知ってこの世界を渡って行ってほしいと思います。
■ 真っ当な人間が勝つ世の中であることを証明したい
ここまでの話からすると、「 正直者がバカを見る 」、人間形成や人格形成がなくても事業で成功できるこの業界の現実に、落胆される方もいるかもしれません。
でも、安心して下さい。不動産事業で成功を継続するのには、金融機関目線でいうと「 バランスシートでいい状態をつくり 」「 純資産を増やしていく 」ことが必要になります。ここでは、コツコツと積み上げていくことが重要です。
そして、継続的に不動産事業で成功を収めていくには、「 周囲の協力 」が必要になる場面が必ず訪れます。そのため、人格破綻者の場合、一過性の成功はあったとしても継続的な成功を収めるのは難易度が高いのです。
「 あんな人格破綻者に、自分は大きく後れを取っている 」と落ち込む必要はありません。隣りに人格破綻者がいて、自分が大きく負けていても、焦らず、粘り強く、自分のやることに集中してください。
私はこういう場面で、「 自分は自分、他人は他人、比較する必要はない 」という考え方はしません。いくら資本主義経済社会とはいえ、性格破綻者に真っ当な人間が負けたままでいるのは嫌なのです。
真っ当な人間が勝つ世の中であることを証明したいですし、証明してもらいたい。だからこそ、真っ当な人間には大きな挑戦をしてほしいのです。真っ当な成功者が増えれば、世の中はもっとよくなると思うからです。
■ DX@母ちゃん主催のセミナーに参加しました
最後に、先日参加したDX母ちゃん主催のセミナーと物件見学会のお話です。途中で、講師のサンタリーフさん、オロゴンさん、DX母ちゃんとのトークセッションに飛び入り参加させてもらう場面がありました。
その時、DX母ちゃんが、「 天野さんに自分が所有・運営をしているホテルを売却しろと言われて、それを実行したことが大きなターニングポイントになった 」と話していました。
事業転換や事業改革にはタイミングがあり、そこでの思い切った決断が大きなブレイクスルーにつながることがあるのです。私はそれをDX母ちゃんに伝えたまでです。
でも、私のアドバイスが役に立ったと知り、嬉しかったですし、求められれば私の経験をこれからも伝えていきたいと思いました。それが、真っ当にがんばる経営者が日本に増えていくことにつながれば、私にとって何よりの喜びです。
「RICCA」神戸三宮レンタルスペース:オープニングイベント
色々な人にチャンスが開かれているこの不動産業界で、どんな優秀な経営者が生まれ、育っていくのか、とても楽しみです。私もがんばります。
それでは、次回のコラムでお会いしましょう。