不動産投資家こそ、金銀プラチナを毎月少しずつ買っていこう、という内容をお話しさせていただきます。
皆様の中には、記録的な円安での資材高に加え、職人不足での建築単価高騰に悩んでいる方がいらっしゃるかもしれませんね。
なぜこんなにインフレになっているか?という事は、色々な方が様々な説を開陳されていますし、ここではあまり触れませんが、一番は「紙幣を刷り過ぎている」という事だと私は思っています。
同じく紙幣を刷りまくっている米国では、例えばポール・チューダー・ジョーンズのように、今年中にも米国債の金利急上昇が起きるのではないかと懸念している声が出ています。
なぜこのような懸念が出ているかというと、身の丈を超えた借金をしている米国の国債を買ってくれる先がもうないのでは?という観点からです。
買い手がかなり減少する場合の金利急上昇は、確かにあり得る話です。
神の見えざる手が支配するマーケットでは、買い手が減少すれば金利が上がるのは当然のメカニズムです。
■紙幣は100年で100分の1に必ず減価していく
そして日本の円安の根本原因も、本来なら欧米が利上げをしていた際に同じく利上げをしていたらここまで円安は進まなかったでしょうが、それを躊躇してしまった事に対するマーケットからの鉄槌という事になるでしょう。
色々書きましたが、要するに、いわゆる不換紙幣は紙切れです。いくらでも刷れますし、過去の歴史でも紙幣は100年で100分の1に必ず減価してきています。
今日米欧で起きているインフレは、もちろん色々な原因がありますが、一番はやはり紙幣を刷り過ぎた事に対する報いが到来しつつあるのではないでしょうか。
そうなるとこの解決は財産税なのか、徳政令なのか紙幣紙切れ化なのか、はたまたデジタル通貨かコモディティ担保通貨発行になるのか、、、。
何れにせよ、生半可な方法ではどうにもならなくなる、という事だけは将来的に確定している事でしょう。
この未来になった場合、庶民が一番打撃を受けますが、零細な不動産投資家も大変です。毎月の家賃を頂いても、その価値が大幅に減少するという事に繋がるからです。
今現在も刻々と、毎月頂いている家賃の価値は額面そのままですが実質的には減少しているわけで、この流れは今後も続いていく事でしょう。
「家賃を上げたら良いのでは?」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、それが可能なのはJR山手線沿線など一部のエリアだけで、多くのエリアでは人口減少も相まって、なかなか簡単ではないでしょう。
理由としては、窮乏化する庶民が高い家賃を支払う事は難しいからが挙げられますし、物件の供給過剰もあるでしょう。家賃の上昇は郊外部を中心に、あまり期待できないと思います。
■不動産投資のリスクヘッジには何が良いのか?
この場合の不動産投資家は、どうしたら紙幣減価に対抗できるでしょうか。私は毎月、純金積み立てをしていく事なのではないか?と考えています。
純金積み立ての一番のメリットは、ドルコスト平均法という部分にありますし、月日が経つのは早いですから知らず知らずのうちにコモディティポジションを増やせるという、心理的に楽な面からもお勧めできます。
金(ゴールド)のメリットは、今まで繰り返しこのコラムでも書いてきたのでここで詳細には述べませんが、世界通貨である点と永続性にあります。
我々が紙幣を当てに出来ない場合、何かで蓄えた富を保存する必要性が出てきますが、何があるでしょうか。穀物や缶詰め、家畜等も良いですが、長期保存はできません。
仮想通貨も良いですが、所有されているご本人が急死されてパスワードが判らず、ご遺族が相続出来なかったという実例があります。
会社の株式も悪くはないですが、会社には寿命があります。
最近、日本製鉄が買収しようとしているUSスチールは、かつて世界最大の時価総額を誇った会社です。日本の戦前、時価総額最大の会社は鐘紡でしたが、今は乱脈経営の末に各部門だけ切り売りされて、辛うじて血脈を保っているという状況です。
■インデックスファンドはどうか?
では、インデックスファンドならどうでしょうか。
私はインデックスファンドには否定的です。
一番は、本当の分散にはなっていないという観点からです。
「オールカントリーなら、全世界の株式に分散できるでしょう?」と言われそうですが、これは間違いです。
時価総額の観点から、60%以上が米国株になり、その中でも大体のパーセンテージがマグニフィセント7と呼ばれる、銘柄になります。
この内容では、全世界株式と銘打っていますがS&P500インデックスファンドと、相関がほぼ似てくるのは避けられません。
インデックスファンドの問題点は他にもあります。AppleやMicrosoftのような花形銘柄を除くと、例えばS&P500のうち、490くらいの銘柄は過去7年殆ど上昇していません。
パッとしない銘柄もセット販売さながら、抱き合わせ商法のような形式で買わされているのが、インデックス投資の最大の欠点だというのが私の認識です。
インデックス投資の良さは、おそらく1950年代の日本のように、国全体が成長をしている時にその国に投資したいという投資家には最適ですが、オールカントリー株式など今の環境ではとても推奨できないと考えています。
「じゃあ、そのマグニフィセント7銘柄を買ったら?」という声がありそうです。では、その銘柄の内容を見てみましょう。
Alphabet、Amazon、AppleやMicrosoft、Metaなど、殆どの銘柄が前々年比で減益になり、成長の限界を迎えつつあります。そんな中一人、Nvidiaだけは成長を遂げています。
私は以前、Nvidia株を推奨していましたが、それは今よりかなり株価が安かった水準の話です。推奨してから数倍になった現状では、これからの高値にあまり期待していないのが正直なところです。
以上、各資産クラスを見ると、さほど有望なものが残っていないように私には思えてきます。
そんな中で可能性が残ると思うのが、純金積み立てです。
紙幣が価値を失いつつある現状、それをヘッジ出来るのは金(ゴールド)しかないというのが、過去数千年の歴史が教える教訓になります。
「では、ゴールドに余っているお金を全部回せば良いのですか?」という質問を受けたことがあります。
それは止めた方が良いのでは?と私は思います。急な円高はいつでも起こり得る状況です。私はおそらく年内か遅くても来年央まで、と予測していますが、ドル円100円程度は普通に見込みうると考えています。
これは円キャリートレードが巨額に積み上がっている現状、一旦マーケットがクラッシュすると円売りポジションが踏み上げられ、急速な円高に発展してしまうというリスクを内包しているからです。
この場合はゴールド価格もかなり調整され、加えて円ベースでは更に下がる可能性も頭に入れておく必要性があるでしょう。
このリスクを回避するには、やはりドルコスト返金法で毎月毎月買っていくのが良いのでは、と私は思っているのです。
■銀、プラチナについてはどうか?
銀、プラチナについても簡単に私の考えを解説します。銀は、通貨として長い歴史を持っていますので、今後世界的に紙幣への不信感が高まった場合は銀に対する需要が高まると私は考えています。
自分がもし、トルコやジンバブエのようなインフレ蔓延国に住んでいたら?と考えると、例えばささやかな貯えができた場合、それをすぐに銀食器や銀貨に交換する事でしょう。紙切れ紙幣よりは、価値を保全できるからです。
また、ゴールドは混沌とした世界になった場合、価格統制や金売却に対する高税率等で規制を受ける確率が少なからずある、と私は考えています。
その場合、銀は有用なヘッジになる事でしょう。価格が安く、産業用の用途にも多く使用されている銀まで規制する事は、まず実務上不可能だと思うからです。
プラチナは、産業用が大半で、通貨として流通した事はありません。また、中央銀行が買い入れる事もほとんどありません。あくまで、銅や鉄と同じく金属という範疇として、世界的には扱われています。
ただ、ゴールドに比べるとかなり希少性がありますし、現状でもメープルリーフ等のコインにも使われている訳で、将来的にダークホースとして妙味があるのではと個人的には感じています。
金銀とは価格の動きが異なるので、コモディティの一つとして分散先にすれば面白いかもしれません。
以上、私の主観ですので、押し付けるつもりは毛頭ありません。とはいえ、皆様にも多少はご参考になれば幸いです。