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日本の不動産市場に透明性はあるか。世界ランキングでは12位に浮上も、今後は取引実態が追えない不満が足かせに。

調査(不動産投資)/都市・マーケット ニュース

2022/09/06 配信

JLL透明度調査
出所:JLLラサール インベストメント マネージメント

急速に進む円安によって海外の投資家たちが日本の不動産を買い上げやすい土壌が出来上がっている。今年1月時点で1ドル115円ほどだったが、現状は140円前後で推移している。もともと日本の不動産は、ニューヨークやイギリス、香港、シンガポールなどと比べて割安だとされていたが、この円安によりその割安感、お得感がさらに増している。

長らく資産デフレの象徴だった地価は今や都市部を中心に天井に近い。だが、日本人にとって手に届かない東京都心も海外勢の目には「安い」と映っている。これらの買い手がさらに不動産価格を押し上げる可能性も出てきた。

経済活動に国境はなく、あらゆる投資資金が世界中を駆け巡る。日本の不動産投資市場は米国に次ぐ市場規模であり、政情リスクや地政学リスクが低いため、資金が流入しやすい。一般的に諸外国では外国人が土地・建物を所有することに制限を設けているが、日本は外国籍であっても土地・建物を購入して所有することができる。成熟経済下で収益還元法の考え方が定着し、賃料収入と将来の不動産価値を考えながら土地が生み出す収益力を重視しながら購入する。

相変わらず英語圏の国々の評価が高い

新型コロナウイルス感染症が拡大する前は、不動産のクロスボーダー取引は活発に行われてきた。都心部のオフィスビルや商業施設だけでなく、セカンドハウス需要としてのレジデンス投資も活発化し、過去には海外の会社経営者などの富裕層が京都で敷地約1000坪の屋敷を約10億円で購入した例も見られた。

こうしたクロスボーダー取引が円安を契機にアフターコロナを見据えて復活するとの見方が増えてきた中で、総合不動産サービス大手JLL(米国シカゴ、CEO & プレジデント)とラサール インベストメント マネージメント(米国シカゴ)は8月31日、日本の不動産市場の透明性が世界のどのレベルにあるのかを「2022年版グローバル不動産透明度インデックス」として発表した。世界94カ国の国や地域、156都市に254項目を6つのサブインデックスで分析してランキング化している。

それによると、不動産市場の透明度が高い国は英語圏が上位を占めている。1位は英国、2位に米国、3位にフランス、4位に豪州、5位にカナダがランクインした。

これらの国の不動産マーケットは、豊富な投資活動とデータに加えて、サステナビリティへのコミットメントを明確にしている点が評価を受けている。企業に対して気候変動リスク報告を義務付けたり、建物レベルのエネルギー効率や排出量の情報収集・共有が進んでいるなどの取り組みだ。テクノロジー分野の評価も高く、膨大な量にのぼる不動産取引のデータをリアルタイムに入手できるなどが評価される。

J-REITが日本の透明度評価を牽引

この調査は2年に1度行われ、透明度は「高」「中高」「中」「中低」「低」の5つにカテゴライズされている。サブインデックは「パフォーマンス測定」「市場ファンダメンタルズ」「上場法人のガバナンス」「規制と法制度」「取引プロセス」「サステナビリティ」を設定。

日本の総合ランキングは12位となり、調査開始以来、初めて「高」の市場入りを果たした。前回調査の16位から大きく改善した。日本もサステナビリティの分野で見ると6位と世界トップクラスの評価だ。JLL日本、リサーチ事業部長の赤城威志氏は、「特にJ-REITに対する評価は世界の中で最も高い」と日本市場の透明度アップに大きく寄与していると分析している。J-REITが牽引してパフォーマンス測定も6位となった。規制と法制度(11位)も世界の中で高く評価されている。

ただ、市場ファンダメンタルズや上場法人のガバナンス、取引プロセスは前回同様に20位圏外の結果となっている。コロナ禍で浮き彫りとなったデジタル化の遅れと、不動産取引での情報開示の遅れが指摘を受けている。J-REITは世界で最も取引状況がつまびらかになっているものの、それ以外の不動産取引はそこに追い付いていないとの判断だ。特に取引価格の変遷がトレースできない現状に対する不満を海外投資家は持っている。

不動産投資対象は広がりを見せており、伝統的な投資対象であるオフィスビルや賃貸住宅に限らず、オルタナティブ(代替)資産として、トランクルームや高齢者向け住宅、賃貸戸建て住宅、撮影スタジオなどもターゲットにする。多様化により市場に厚みが増すメリットを生かすためには、それぞれの取引履歴を正確につかめるようにすることが不動産投資マネーの誘引につながり、不動産市場の透明度をさらに引き上げる条件の一丁目一番のようだ。

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健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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