らいおん大家です。リフォーム屋さんで大家さんです。
今回はリフォーム屋として、数々のどうしようもなくなった築古の戸建やアパートを見てきた僕が、強く強く思った事を書いていきます。
それは
外壁塗装をしていればもっと長く賃貸活用できただろうなぁ…。
という事です。皆さん、収益物件にはできるだけ長く家賃収入を稼いでもらいたいですよね? 今回、僕が何を言いたいのかというと、
物件を長期保有してインカムでコツコツCFを積んでいきたいなら、物件購入前、建築前から定期的に外壁塗装をする予算組みをした方がええで!!
という事です。
■ 物件は家賃収入を作ってくれる労働者なので健康が大事!
よく、不動産投資は不労所得だなんて言われています。実際はとても苦労することが多く、どこが不労所得やねん!と思いたくもなりますが、本質は自らの肉体を動かしていない間も収入を生んでくれるという所だと思います。
つまり不動産賃貸経営における“建物”とは、自分の代わりにせっせと入居者にサービスを提供して家賃収入という売上を作ってくる労働者、サラリーマンだと思うのです。
そしてこの建物リーマンも人間リーマンと一緒で、風邪もひくし怪我もすると思っています。人間も風邪をひいたら病院に行って薬をもらい、怪我をしたら手当をしてもらいますよね。そうする事でまた元気に働く事ができます。
もしこの建物が風邪を引いたり、怪我をしたりしているのに( 雨漏れ、傾きなどの不具合 )その医療費( 外壁塗装などの修繕費 )を見込んでいなければ費用を捻出できず、入居者からクレームの嵐、退去にもつながり家賃収入を稼げなくなってしまいます。
“身体は資本”とはよく言ったもので、これは賃貸経営の一番の労働者である建物リーマンにも大いに当てはまると思うのです。
でもどうでしょう…皆さんご自分の物件の健康を無視して重労働させていませんか?
建物、めっちゃゲロ吐いてません?
■ 建物を不健康にする一番の要因「湿気」から家を守れ!
なぜ、外壁塗装する事=長期保有に繋がるのか? それは建物を不健康にする一番の要因が 湿気 だからです。
その湿気の多くは雨からやってきます。そして、その雨を弾くバリアの役割を果たすのが外壁塗装という事なのですな。
この湿気が建物にどんな悪影響をもたらすのか。
- 躯体を弱らせる( 鉄骨の錆、木柱の腐食、RCの鉄筋の錆&爆裂 )
- 白蟻を呼び寄せる
- カビの発生( 人体への悪影響 )
めちゃくちゃ悪い影響与えてきます。特に木造の場合、木の腐食は著しく耐久性を低下させる→腐食した木を白蟻が食べる→木がスカスカになってさらに耐久性が落ちる、なんていう最悪のスパイラルに。
外壁塗装をする理由を“ただのイメチェン”と思っている方もいるのですが、それは副産物で一番の目的はこのバリア機能です。
このバリア機能がとにかく大事なのよ。
ここを見落とすと建物がどんどん不健康になるんです。
屋根からの雨漏れはすごくわかりやすいので、皆さんすぐ直すんですけど、実は外壁のバリア機能が無くなった建物は、壁からジャンジャン湿気を吸ってしまっています。その状態を放置するとじわりじわりと建物内部に湿気がいって、上記のように躯体に悪影響を及ぼすんです…。
もし現在保有している物件にまだまだ長く働いてもらいたいなら、内装だけじゃなく外壁塗装もしてあげる事をオススメします。結構、費用高いですからね…。先延ばしにしたくなるのもわかります。
でも先延ばしにして躯体に影響があってからだと遅いので…ね…。
■ 築古物件のバリア機能をチェックする方法
これから築古物件を購入しようとしている方へ、物件内見時に建物のバリア機能がまだしっかりしているか否かの簡単なチェック方法を、いくつかご紹介します。
@ チョーキング
壁を触って手に粉が付いたらバリア機能が薄れている証拠です。ただ、めっちゃ粉が付く、少しだけ付くなどチョーキングにも度合いがありますので、一概には言えませんが、とりあえずバリア機能がしっかりしているなら粉は付きません。
A 外壁にカビや苔が生えている
カビや苔が生えているという事は、イコール水気があるという事なので、紛れもなく外壁が水を吸っています。表面がこうなっているならば、目に見えない内部でもカビ発生など悪い事が起きているかもしれません…。外壁塗装はマストでしょう…。
B コーキングがパキパキ
外壁と外壁の継ぎ目にゴムみたいなブヨブヨしたものがありますが、あれがコーキングというやつです( ※コーキングが無い構造もある )。継ぎ目に雨が入らないためのパッキンみたいなやつで、これまた非常に大事な役割を担っているのがこのコーキングなのです。
そのコーキングがバキバキのカピカピだともうパッキンの役割は果たしていないと思って良いでしょう…。外壁塗装と一緒にコーキングを打ち替えるのがベストです。
こんな感じでチェックしてみてください。
そして建物の声を聞いてみてください。
そういうところを意識して建物一件一件を見ていると、だんだんと声が聞こえてくるようになるはずです…。
これらをきちんと意識していれば、購入した後に実は建物がもう使いものにならない死亡寸前の物件でした、もうお手上げですッ★なんて事にはなりにくいはずです。
ちなみに今回は外壁塗装を建物を長持ちさせる代表例として挙げましたが、それ以外にも屋根塗装、ベランダ・屋上防水など色々あります。外壁の種類によってはチョーキングが分かりづらいパターンもありますし、もっと細かく言うと、構造によってメンテナンス方法も違いますが、今回は割愛しています。このコラムでは追々その辺りも深堀りできたらと思っております。
■ なぜ日本の住宅の平均寿命が短いのか
最後に各国の住宅平均寿命をご覧ください。
※出展:国土交通省
ズバ抜けて日本の住宅の平均寿命が短いですね。フランスやドイツなど他の先進国と比べても日本はかなり短いです。なぜか?
理由はいくつかありますが、理由の一つに、日本では30年ほど経ったらとりあえず建物を壊してまた新築を建てるから、というものがあります。ボロボロになって朽ち果ててしまう年数というわけではなく、まだ使えるけどもぶっ潰すという事ですな。
これには新築神話が強く根付いていることも、大きな要因の一つだと思います。“マイホーム=新築”!!結婚して子供ができたら新築マイホームと新車を持つことが一人前の証!!という文化はまだまだ根強いですからね…。
これが日本の“住宅使い捨て文化”を形成してしまっていて、空き家問題解決を遠のかせているのかなぁ…と個人的には思っています。
しかし、しっかりとした新築は、性能も高くメンテナンス性にも優れているので、こういう住宅ならどんどん増えていくのも良いのかなぁと思います。
最後に一句。