こんにちは、モーガンです!
私は不動産投資を始めたばかりの頃から、郊外の築古物件ばかりを購入してきました。
都心の新築や築浅物件に比べて、客付が難しかったり、リフォームに費用がかかったりするリスクが高くなりますが、そこを乗り切れば高利回りが期待できるからです。
客付がうまくいけば自ずとキャッシュフローが多く確保できて、事業として安定しますから、私は今でも安心できる投資スタイルと考えています。
客付やリフォームの腕を徐々に上げると、そこにやりがいを感じるようになって、いつの間にか会社員を卒業し、郊外築古物件ばかりを扱う専業投資家となりました。
同じスタイルで始めた投資仲間も多いので、「 郊外や築古物件で高利回りを狙う 」というやり方は、初心者にも王道の投資スタイルなのかなと思っています。
しかし、昨今では中古物件は軒並み高騰していて、私が始めた頃に比べて、より郊外に、より築古でないと高利回りを期待できなくなっています。
それを受けて、初心者さんの中には、どんなに地方郊外好きの私でも、「 さすがに攻め過ぎじゃないか…出口( 売却 )の取れないリスクが高すぎない? 」と言わざるを得ないような物件にチャレンジしようとしている人も増えています。
私が思いとどまるように言うと「 少ない投資額なので選択肢が他にありません。いざとなったら、生涯持ち切ってしまいます。まずはチャレンジしようと思います! 」と言う人が多いです。
私はこの初心者さんの「 持ち切る 」と言う言葉に不安を覚えます。
地方郊外の今はそれなりに居住者がいても向こう10年、その環境が維持できるかはとても読みづらい状況にあります。自分は良くても自分が亡くなった時にそれを相続する家族に影響を及ぼすでしょう。
そこで、今回のコラムでは、私の地方郊外の築古売買の経験をシェアし、どのような点に気をつけて物件を購入すれば、より安全にできるかについてお話ししたいと思います。
■ 思うように売れない地方郊外の築古戸建
私が地方郊外の物件売買を「 持ち切る 」と言うことに注意した方が良いと感じる背景には、母と義母がそれぞれの両親から相続した自宅の売却を手伝った時の経験があります。両方とも簡単には売却できなかったのです。
私の母が相続した戸建は、茨城県北部にありました。JRの駅から徒歩20分、近くに小中学校もあり、購入当時は子供の遊ぶ声が近くの公園から聞かれ、とても賑やかな場所でした。
しかし、上場企業の工場が縮小、撤退を決めると、状況が一変してしまいました。関連会社や取引企業も次々と移転を発表し、一時期22万人ほどだった人口も今では16万人台と25%以上減り、なおも人口流出に歯止めがかかりません。
土地が100坪もあり、売却には期待していたのですが、「 土地に大きな予算を割いて戸建てを新築できる若年層がほとんどいない 」ということで、祖父が購入してから50年も経過しているにもかかわらず、値上がりはせず、購入当時の金額での売買となりました。
■ タダでも引き取り手がない不動産が増えるかもしれない
義母の土地はもっと深刻でした。新しい幹線道路の計画とともに開発された青森県南部のニュータウン内にありましたが、その幹線道路の計画は途中で頓挫。それに伴いショッピングモールは撤退してしまい、ほとんど利用価値のない土地になってしまいました。
義母が亡くなった後、妻からなんとか処分できないかと相談を受け、片道4時間かけて現地に足を運んでは、不動産屋さんに売却依頼をかけましたが、色良い返事を返してくれるところは一つもありませんでした。
最後は「 タダでもいいから 」と言う妻方親族の意向を受けて、私がたまたま看板を見て飛び込んだ近所の建設会社さんに事業用地としてなんとか引き取ってもらうことができました。
タダ同然の取引だったわけですが、それでも「 処分にお金が掛からなくて良かった 」と妻や親族たちは喜んでいました。その時に、地方郊外に不動産を持つことのリスクを痛感しました。
そして、近い将来、タダでも売れない、売る側が処分料を払うなんていう不動産は益々増えていくだろうと予想されます。
■ 地方郊外の10年先、20年先は見通しづらい
私が頭を抱えていた時に「 行政や地方自治体に寄付したらどうか? 」とアドバイスをくださる方もいましたが、不動産を寄付として受け付けるところは調べた限りありませんでした。維持管理にはお金がかかるので、それに税金を投入するのは難しいのだと思います。
寄付を受け付けるどころか、課税を強化する流れになっているので、この先も行政や自治体はあてにできないのではないでしょうか。
参照:日経新聞「 放置空き家、税負担増へ 」
「 借り手を見つけて、一定の家賃を受け取った後、無償譲渡すれば? 」と言う人もいますが、築年数が経過してそれ相応に修繕費や維持費がかかる現実を知った借主が将来すんなり引き取ってくれるか、私は懐疑的です。
「 やっぱりいらない… 」と後から揉めそうな気がして、その手段を取る気にはなりませんでした。つまり、地方郊外で物件を超長期で「 持ち切る 」ことは、「 言うは易し、行うは難し 」なのではと思います。
仮にできたとしても、相続するお子さんはどうでしょうか。不動産の維持管理を好き好んでやってくれるようなお子さんなら良いでしょうが、そうでなければ税負担ともに処分の難しい厄介ものを相続させることになりかねません。
■ 地方郊外で安全に投資するために国土交通省と市議会のHPをチェック
決して地方郊外の高利回り物件に投資をしない方が良いということではありません。むしろ、冒頭で申し上げたとおり、不動産投資の初期フェーズにおいてはキャッシュフローを十分に確保することが安定だったり、再投資につながったりするので、オススメです。
ただ、生涯持ち切るという発想ではなく、5年、10年など一定のマイルストーンをおいてリスクが顕在化したときに、出口が取れるかどうかは精査が必要だと思います。その意味では、市街化調整区域や土地建物に条件がつく物件は、かなり厳しい目で見るべきでしょう。
特にあまり土地勘のない都市に購入する場合は、頻繁に売買が行われている場所かを押さえておくのが大事です。私が土地勘のない都市で売買するときに参考にしているのは、国土交通省の「 土地総合情報システム 」と言うサイトです。
このサイトでは、物件売買をした時のアンケート結果を元に、2017年から5年分の取引履歴が閲覧できます。その都市の町丁目レベルで、どれくらい売買が成立しているかがわかるので、その流動性を推し量るのに便利です。
また、市議会のホームページから過去1-2年分の議事録を閲覧しておくこともオススメです。どの地域の開発を強化したり、抑制したりするのか、議論がされているのかがわかります。
道路や公共施設の開発予定や企業誘致の進捗状況も書いてあるので、5年先くらいまで見通しが効くこともあります。ぜひチェックして、安全に地方郊外での投資を成功させてもらいたいと思います。
自分に万が一のことがあっても、家族が困らない不動産投資をしたいですね。では、また♪