先日、博多でセミナーを行いました。約16年の不動産投資家としての経験や不動産売買・管理会社に勤めた経験を踏まえて、中古不動産投資の購入、融資、そしてリフォームについて解説させていただきました。
セミナーには60名、懇親親会や併催された壁紙とフロアタイルの施工研修会を合わせると100名以上の方にご参加いただきました。大盛況の2日間となったと思います。

↑サンタリーフさんとの対談風景(撮影:サブロー@カメラマン大家さん)
私が一番印象に残っているのは、サンタリーフさんが対談の中で「大家がプロ化している」とおっしゃっていたことです。
一昔前の大家は不動産会社に全て丸投げで何もしないイメージでしたが、最近では宅建業免許を取得し、業者として売買を繰り返す人や、デベロッパーも舌を巻くような高難易度の新築物件を作り上げる人、職人顔負けのリノベーションを自ら施してバリューアップをする人等、その道のプロに引けを取らない人も珍しくありません。
このプロ化は今後もさらに顕著になるだろう、とサンタリーフさんはおっしゃっていました。私も負けないように自己研鑽していかなくてはと感じました。
これまでの不動産投資は市場の「歪みを見つける、探し当てる」という感覚でしたが、「歪みを自らの強みで作り出す」という時代に入ったのかもしれませんね。
■間仕切り壁撤去が完了しました!
私自身は、大好きなDIYや分離発注を駆使したリフォームで、物件の価値を引き上げることを自分の強みだと思っています。直近では、前回のコラムでもご紹介した間取り変更工事が完了しました。

↑ビフォー:狭くて暗い10.5帖のLDKでした
現在、原状回復工事中の3LDKの物件ですが、ビフォーのLDKは上の写真の通り、暗くて狭い印象でした。そして、このアパートを建てた建設会社さんに間仕切り壁の撤去を依頼した結果が下の写真です。

↑アフター:4.5帖の洋室との間仕切り壁がなくなり、15帖の大きなLDKに!
どうです?同じ部屋とは思えないくらい、広々と明るくなったと思いませんか?(自画自賛ですいませんw)

↑アフター2:LDKと洋室が結合した結果、それぞれの掃き出し窓から南側の室内に光が倍入るようになりました!
原状回復工事の途中経過を見にきた不動産管理会社さんからも、「南側の横に長い部屋は使いやすそうで、人気の間取りに変身した」と絶賛してもらいました。
今回の原状回復工事で1万円の家賃アップを狙っているのですが、この一言に手応えを感じました。工事費用は9万円ですから、コスパも良好です。これをやる決断をした自分に満足しています(自画自賛パート2w)。
■次の挑戦はシステムキッチンの入れ替え
家賃を上げるのに、もう一つ必要な要素があると思っています。それは、水回りの設備強化です。特にこのファミリー物件の意思決定者は女性になることが多く、キッチンが重要視される傾向にあります。
その点、既存のキッチンは期待が持てるものではありませんでした。
新築時から30年余り使われてきたものです。ツーバルブの蛇口や入居者さんに設置してもらうタイプのガスコンロは使いづらそうで、家賃を上げる妨げになるのは目に見えています。
天板の傷や油染みも酷く、塗装したり、磨いたりしても、内見時には足を引っ張りそう…。そこで、思い切ってシステムキッチンに変更することにしました。

↑クリナップ社製のキッチン「ラクエラ」
選んだのはクリナップ社製の「ラクエラ」というシステムキッチンです。これまでのガスレンジとシンクが分かれているブロックキッチンと比べると、シンク周りが大きく、ワークトップ(天板)の調理スペースも広く取れます。
扉も開き戸ではなく引き出しなのと、レンジフードもフラットスリム型なのでスタイリッシュです。女性目線で選ばれやすいことを期待して導入することにしました。
ただ、難点が一つありました。価格です。分譲マンションにつけるハイグレードなものなので、商品だけで30万円前後もします。組み立て設置費、給排水やガス工事費、既存キッチンの解体廃棄料金など諸々を含めると60万円を軽く超えてきます。
この部屋の家賃に換算して10ヶ月分、とても出せません…。余談ですが、これを築30年のアパートに設置したいとショールームのスタッフの人に話した時は、まさかそんな築古アパートにつけるの?とキョトンとされました(笑)。
しかし、それは裏を返すと、このキッチンをアパートにつけることができれば、それだけで差別化なるということです。そこで、できることは自分でやってコストダウンしながら導入することにしました。

↑友人の力を借りて、既存キッチンの解体と廃棄処分をDIYしている様子

↑給排水やガス工事など資格や確実性が求められる工事は、業者さんに分離発注しました
高額な吊り棚やキッチンパネルは、もう少し安くてかつスタイリッシュなものを別途購入することにしました。その結果、最終的に諸費用込みで30万円ほどに収まりました。これなら家賃5ヶ月分です。現実的な費用に落ち着いたと思います。
最終的にメーカーに発注する商品は上の写真のようになりました。これに別途調達する吊棚、キッチンパネル、そしてサブウェイタイルをつけることで、築古のアパートには設置されてないようなキッチンを作り上げようとしています。出来上がったら、コラムでお披露目させていただきますね。
■歪みを作り出せる不動産投資家になるために
こういったリフォーム工事の一つ一つに知恵を絞ることも、サンタリーフさんが博多セミナーでおっしゃっていた「プロ化する大家」に近づく第一歩なのかもしれません。
費用を抑えながら家賃を上げることができれば、より突っ込んだ買い付けが出せるようになり、物件購入の機会が増えていくかもしれませんよね。
宅建業者成りする人や一人デベロッパーみたいな強者と比べると小さなことかもしれません。しかし、「塵も積もれば山となる」と言います。これからも歪みを「作り出せる」不動産投資家になれるようにリフォームの研究をしていきたいと思います。