物件見学の際、「 少しカビくさい建物だな 」とか、「 ジメジメとした物件だな 」という印象を持たれたことはないでしょうか? 例えば、建物の外周部分や共用部の床・壁に緑色のコケが生えていたり、押入れの中や室内の壁に黒っぽいカビが生えていたというケースもあると思います。
私の経験では、こうした湿気に起因した問題の多くは、建物の立地によるところが多く、後から根本的な対策を行うことが難しいケースが大半です。
しかし、適切な対策を実施すれば、ほとんどコストをかけずにある程度状況を改善することは可能ですから、思い切ってカビ・コケ物件を取得しても良いのではないか? と思います。
1、湿気の発生源を特定する
カビやコケが発生する原因の一つは湿気です。つまり、湿気の発生源を特定すれば、問題の解決につながります。ですから、物件購入時には、大工さんやリフォーム会社さん、インスペクターに同行してもらい、湿気の原因を調査してもらうと良いと思います。
床下や天井裏を調査していただき、例えば、「 排水管から漏水が確認されました 」というようなケースであれば、その漏水箇所を修繕すれば済む話なので事は簡単です。しかし、私の経験では、分かりやすい原因を特定できることは稀です。
建物をくまなく調査したけれども、結局どこから湿気が来ているのか? はっきりとは分からないという場合がとても多いのです。
このようなケースの大半は、建物が建っている土地そのものから湿気が発生していたり、擁壁や崖が建物の近くにあるため、地形的に湿気が溜まりやすくなっていたりすることが原因です。
2、通気を確保する
では、どうすれば良いのか? というと、対処療法ではありますが、できるだけ床下等の通気を確保し、現時点で発生しているコケやカビを地道に取り除いていくしか方法はありません。
具体的にはまず、建物の床下に換気口が設置されているかどうか? を確認します。古い物件の場合、そもそも、床下に換気口がないケースが散見されます。このような場合、換気口を後付で設置するだけで通気を確保でき、状況を改善できる可能性が高まります。
職人さんへ「 後付で床下換気口を設置してください 」と依頼するといいでしょう。このとき、建物の耐久性を下げてしまうリスクがありますから、穴を開ける場所には注意してください。
やり方としては、サンダー等の工具でモルタルに換気口を開け、猫などが侵入しないよう金属製の進入防止柵を取り付けてもらいます。さらに効果を挙げたい場合は、進入防止柵の代わりに、床下設置用の換気扇を取り付けても良いと思います。
もし、換気扇を設置される場合は、換気扇の価格にも要注意です。割高な訪問販売の影響かどうかは分かりませんが、一般的な相場より割高な製品が多いからです。私の感覚では、高くてもひとつ1万円くらいまでが適正価格だと思います。
3、コケやカビを取り除く
既に、床下に発生しているコケやカビを取り除く方法は、ブラシやスコップ等で地道に取り除いていく方法がベストです。楽をしようと床下に高圧洗浄や薬剤を使用すると、建物の躯体に悪影響を与えてしまいます。共用部など建物の外側の場合は、高圧洗浄機を活用すると良いと思います。
4、清掃後は将来のための予防措置を取る
高圧洗浄後のコンクリート部分には市販されている防汚剤を塗布すると良いでしょう。この防汚剤は楽天等で「 モルタル 」「 光触媒 」とか「 コート剤 」と検索するといくつか商品が出てくると思います。
また、職人さんによっては、道路工事等で使用する公共事業用のモルタル( コンクリート )用防汚剤をお持ちの方がいるかもしれませんので、確認されてみてもいいでしょう。
また、清掃後の床下など湿気がたまりやすそうな場所には「調湿剤」を敷設するのがおすすめです。大きなホームセンター等で販売されていますし、楽天等で「 床下 」「 調湿剤 」と検索すれば候補が出てきます。
これらの作業は、全体のコストに対して占める人件費の割合が高くなる傾向があるため、コストダウンしたい場合は、高圧洗浄機や調湿剤を自分で用意してDIYで作業するのが良いと思います。

長崎のアパートの共用部。外部の清掃では高圧洗浄機が活躍する。

高圧洗浄後、光触媒の防汚剤を塗布していくことで物件の価値を高めていく。
〜 次回に続く 〜