• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

4,951アクセス

買う時売る時の悩みの種、解体工事費はいくらかかる?今は「坪4万円・10日間が平均相場」

収益物件購入・売却/その他 ニュース

2019/07/20 配信

物件を購入するとき、または所有物件を手放すとき、大なり小なり発生する廃棄物の処理や解体工事。見積もりを取ってみて、その金額の大きさに驚くことも多々あるが、そこにはそうなる理由がある。具体的な金額はケース・バイ・ケースだが、聞いてみるとその時々の目安となる“相場”があるという。

トップ用イメージカット

今回は千葉県を中心に土木工事・解体工事を手がけている株式会社フジカワ(千葉県柏市)の藤川太伸社長に、解体工事を考える上でのポイントを伺った。

藤川社長1

■標準家屋で坪4万円

一般的に、小さな戸建住宅や2階建ての木造アパートなどの解体工事は、2、3日であっという間に済んでしまっているイメージだが、実はそうではなかった。

解体作業を行う場合、1つの現場で使う重機は1台で、運搬用のダンプカーなどが2〜3台入るのが一般的だという。だいたい4〜5人が1チームとなり、1人はオペレーターの役割で、2人が運転手、残りが取り壊し後のゴミの取りまとめ作業に当たる

写真1

作業工程は、平均的な戸建住宅(40坪程度)で、

@養生・内装バラシ
A屋根の撤去
B基礎部分の撤去
C埋設配管の撤去
D清掃→更地
となり、養生作業から更地になるまで10日間程度が目安。面積が広い、またアパートならば部屋数が多くなれば、その分日数もかかる計算だ。

建屋・外壁部分を養生してから、解体スタート
建屋・外壁部分を養生してから、解体スタート
解体途中。重機を使って壁を壊していく
解体途中。重機を使って壁を壊していく
基礎部分の撤去
基礎部分の撤去
廃棄物を撤去し、更地にして終了
廃棄物を撤去し、更地にして終了

気になる金額は、木造の戸建住宅・2階建てアパートなどであれば、外壁なども含めて「今の相場なら坪当たり4万円程度」(藤川社長)だという。

軽量鉄骨造の場合、プラス3,000〜5,000円、鉄骨造、RC造の順に、さらにプラス3,000〜5,000円ずつ増えていくと考えればいい。この中には、外壁の撤去や廃棄物処理費用も含まれる。

解体工事は「壊す」だけでなく、解体に伴って発生する廃棄物を、マテリアルリサイクルできる物とできない物、燃料化できる物(木造チップ、廃プラスチックなど)に分別した上で、有料の廃棄物処理場に持ち込まないといけない。

そのため解体工事では、廃棄物の分別作業の時間と、廃棄物(ゴミ)処理費用がかかることを念頭におくことも必要だ。ここでしっかり選別しないと、もっと費用がかかることになる。さらに「ゴミ処理費用が年々変わってくるので、坪当たり4万円というのは、あくまでも現時点での相場だと考えてほしい」と、藤川社長は話す。

■「建設リサイクル法」で処理・リサイクルは義務化

もともと汚物の清掃に関する法律は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)で、1970年の制定以降、頻繁に改正されている。

解体工事については、さらに個別法である「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)で定められている。2000年の同法律の施行により、これまで重機で一気に解体し一括処分していた廃棄物について、材質(木材、コンクリート、アスファルト、コンクリート・鉄が混合する建設資材)ごとに現場分別しリサイクルすることに加え、工事の届出や解体事業者登録(都道府県知事)が義務付けられた。

内装バラシと同時進行で廃棄物の分別を行う
内装バラシと同時進行で廃棄物の分別を行う

対象となる解体工事の規模基準は「80u」となっていることから、標準的な戸建住宅(30坪程度)であれば、同法を遵守する必要がある。

また同法律による義務は「施主と解体事業者」が負い、収集運搬費用・リサイクル費用はともに施主が負担することと明記されている。「安く済ませたい」と誰もが思うところだが、一定規模の費用がかかることは必要不可欠なことだと認識してほしい。

廃棄物処理の流れは、下図(日本産業廃棄物処理振興センターHPより)のようになっている。

廃棄物処理の流れ
廃棄物処理の流れ

通常は、解体工事業者が中間処理場に持ち込み、ダイレクトに最終処分場に持ち込むことはあまりないという。最終処分場に中間処理施設の事業者、中間処理施設に解体工事業者が紐付いている構造だ。

■費用高騰の背景にある仕組みの“ゆがみ”

廃棄物処理費の上昇の背景には、@中国の資源ゴミ輸入禁止、A国内の最終処分場の残存容量の低下―などがある。

@の2017年末の中国の資源ゴミ輸入禁止の影響で、「国内には行き場を失った資源ゴミがあふれているような状況が続いている」ため、木造チップ工場などの受け入れが制限されている地域も出ているという。

解体工事現場から発生する木材の大半は燃料化されるため、チップ状にするが、これまで輸出していた廃プラスチックなどが高カロリー燃料として国内利用されることが増えたため、木造チップが“とばっちり”を受けている状況だ。いくらリサイクルしても使い道がなければ流通できないため、結果として処理費用に転嫁されてしまうのだという。

また、Aについては厳しい状況が続いているといえる。リサイクルできない廃棄物は最終的に埋め立てられるが、その最終処分場新規許可数はほぼ横ばい。新設するにも地域住民から反対されることも多いため、増えることはまずないと考えると、廃棄物は発生し続け、埋め立て可能な容量(残存容量)は減っていくばかりということになる。最終処分にかかる費用高騰には、これら背景が原因にもなっている。

つまり、最終処分場のキャパがいっぱいになってしまうと、中間処理施設からの受け入れができなくなるため、そこに紐付く解体工事業者も廃棄物を持ち込めなくなるという連鎖になる。また中間処理施設でも、廃棄物を少しでも埋め立てしないように再資源化できる物を振り分けているが、再資源化の受け入れ先がなかなかない、ということも増えてきているという。

■注意すべき資材@石膏ボード
全体的な費用高騰の理由は理解できたが、その上で、建築物の廃棄物処理費用が上がってしまうこともあるという。
まず住宅系で注意すべき資材は「石膏ボード」だ。大半の住宅の洋室で使用されている建築資材だが、リサイクルできないため「管理型最終処分場」に運び込み、埋め立て処理しなければいけないという。

石膏ボードは、吸湿機能に加え防音機能、難燃性もあるということで、住宅への使用率が非常に高い建築資材。さまざまな化学物質が添加されているため、普通に埋め立てると水と反応して硫化水素が発生する製品があったため、規制が強化された。その結果、木屑メインの廃棄物に一部でも石膏ボードが混入していると混合廃棄物となってしまい、処理費用が3倍になってしまう場合もあるという。

■注意すべき資材Aアスベスト
鉄骨造の築古物件で注意したいのは、「アスベストの吹き付け」だ。鉄骨造でアスベストが吹き付けられている場合、その処理費用は少なくとも200万〜300万円と、解体費用と同等か、それ以上になるという。解体工事は坪単価での計算だが、アスベスト処理は1u換算になるからだ。そのため、築30年以上の鉄骨造アパートなどであれば、「念のため分析を依頼したほうがいい」と藤川社長は指摘する。分析費用は4〜5万円程度ということなので、分析した結果ノンアスベストなら想定額の半値になると考えれば損はしない。

逆に、解体中に見つかった時のほうが、飛散防止対策や工事従事者の防護対策など、日数・費用ともにかさんでしまうため非効率になってしまう。「判断の目安になるのは竣工年。“昭和”であれば、確実にアスベストが使われていると考えたほうがいい」(藤川社長)。
アスベストについては、木造戸建住宅の屋根にも注意が必要だという。屋根の軽量化でよく使われる「スレート屋根」(当時は“コロニアル”=クボタ松下電工外装製の呼称で流通)も、当初はセメント+アスベストが主原料。

2004年の法整備でアスベストの使用・製造が禁止されたため、現在のスレート屋根材はノンアスベストになっている。2000年以前の竣工したスレート屋根の物件や、瓦からスレート屋根に葺き替えた物件などは、調査・分析したほうがいいだろう。

■その他注意する点
実際に解体してみないとわからない部分、壁の奥や基礎部分については、あとから追加費用が発生することもあるとか。リフォーム物件だと壁が二重張りになっている場合や、基礎についても、布基礎・ベタ基礎によって工事費用が変わる。

地盤の悪い場所だと、耐圧盤が厚かったり、基礎杭が入っていたりすることがあるため、「当社でもかなりてこずった案件がある」とのこと。これらを「どこまで撤去するか」によっても、費用が大きく変わってくるが、「基本は上もの(=建物)が大きければ、下(基礎部分)も大きいというイメージで試算するといいと思う」。

■道幅によって時間・費用が1.5倍の場合も
ここまでは、解体費用に影響がある廃棄物について教えてもらったが、物件の条件によっても費用が変わってくるという。

先ほどの相場の基本条件は、道幅(幅員)が4〜5m以上ある道路に面し、4トン車が入ることができる物件。これが2〜3mだと2トン車や軽トラックを使うことになるため、搬出量が同じでも搬出回数が多くなり、割り増し料金が発生。その目安は、先ほどの相場から2割程度アップする可能性があるという。

理想は、解体物件の敷地内に重機・トラックがすべて駐車できるスペースが確保できること。仮に敷地内に駐車できなくても、道幅が4〜5mあれば、近隣住民の了解を得て道路に駐車させてもらうこともあるというが、「都市部ではそういった条件が揃うことはまずないので、物件の近場に駐車場を確保する必要がある。

それも難しい場合は、現場から駐車場まで人海作戦。そうなると、駐車場代に加え、人件費が上乗せされる」とのこと。これが2m以下、1m幅レベルの道幅しかないような物件だと重機が入れないため、すべての作業が“手壊し・手運び”となり、日数・費用は相場の1.5倍になるという。

藤川社長の会社でも、路地裏物件や接道瑕疵物件で苦労したことは多いとか。「都内の下町エリアなどではそういった現場が多いですね。特に、隣家との幅が狭くて作業員が入れず、養生が立てられないような場所は悩ましいところです」と苦笑い。法律上では隣家との幅は50cmだが、現場の感覚では「最低でも60cmはほしいところ」だという。

■まずは複数から見積もりを

ビル内部の解体作業の様子
ビル内部の解体作業の様子

こういった条件を考慮して、おおよその概算を把握できれば、あとは見積もりを取ってみるのが一番。その際には、近隣の解体工事業者2〜3社から取ることがお勧めだ。

藤川社長は、「解体工事業者によって、現場までの距離、持ち込む中間処理場の場所などの条件が異なるため、同じ見積もり金額が出てくることはほとんどない」と指摘する。
心がけておくことは、
@直近の相場は、坪当たり4万円
A物件の立地・面積・構造体を考慮
B別途処理費用が必要な建築資材分を加算
C概算を出した上で、物件の近隣で2〜3社見積もりを取る
―の4点。

2〜3日で解体工事が終わったのは昔の話。今は解体工事にもそれなりの日数・費用がかかるということを念頭に置いておけば、投資計画にズレが生じることも減るのではないだろうか。

それからもう1つ、忘れてはいけないことは、解体工事を依頼する施主側にも「リサイクル義務」があるということ。藤川社長も「ゴミは資源の宝物。廃棄物をゴミと言わず、資源となるような仕組みを一緒に考えていただければ」と話す。新築だけでなく、リフォームやリノベーションするときに、再生製品やリサイクル可能な建築資材を選ぶだけでも、ゴミの減量化や資源の再利用化につながる。ESG投資やSDGsなど、日本でも環境を意識した投資活動が注目され始めていることから、“出口=リサイクル”を見据えることも、新たな差別化戦略になりそうだ。

健美家編集部(協力:玉城麻子)

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ