新築当初から住んでいた賃借人。もともとは家族で住み、子どもたちが巣立った後、81歳と80歳の老夫婦だけとなった。
築40年を過ぎた物件なので、この夫婦はいちばんの長老。年をとって頑固になったのか、若い住民たちとのジェネレーションギャップがあったのか、物件の管理人的な存在にもなり、他の若い住民との衝突もどんどん増えてきてしまった。その度に家主に文句をつけてくる。
たとえばこうだ。「若い夫婦が廊下で笑い声をあげる」「子どもを怒る声がする」「布団の干し方が雑い」。大したことないじゃないか、そう言おうものなら激昂し、手が付けられなくなった。
ある時、若い住民とのトラブルを家主に言いつけにきて、喧嘩になってしまった。どうやら賃借人は、自分の気に入らない入居者を追い出して欲しかったらしい。
だが家主としても、ただ賃借人が重箱の隅をつつくように文句を言っているだけにしか聞こえなかったのだ。「いい加減にしてくれ」そう言ったが最後、賃借人は家賃を払わなくなってしまった。
最初は「機嫌を損ねたのだろう」程度に考えていた。しかし翌月も払われず、気がついたら1年ほど溜まっているではないか。のんびりした家主だなと思ったが
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