賃貸のトラブルに携わって17年。この間、滞納者の様相もずいぶん変わってきた。
まず「家主さんに迷惑かけてすみません」という詫びの言葉は、まったく聞くことがなくなった。
滞納者にとって、部屋を掃除して出て行こうという気持ちも皆無のようだ。粗大ごみを処理するという滞納者はいなくなり、要らないものはそのまま置いて、必要な物だけ持って出るのが主流となった。
しかも遺骨や遺影等まで、当たり前のように置いていかれる時代になった。
彼らに良心はないのか。せめて「手が回らなかったので、後はよろしくお願いします」の置手紙すらできなかったのか。
世の中が悪い
ちょうど就職氷河期に当たる年代の女性。家賃を払ったり払わなかったりを延8年ほど続け、滞納額が家賃の5ヶ月分を超えたことから明け渡しの手続きの依頼を受けた。家主側の言い分は「滞納というより、(賃借人の)言い訳に疲れた」。
長きにわたった督促等を含めたやりとりは、大半がメール。その内容を見せてもらって、言葉の意味を把握できた。
その内容は、終始、社会への不満だった。滞納していることを詫びるのではなく、「社会が悪い」からだと。
自分は一生懸命にがんばっている。結果がでていな
...この記事は会員限定です。
会員登録(無料)すると続きをお読みいただけます。
健美家会員のメリット
- 会員限定物件や非公開物件情報が見れる
- 最新のコラムニュース情報がメールで受け取れる