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太田垣章子の「トラブル解決!」”入居者から書面をもらえば良い”は危険。証拠能力なし!の恐れも。

賃貸経営/トラブル ニュース

2020/06/18 配信

家主からトラブルの相談を受けるとき、少しでも手掛かりが欲しくて関係する書類等すべて持って来てもらっている。そこでよく目にするのが、家主が作った賃借人との覚書だったり確約書だ。

書面のお題目は違うものの、要はトラブルのもとである賃借人との話し合いの結果を書面にしておこうというもの。ところがこの書面、訴訟となったときに、なかなか証拠と使えない。それはなぜか?

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何のための書面かよく考えること
ほとんどの書類は証拠として不十分

滞納しているとか、払えなければ退去するとか、騒音トラブルにならないように気を付けるとか、さっくりと解決するなら口約束でいいこと。それをわざわざ書面にするということは、相当トラブルになっているというタイミングだ。だからこそその書面が、訴訟の重要な「証拠」になると意識して作って欲しい。

事務所に持ち込まれる書面の多くが訴訟の証拠として使えないのは、明確でない、感情的、明らかに賃借人にとって「サインさせられた」感がある等々だ。

ひとつひとつ見て行こう。
まず「明確でない」、と言うのは、特定ができないのだ。具体的には物件だったり、いつのどの賃貸借契約における話し合いか、ということが何も書かれていない。

そのため裁判官は「これ、この案件のもの?」と訴訟で取り合ってくれない。まずはどの案件の話で、当事者が誰で、今現在どのような状況になっていて、それを双方どのような内容で話し合えたのか、そこをシンプルに考えなければならない。

たとえば途中から連帯保証人が変更になったというようなケース。もともとはAだが、いつからBになり、Bが現在の連帯保証人である、と明確にすること。
滞納分がいくらかということだと、家賃がそもそもいくらで、いつからいつまでの滞納分なのか、ということ。払ったり、払わなかったりを続けている場合には、別紙で滞納表を添付して、「この滞納額の返済取り決め」だということが一目で分かるようにすればいい。

そして書面にしただけで安心するのではなく、もし約束が守られなかったらどうするか、ということも明確にしておき、万が一の時にはすぐに次のアクションを取る必要がある。

中には滞納分の支払いを取り決めた書面に、わざわざ「1回でも守らなかったら解除する」と書いてあるのに、そのままずるずると賃貸借契約を続け、しかもその後も何度も滞納され、何通も同じような確約書が交わされていることもある。

ここまで来ると滞納者側は「払います」と言って書面にサインすれば、そのまま滞納続けても住み続けることができると判断してしまい、その後の改善は見込めない。同時に裁判の証拠にしたとしても「結局なぁーなぁーでやっていたのね」と裁判官は判断してしまうため、決して家主側の有利な証拠とはならない。

ましてや明らか賃借人と連帯保証人の字が同一で、押印されている印鑑まで一緒となれば、さらに証拠として使いにくくなる。

改善するための書面ではなく
裁判の証拠としての書面と心得る

家主側とすれば改善して欲しい一心の書面でも、紙切れ1枚で解決するならここまでこじれていない。書面を交わすときは改善することを目的とするのではなく、訴訟の証拠として使うことを意識して作成しよう。

つまり事実関係を明確にし、
@「家主側はここまで譲歩した」
→A「だけど賃借人は約束守らなかった」
→B「だから出て行って」
という流れにするためだと理解して欲しい。

そのためのNGとして、感情的な部分を入れないこと。書面の内容は、一目見てすぐに分かるようにするようにしなければならない。「ここまで譲歩したのに、うんたらくんたら……」と書いてしまうと、肝心の取り決めよりも「感情的なもつれ」と判断されてしまう。あくまでもシンプルに、誰が見ても、一目で@ABのステップを把握できるようにしよう。

書面を交わした時には、これがうまくいかなければ訴訟にするよ、と言うことを相手方にも分からしめなければならない。そのため1回目の約束反故には、毅然とした態度で臨むこと。それをしない限り、ただ相手にナメられてしまうだけになる。

昨年手続きした家主の書面が使えなかったので、懇切丁寧に伝えたのに、今年また同じような書面を持って事務所にやって来た。なかなか今までの習慣を変えることは難しい。ならば書面を交わすときには、予めプロに見てもらうことも妙案かもしれない。

執筆:太田垣章子(おおたがき あやこ)

章子先生
【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「家賃滞納という貧困」(ポプラ社)「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

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