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自然災害の増加や入居者の高齢化……。“いまだからこそ考えたい”保険商品の見直し。大家向け保険の専門家に聞く。

賃貸経営/保険 ニュース

2020/01/06 配信

ほとんどの大家が火災保険に加入
それだけで補償は足りている?

収益物件のオーナーにとって、多岐にわたる損害を補う保険は、不動産投資の安定性・持続性を高める必用不可欠なツールだ。しかしながら、投資目的や物件サイズ、エリアに向いた商品に加入しているかというと? ここでは保険のプロに、適切な選び方を伺った。

台風による風災や地震による建物の倒壊・津波被害など、日本に住んでいると、自然災害は避けられない。冬場になると空気は乾燥し、火災のリスクも高くなる。賃貸オーナーからすると、建物は家賃を生み出す大切な資産であり、損害を受けると事業が立ち行かなくなってしまう。

いつ何時起きるかわからないリスクに対して手立てを打つ必要があり、その最たるものが「保険」だ。とはいえ実際のところ、どれほどの大家が関心を持ち、保有物件にマッチした商品に入っているのだろうか。

自然災害などのリスクと隣り合わせの賃貸経営。万が一の際に資金的なサポートを受けられる保険の加入は必須と言える。
自然災害などのリスクと隣り合わせの賃貸経営。万が一の際に資金的なサポートを受けられる保険の加入は必須と言える。

「昨今、サラリーマン大家を始め収益物件を買う方は、ほぼ融資ありき。現金で買うケースはあまり見られません。その際は金融機関が火災保険に入るよう注意喚起しますから、ほとんどのオーナーは契約をしているはず。なかには申込書の提出を求めることもあるようです」

こう話すのは、大家専門の保険代理店を営む、保険ヴィレッジ(東京都豊島区)代表取締役の斎藤慎治氏だ。同社では賃貸経営者向けに保険コンサルティングを行っていて、ニーズに対して最適な保険を提案。これまでに、2000名を超える大家をサポートしてきた。

保険ヴィレッジ代表取締役の斎藤慎治氏。国内では珍しい大家向け保険コンサルティングのプロフェッショナル。全国のオーナーから相談を受け付けている。
保険ヴィレッジ代表取締役の斎藤慎治氏。国内では珍しい大家向け保険コンサルティングのプロフェッショナル。全国のオーナーから相談を受け付けている。

火災保険の加入率の背景には、かつては当たり前だった「質権設定」も関係するという。これは、不動産ローンの借入金の担保として、火災保険の保険金請求権に対して質権を設定すること。

すると、火災が起きた際に保険金を受け取る優先順位がオーナーではなく金融機関になる。「金融機関からすると債務の補てんをするのが目的です。ところが、質権設定をすると保険契約者の利益である保険金を第三者である金融機関が押さえることになり、近年だとメガバンクを中心にコンプライアンスの関係から設定しないようになりました。

銀行指定の保険加入が義務付けられることもあり、公平な募集を妨げることにも。制度自体がなくなりつつあるようです」(斎藤氏、以下同)

一昔前なら賃貸オーナーは地域の地主が多く、個人情報を含む保険契約について大家同士が情報交換することはあまりなかった。対していまは交流が盛んで、保険に関するトピックも挙がり、加入への意識は高くなったそう。土地から仕込むとリスクも高くなるので、火災保険は必須と考える大家がほとんどだ。

釈迦に説法だろうが、火災保険が補償する範囲は出火による損害だけではない。落雷や破損・爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災などもカバー。商品によっては事故時の諸費用も補償する。

例えば、樹木や近隣施設の設備が倒壊して物件が壊れたら、損害の範囲を確定させたり、本修理をするまでの仮修理費用、倒壊物をはじめとする残存物の撤去費用が生じる。「こういった時、火災保険の支払限度額の2倍までを補償する商品もあります。覚えておきたいサービスです」

対象外となる災害もあるので注意が必要だと斎藤氏はくぎを刺す。
「水災は火災保険のオプションであることが多いです。2019年に発生した台風15号は強風による風災が多く、損害を受けた家屋の多くは火災保険でカバーできました。

一方、台風19号では火災保険の対象である豪雨や土砂崩れの被害が広がったものの、オプションである「水災」を付けていなかったため補償を受けられなかった方も……。仮に所有物件が河川の近くにあるなら、オプションで水災補償への加入を検討した方が良いですし、契約中の火災保険は水災に対応するのか確かめたいところです」

出火に関しても同様だ。火災保険が適用されるのは通常の火事などによる被害であり、地震による火災は補償しない。これをカバーするのは地震保険なので、火災保険と合わせて加入すべきだ。

火災保険だけではカバーできない補償も
大家独自のリスクは特約でカバー

斎藤氏は「賃貸オーナー特有のリスク特約で備えたい」とアドバイスする。具体的には以下のような補償があるという(名称やラインナップは各社で異なる)。

■家賃収入補償特約
火災などで損害を受け発生した家賃の損失を、契約時に定めた家賃月額及び復旧期間を限度に補償。

■建物管理賠償責任特約
建物の安全維持・管理不備に起因する入居者などのケガ、モノを壊すトラブルが生じた結果、被保険者が法律上の賠償責任を負った場合に補償。

大家にとって、家賃収入が途切れると死活問題。リスクヘッジする家賃収入補償特約への加入は検討に値する。ところが現状の加入率は低く、私の取引先でも家賃収入補償特約の契約者は20パーセント未満。

加えて、低所得者や生活保護者、単身者、高齢者の入居が多いと、残念ですが孤独死や自殺のリスクも高まります。これに対しては、家賃収入補償特約に上乗せる形で孤独死・自殺に伴う空室・値引き期間が生じた場合の家賃の損失や原状回復費用などを補う『家主費用特約』があります」

東京海上日動『Total assist 住まいの保険』の特約紹介ページ。火災保険を主契約として、多岐にわたる特約が用意されている 出典:東京海上日動ホームページ
東京海上日動『Total assist 住まいの保険』の特約紹介ページ。火災保険を主契約として、多岐にわたる特約が用意されている
出典:東京海上日動ホームページ

ユニークな特約もあり、その一つが「建物付属機械設備等電気的・機械的事故補償特約」だ。「これは、エアコンや給湯器、照明など建物の機械設備に電気的・機械的な事故が生じて故障すると、修理費用を補償するというもの。保険料は高くなりますが、1棟オーナーであれば複数の設備を持つので、入っておいて損はありません」

不動産投資はれっきとした事業
保険で備えるのは当たり前のこと

特約について、「保険料が上がるので加入を避けたい」というオーナーもいることだろう。もちろん、コストと補償のバランスも考えないといけない。だが、「クルマを買う時は駐車場やガソリン代を考慮するはず。賃貸経営も同じことです。維持費がかかるのは当然で、それを見越した資金計画を立てないといけません。不動産投資は事業であり、そうであればリスクヘッジするのは当たり前です」と斎藤氏は強調する。

そして、被害に遭えば保険金が下りるかどうかは別として、すぐに保険会社へ連絡すること。もっともいけないのは放置することだ。
「時間が経過すると劣化が進み損害は拡大しますが、保険会社が認めるのは受けた時点の被害の補償だけ。数カ月や数年経って被害を訴えても、却下される恐れがあります。災害後は所有物件を見に行く、もしくは委託管理会社に調べもらうことです。その時は日付入りの写真を必ず撮りましょう。揺るぎない証拠になります」

保険料は値上がりの傾向が顕著
それでも前向きに考えること

一方で気になるのは、自然災害などの増加に伴う、保険料の引き上げだ。火災保険は2019年10月に、主要損害保険会社が値上げを行った。「台風や大雪などで保険金の支払いは急増していて、2018年は損害保険業界全体で1兆6000億円、2019年も9800億円を支払っています。2年連続で1兆円規模の支出があり、保険料に反映された格好です」

損害保険各社による損害保険料率算出機構は、火災保険の保険料を決める際の目安となる「参考準率」を住宅向けで平均4.9%を引き上げ、これにより2018〜19年は2年連続で火災保険料はアップ。ただし、ここに2018年の西日本豪雨などは加味されてなく、2020年も再々値上げの見込みだという。

損害保険料率算出機構による、「火災保険参考準率 改定のご案内」。保険金支払いの増加など、値上げの背景を解説している。 出典:損害保険料率算出機構ホームページ
損害保険料率算出機構による、「火災保険参考準率 改定のご案内」。保険金支払いの増加など、値上げの背景を解説している。
出典:損害保険料率算出機構ホームページ

「火災保険料を決める大きな要素として、『再保険』の仕組みがあります。契約者から預かった保険料を国内外の損害保険会社同士で売り買いし、損害の一部を肩代わりしてもらうことによりリスクヘッジをするのです。ところが、日本は災害リスクが高く海外の保険会社が取引をしたがらないように……。そんな事情もあり、値上げが続いています」

地震保険も同様で、熊本地震などの影響で保険金の支払いが激増した結果、2018年に保険料は引き上げられることに。その後起きた大阪北部地震、北海道地震はまだ加味されておらず、今後の値上げは既定路線だという。

こういった状況を目の当たりにすると、投資家はますます保険加入をためらうかもしれない。ところが斎藤氏は、「気持ちはわかりますが、被害を受けた時に資金面で助けてくれるのは保険です。レバレッジをかけて物件を買っている人なら、なおさらのこと。自身に合った商品や特約は何か見極め、最適なポートフォリオを組むことをお勧めします。また、加入の際は保険会社や代理店から、しっかりと説明を受けること。ネットで調べて比較検討もしたいところです」と述べる。内容に詳しくないなら、保険ヴィレッジのような専門家に頼ってもいいだろう。

最後に、斎藤氏から次のような言葉をいただいた。「補償の裏付けがないと安定した事業とは言えません。金融機関も投資家がリスクヘッジをしているのか、融資の審査時に目を光らせるでしょう。加入していないと事業者としての信頼性、スキルが足りないと判断されるかもしれません。賃貸経営をビジネスと捉え、もしもの際に備えるツールとして各種保険を検討・活用してもらいたいと思います」

災害で収益物件がなくなったとしても、国が大家に仮設アパートを用意することはない。建物だけではなく家賃収入もなくなれば、潤沢なキャッシュフローがないと返済も滞る。大規模災害なら復興計画を待たないと建て直しができないかもしれない。土地を売却しようにも都市部でない限り買い手がつかず、二束三文で手放さざるを得ないことも。残ったのは債務だけとなると、ライフプランが狂ってしまう。そうならないためにも、いまから保険の見直しを進めてはいかがだろうか。

■取材協力
保険ヴィレッジ

健美家編集部(協力:大正谷成晴)

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