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超高齢化社会目前!高齢者に貸すか、貸さないか。大家さんは高齢者とどう向き合う?

賃貸経営/ターゲット設定 ニュース

2018/05/23 配信

これから日本は超高齢化社会に突入しようとしているにも関わらず、高齢者にとって日本の賃貸業界は決して優しくはない。

高齢者というだけで、お部屋を借りにくいからだ。不動産会社を何件回っても、電話をかけても「年齢が……」と言った段階で「あぁ、ちょっと難しいですね」と断られてしまう。まして独居となれば、物件を選ぶどころか100件問い合わせしても芳しい回答はほぼ得られない。

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高齢者が避けられてしまう理由

なぜか……。いちばんの問題は、法が時代に追いついていないからだ。その昔、賃貸住宅は希少で賃借権は重要な財産であった。そのために賃借権は相続される。

もちろんご家族で入居の場合、賃借人が死亡したら「はい、賃貸借契約は終了したので出ていって」と言われてしまうことは、残された家族にとってはあまりに不安定だ。

しかし独居で生活している場合、亡くなったあとその相続人が引き続き物件を新たに使用する可能性はほとんどない。なぜなら相続人はすでに自分の「住」を構えているからだ。それなのに賃借権は、猫も杓子も相続の対象になっている。

そうなるとどういうことが起こるのか。

賃借人が亡くなった場合、賃貸借契約は終わらない。亡くなった瞬間に、その相続人に引き継がれている。もちろん部屋の中の物も、仮にガラクタであったとしても相続の対象だ。

当然に家主は勝手に財産を処分することはできず、物件を新たな入居者に貸すこともできない。加えて個人情報保護法が壁となるため、家主が相続人を探し当てることは至難の技となる。

さらに悪いことに、独居老人の場合、家族と絶縁していることも多いので、幸運にも相続人が見つかったとしても彼らが相続放棄してしまうと、次の相続人をまた探していかねばならない。

あっと言う間に数ヶ月、下手すると何年かかっても相続人とコンタクトが取れない、と言うこともあり得てしまう。そしてその救済措置を、法は準備していない。結果、賃貸借契約を解約できないままとなる。

人は必ず死ぬ。だからこそ、こういった可能性が高い高齢者は、必然的に避けられてしまうのだ。

滞納になったときも問題は山積み

家賃が滞納された場合、家主側は最終的には訴訟という手続きで滞納者を追い出すことができる。仮に相手が反社会性のある人であったとしても、退去させることはできる。ところが高齢者の場合には、そうとも言い切れない。

訴訟手続きで「明け渡せ」の判決を勝ち取ったとして、それでも賃借人が退去しない場合、原告側は強制執行を申し立て、最終的には執行官が滞納者を追い出してくれる。

しかしそれは滞納者が健全な場合に限られる。もし病気で床に臥せっている場合、執行官は布団ごと部屋の中にいる人を出してはくれない。

同様に「ホームレスとなっても大丈夫だろう」という年齢を超えた場合、執行官は明け渡しの執行を躊躇する。明確に◯歳以降はできない、と公言はされていない。見た目や執行官個々の判断に委ねられている。しかし強制執行の現場では、高齢者の明け渡し執行はとても厳しいのが現状だ。

そのため筆者が建物明け渡し事件を受託したとき、いちばんに確認することは滞納者の年齢と状況なのだ。

執行不能で終わってしまっては、何も解決しないからである。執行できない可能性がある場合、受け入れてくれる施設や病院をこちら側で探し当て、強制執行でその施設等に連れていく、そんな道筋を準備しておかない限り、明け渡しはなされない。

高齢者も生きやすい社会へ

このようなリスクを背負ってまで、家主が高齢者に手を差し伸べることは正直難しい。これは民間の家主ではなく、行政や国が背負う問題だ。だが法改正に至るまでには、まだ時間がかかる。

家主側からすれば空室は増え、特に1階部分は防犯上の問題もあって埋まりにくい。

一方、高齢者だって住む場所は必要だ。全ての高齢者が持ち家とは限らない。そして彼らは、1階に住みたい。だが貸してもらえない。双方の利害は一致しているのに……。

さらに今住んでいる入居者だって、年々歳を重ねていく。若いと思っていても、退去しない限り必ず高齢者となっていく。

来たるリスクを少しでも減らすためにも、家主側はいま借りていただいている賃借人の現状を把握することから始めよう。

家族と一緒なのか、独居なのか。年齢は幾つなのか。緊急連絡先等、ご家族との関係は優良なのかどうか。

その上で現段階から入居者とコミュニケーションを密にし、万が一の時に困らないよう準備をしていこう。予めご家族や緊急連絡先、もしくは行政と連携をとっておく。

賃借人本人とも、定期的に連絡を取っておく。孤独死を避けるためにも、高齢者を部屋の外に出すような工夫をする。具体的には物件の共用部分の掃除や植栽等の水やりを、お願いするとかでもいい。

人は必ず平等に歳をとる。空室高齢化社会。賃貸業界も大きく変わる時代がきている。

太田垣章子(おおたがき あやこ)

【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所代表
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

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