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実は属性が高い?LGBTの受け入れ、誤解・不安の解消で新たなビジネスチャンスに

賃貸経営/ターゲット設定 ニュース

ここ数年、ゴールデンウイーク中に開催される「東京レインボープライド」や、自治体による「同性パートナーシップ認定制度」の導入で、「LGBT」という言葉に触れる機会が増えている。

多様性ある社会の実現を目指し、企業や行政によるLGBT支援が進められる一方、現場レベルではまだまだ苦労は尽きず、なかでも家探しはかなりハードルが高いという。誤解や偏見によるイメージが壁となり、貸す側も不安を感じてしまうが、実際には「基本的な審査条件で判断する」というシンプルな考え方で十分対応できるという。

レインボーフラッグ
レインボーフラッグ

■推計1,000万人といわれるLGBT人口

LGBTとは、「レズビアン(女性の同性愛者)」「ゲイ(男性の同性愛者)」「バイセクシャル(両性愛者)」「トランスジェンダー(心と体の性別が一致していない人)」の頭文字で、4つの性的マイノリティーの略称として使われている。

また、身体的性別特徴が男女どちらともいえない「インターセックス(性分化疾患)」や、男女どちらにも性的魅力を感じない「アセクシュアル」など、LGBTに含まれない性的マイノリティーの人も含めて、「LGBTs」「LGBTQ」と表すこともある。

日本のLGBT人口規模は8%程度と推計(日本労働組合総連合会・2016年6月調査)されている。これを人口換算(1.3億人)すると約1,000万人で、神奈川県の人口(918万人)を超える規模だが、LGBTは「いない」のではなく「伝えにくい」ことを考慮すると、潜在規模はもっと大きいと考えられる。

LGBTに注目が集まったのは、2015年11月に渋谷区が自治体として初めて「同性パートナーシップ認定制度」を導入したことが大きい。

法的に認められていない同性婚について、自治体が公的に認め、公営住宅などの賃貸借といった生活支援を行う制度で、2019年4月時点で12自治体が導入(4自治体が検討中)している。なかには事実婚も適用対象としたり(千葉市)、外国籍の住民が多い地域性を考慮し人権擁護の観点から制度を導入した自治体(大泉町)などもあり、導入の動きは全国に広がっている。

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同性パートナーシップ認定制度を導入している自治体

■苦労する住まい探し。担当者レベルで断られる例も

LGBT当事者は、教育や就労、医療、公的サービス・社会保障といった生活場面で、さまざまな困難が伴うが、とくに住まい探しについては理不尽な断られ方をされる場合もあり、当事者にとって大きなストレスになっているという。

LGBT当事者が単身で探す場合では問題は表面化しないが、同性パートナー同士やトランスジェンダーの人の場合だとかなりハードルが高い。

例えば、同性パートナー同士では、ルームシェアを前提とされたため該当物件が少なくなり選択肢が狭まったり、内見中に担当営業者から属性を聞かれた結果、その場で契約を断られた例もあるという。

トランスジェンダーの場合では、容姿と戸籍上の性別・氏名のギャップがあることで、契約段階で拒否されることも多いそうだ。また、オーナーにLGBT可能かとの確認をせずに仲介会社の担当者レベルで判断されてしまうことも、大きな問題だろう。

リクルート住まいカンパニーが昨年実施したLGBT実態調査によると、住まい探しでセクシャリティに起因する困難や居心地の悪さを経験したLGBT当事者は約3割。不動産オーナーへの調査では約8割がLGBTという「言葉」を認知し、「応援したい」という回答は37%という結果となっている。

また同性パートナー同士の入居を「気にせず許可する」との回答は、男性同士は36.7%、女性同士が39.3%で、ルームシェアの回答率(男性同士34.9%/女性同士39.8%)とほぼ同じだった。一方、受け入れに積極的な意向を示しているのは若手世代で、年齢層の上昇とともに消極的な傾向がみえる。認知が進んできつつあるとはいえ、やはり当事者がストレスなく賃貸できる状況には至っていないといえる。

■特別視せず、「支払い能力で判断すればOK」

2017年からLGBT向けの賃貸仲介を手がける株式会社IRIS(東京都世田谷区)の須藤啓光社長は、「同性パートナー同士が家を借りづらいという問題は、ジェンダーバイアスの側面が大きいが、バイアスという部分だけでみれば外国人や障がい者、高齢者、シングルマザー、起業家など、いろいろな属性にもつながる」と指摘する。

不動産賃貸では、家賃対応や孤独死といったリスクが伴うため、どうしても事前のリスク排除を重視する傾向にあるが、LGBT層へのリスクと考えられている部分は、あくまでも個人的な部分だ。

「性自認や性的指向といった属性はあくまでも個性。入居基準は支払能力といった従来の審査条件で判断すればいいので、特別視する必要はない」と、須藤社長は話す。実際、同社には高所得層のパートナー同士からの相談が多く、賃料設定もかなり余裕があるという。

また会社の方針として、事務所にはLGBTを連想させるような看板を出さず、来店も完全予約制とし、プライバシーに配慮して個室も準備するなど、社会的な配慮を欠かさない。問い合わせがあっても不要な個人情報は聞かず、「契約まではお客様が自称する名前で呼ぶようにしている」(同社・石野大地取締役)とのこと。

LGBT当事者だからわかる気配りにより、この2年間で同社への問い合わせやWebサイトのアクセス数は倍増し、自社物件や運営委託しているシェアハウスについても、「LGBTフレンドリー」(LGBTを理由に入居相談や入居を断ることがない)が他社との差別化となり、満室稼働が続いている。

「ストレスなく家探しができ、安心して暮らせる」と入居者の満足度も高く、継続利用や次の入居者紹介につながるなど、「経営面でもプラスに循環している」(須藤社長)。

「LGBTが自分らしく生きられるよう、不動産会社として支援していきたい」と話す須藤さん(左)と石野さん(右)
「LGBTが自分らしく生きられるよう、不動産会社として支援していきたい」と話す須藤さん(左)と石野さん(右)

■多様性を理解すれば、ビジネス領域の拡大にも

「オーナーの皆さんが漠然とした不安を感じることも理解できる」と話す須藤社長。LGBTについての正しい知識・情報がないために生まれる不安・誤認が解消できれば、あとの対応は「『住みたい家で安心して暮らしたい』という気持ちに寄り添う」という、不動産業の基本そのもの。そのため、オーナーや管理会社に対して、LGBTについての誤解の解消と物件掲載への交渉を地道に重ね、少しずつ「LGBT可」物件データを増やしていったとのこと。

またSUUMOで「LGBTフレンドリー」の条件で物件検索ができるようになるなど、業界内でも動きが出始めた。

須藤社長は「少子高齢化が進み空き家も増えていく中で、LGBTという切り口は差別化戦略の1つになり得る。旧来の婚姻制度のような常識にとらわれず、柔軟かつシンプルに考えればいいのでは」とし、同社としても積極的に情報を発信し「気づき」のきっかけを増やしながら、不動産会社との協力の輪を広げていく方針だ。

さらに同社では、須藤社長の金融業の経験を生かし、各種保険や住宅ローンの相談にも乗っている。

今後、同性パートナーシップ認定制度などを通じ同性婚が広がっていけば、「次の段階として子どもを持つ・育てるという流れになり、そうなれば家族で住むための家を買いたいというニーズも増えていくだろう。社会的承認が得られていけば、住宅取得のハードルも下がってくると考えている」とのこと。多様な家族のあり方という発想の転換ができれば、新たな顧客層の獲得にもつながっていくだろう。

健美家編集部(協力:玉城麻子)

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