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閣議決定された「建築物省エネ法」の改正案、不動産投資家への影響は?【不動産投資家の建築知識018】

不動産投資全般/建築知識 ニュース

2022/05/12 配信

「2050年CN(カーボンニュートラル)」を目指す、という世界的な目標の実現に向けた、具体的な国内の政策が実施準備に入った。

2022年4月に閣議決定された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」の目指すところ、それが建築事業オーナーに与える影響についてまとめてみよう。

不動産投資 建築知識 地球環境 脱炭素 

2022年4月に閣議決定された改正案の内容

現在では国内のエネルギー消費の1/3を建築物分野が占める現状の中、平成27年12月のCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、日本も採択したパリ協定とそれに基づく「日本の約束草案」(令和12年度削減目標)、2030年度に2013年度比ー26%を達成するためには、建築物部門の大幅な削減達成が不可欠となっていた。

平成27年に定められた「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に関する更なる改正案が2022年4月に閣議決定され、年度内の国会審議にかけられることになった。
その概要は

(1) 省エネ対策の加速
@ 省エネ性能の底上げ・より高い省エネ性能への誘導
‐ 全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け
‐ トップランナー制度(大手事業者による段階的な性能向上)の拡充
‐ 販売・賃貸時における省エネ性能表示の推進
A ストックの省エネ改修や再エネ設備の導入促進
‐ 住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度を創設
‐ 市町村が定める再エネ利用促進区域内について、建築士から建築主へ再エネ設備の導入効果の説明義務を導入
‐ 省エネ改修や再エネ設備の導入に支障となる高さ制限等の合理化

(2) 木材利用の促進
@ 防火規制の合理化
‐ 大規模建築物について、大断面材を活用した建築物全体の木造化や、防火区画を活用した部分的な木造化を可能とする
‐ 防火規制上、別棟扱いを認め、低層部分の木造化を可能に
A 構造規制の合理化
‐ 二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な3階建て木造建築物の範囲の拡大 等

(3) その他
‐ 省エネ基準等に係る適合性チェックの仕組みを整備 等

となっている。

これらにより、2030年の温室効果ガス削減46%、2050年のカーボンニュートラル社会実現を目指し、また木材の建設利用の合理化による温室効果ガスの吸収源強化が目指される。

これにより具体的には「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」により目標とされた「住宅の省エネルギー化(新築)」、「住宅の省エネルギー化(改修)」、「建築物の省エネルギー化(新築)」、「建築物の省エネルギー化(改修)」項目に関する削減量計889万kLを目指す。

外皮の断熱施工
外皮の断熱施工

改正後に生じる投資家、オーナーへの影響について

この改正案実施以後に生じるであろう、投資家、オーナーへの影響について考えてみよう。これらの制度の改正により投資家の合理的な行動判断にはどう変化が生じるのだろうか。

参考:脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方に関するロードマップ(国土交通省・経済産業省・環境省)

@2025年「全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け」
→これにより、義務化以前と以降の建築の市場価値に格差が生じることだろう。1981年の新耐震基準前後の建築の市場評価と同様に大きな格差のある評価が与えられることになろう。

したがって2025年の実施までは任意の対応となるが、可能であればこれから新築するものについては同基準の性能を前提として計画すること、およびその性能評価(ラベリング)を意識して取得しておくことなどが建築主、オーナーの取りうる対策であり、また投資家にとっては物件がそれらの要件を満たしていることを確認することが善後策として必須になろう。

A ストックの省エネ改修や再エネ設備の導入促進
→この施策は今後の国会審議の結果により速やかな実施が予想される。併せて促進の助成策が公表されることになろう。これらの施策により、既存物件に対して同等の性能を改修によって実現すること、そしてまた性能評価(ラベリング)を取得すること、などを2025年までに事業計画に組み込んで準備することが投資家行動として重要になる。想像以上に市場への影響は早く現れるだろう。

B木材利用の促進に関して
→これに関しては、一般に木材を活用しやすくするための改正が主であり、防火、構造の二面において木材が利用できる範囲を広げたものになる。建築自体の性能の向上という点よりもむしろ、これらの利活用の事例が増えるにあたって、実際の利用者、居住者にとっての選好傾向が変化していく(広がっていく)流れになろうと思われる。

具体的には内装、外装への木質系のデザインが増えて一般的になることで、それ以前のサイディング系の外壁や、ボード+クロスといった現在の一般的な仕上げが陳腐化とみなされることが考えられるだろう。とはいえそれらを活用するためには、改正後の防火、構造の規定をきちんと理解し順守することのできる専門家との協働が必要となるため、きちんと確認しながら進めることが望ましい。

これらの改正の動向を引き続き注視しつつ、新たな市場の潮流を見定めて投資、所有、企画を進めていきたいものである。

中大規模建築の木材利用へ
中大規模建築の木材利用へ

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執筆:新堀 学(しんぼり まなぶ)

新堀 学

■ 主な経歴

建築家。1964年埼玉県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。安藤忠雄建築研究所所員を経て、1999年より新堀アトリエ一級建築士事務所主宰。独立後、リノベーションを中心として、設計のみならず建築の保存再生から地域文化活動へと広く携わり、建築の企画から利活用にわたり、技術と制度を活用した柔軟な提案を行っている。
一般社団法人HEAD研究会理事、一般社団法人住宅遺産トラスト理事。

■ 主な著作

  • 2002年:リノベーション・スタディーズ(lixil出版)共著
  • 2004年:コンバージョン設計マニュアル(エクスナレッジ出版)共著
  • 2005年:リノベーションの現場(彰国社)共著
  • 2016年:建築再生学(市ヶ谷出版)共著 ほか

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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