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「ゴミ屋敷」と侮るなかれ。最悪の場合は「建て替え」の危機に。大家さんのための「ゴミ屋敷」対処法

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2018/03/22 配信

この10年、賃貸業界で増えてきたトラブルといえば、ゴミ屋敷問題だろう。高齢者だけでない、若い賃借人にも増えている。

ゴミ屋敷と侮るなかれ。「汚い」のレベルではないのだ。床からゴミ袋が何層にも積み上げられ、その高さが優に1メートルを超えることもある。

ひどい時には2部屋の天井まで、ゴミが積まれていたこともある。家具や冷蔵庫の扉が、ゴミが邪魔して開けられない、そんなことは普通に見受けられる光景。

高齢者の部屋 片づけることが億劫になった結果だ
高齢者の部屋 片づけることが億劫になった結果だ

だがここまでくると、ゴミから出た水分が床材を腐らせてしまうし、悪臭も染み込ませてしまう。このような場合の原状回復費用は、本来は当然に賃借人負担だが、払ってもらえるケースは稀であろう。家主にとって「ゴミ屋敷」は、死活問題に直結すると言っても過言ではない。

深刻な場合は、アパート建て替えの危機に直面する

具体的な事例を見ていこう。

ある50代のシングルマザーが滞納を始めたということで、明け渡しの依頼を受けた。現地に行ってみると、玄関ドア付近の共用部分にゴミが溢れていた。

ここがポイントなのだ。玄関付近に物が置いてある場合、まず部屋の中のゴミ屋敷化を疑った方がいい。高い確率でこの推理は当たっている。

こういった光景を目にした場合、注意するふりをして室内を覗き見る機会を積極的に作ろう。書面で注意勧告してはいけない。現地でピンポンして、話をするためになんとかドアを開けてもらおう。そうすれば室内が安全かどうか、その目で確認することができる。

もしドア越しでしか話ができない場合には、消防器具の点検等で中に立入れるチャンスを作って行くしかない。そうしてでも自分の財産を守る積極性が必要だ。

小さな女の子を含む、ある3人家族のリビング
小さな女の子を含む、ある3人家族のリビング
3人家族はここに寝ていた
3人家族はここに寝ていた

話は逸れたので、元に戻そう。この賃借人はドア横の窓から出入りしていたようで、ある日窓が少し開いていたので中を覗き見ることができた。

そこで筆者は息をのんだのである。室内はゴミで埋め尽くされ、ありとあらゆる扉は開けっぱなしになっていた。つまり生活に支障がないようにドアの開閉は確保され、その上でゴミは置かれ放題になっていたのだ。

この賃借人とは何をしても連絡が取れず、最終的に明け渡しの判決をもらって強制執行で室内の物を撤去した。2DK45平米の広さにも関わらず、必要とされたトラックは2トンのロングサイズ2台。家具類はほとんどなくその全てが生活ゴミだった。

ゴミを退けてみると、フローリングは水分で凸凹に波打ち朽ち果てていた。1階だったので、なんと躯体部分まで腐っている箇所があった。結局この木造アパートは、築10年足らずで建て替えざるを得なくなったのだ。

「ゴミ屋敷世代」は高齢者だけでなく、若者にも多い

このゴミ屋敷、いったいどの世代に多いのだろうか。

確かに動きが鈍くなってきた高齢者には、見られることはある。だが圧倒的に多いのは、若者から中高年にかけてだろう。

若者の場合は、引きこもりがちな子が多い。男女比も半々だろう。彼らは夜中にコンビニに買い出しに行き、食べる、そのまま放置する、また買い出しに行くといったルーティーンから部屋中にゴミが溜まってしまうというパターン。

楽しくワクワクといった生活スタイルではないため、片付けようという前向きな気持ちになれないらしい。

便器の横に食べ残しのカップラーメンが置いてあった賃借人に聞いてみた。食べかけの物の置かれていた場所が気になったからだ。答えは単純。食べている最中にもよおし、置く場所がないからトイレに持っていき、便器に座りながら食べ、終わったから横に置いた。ただそれだけのことらしい。

そもそも彼らはトイレでだって、食事をすることができる。その感覚だからこそ、室内のゴミの山でも平気だし、ゴミの上に座りそして睡眠をとることもできる。

中高年の場合には、発達障害のような病気からゴミ屋敷に発展していくのが一般的のようだ。

どちらにしても家主側からすると、たまったものじゃない。原状回復に数百万から、先のケースのように建て替えを余儀なくされることもある。自分の財産は自分で守るしかない。ではどうしたらゴミ屋敷を避けられるのか。

これはいかに入居者と物件を注意深く見ているか、これに尽きる。

玄関周りやベランダ、共用部分にゴミがはみ出していないか。1棟物なら戸数とゴミの量のバランスが取れているかどうか。悪臭はしていないかどうか。

入居者の服装が汚れていないかどうか。集合ポストはどうだろう。部屋がゴミ屋敷なのに、ポストがきれいに保たれていることはないはずだ。注意深く見ていれば、必ず早期にゴミ屋敷を見つけることができる。

そして次に重要なのは、入居者とのコミュニケーション。後ろめたさを感じるゴミ屋敷の住民は、できるだけ家主側との会話を避けようとする。

逆を言えば、コミュニケーションがきちんと取れる入居者に、ゴミ問題を抱える賃借人はいないはず。自身の財産である物件を守るためにも、コミュニケーションはいちばん大切だと心得ておこう。

太田垣章子(おおたがき あやこ)

【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所代表
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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