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デュアルライフの可能性。二地域、多地域居住で不動産需要が拡大?

不動産投資全般/社会問題 ニュース

2020/09/23 配信

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9月16日に臨時国会が召集され、14日に自民党総裁になった前官房長官の菅義偉氏が首相指名選挙を経て99代首相に就いた。ポスト安倍政権の座をかけての論戦で、菅首相は地方創生に向けての取り組みを強化すべきだと力を込めた。

新型コロナウイルス感染拡大によるリモートワーク(在宅勤務)の普及に伴い地方が脚光を浴びている。東京一極集中の是正に向けての論議が再び盛り上がりそうだ。

今年5月に成立した改正国家戦略特区法では、人口減少や少子高齢社会といった社会構造の変化に対応するための規制改革が一括でできるようにした。

リモートでは、仕事にとどまらず、高等教育の機会や診療・介護の機会の提供などを推進することで地方の移住を促すとともに、東京一極集中の是正につなげたい考えだ。自民党内では、「地方創生・未来都市推進議員連盟」を立ち上げて自治体を支援する動きもある。

安倍政権下の経済政策であるアベノミクスは、インバウンド消費などもあり全国的に地価の上昇が波及したことで資産デフレの解消を評価する声が上がる一方で、地方の潜在的な可能性を引き出せたとは言えず地方創生の取り組みの強化を訴える声も少なくない。

健美家入稿用200複数拠点
出所:不動産流通経営協会

◎定住人口の奪い合いに活路も……

コロナが社会に与えている現状は、単なるショックなのか、それとも社会構造が根本的に変化したのかはまだ読み切れないものの、大都市部から人が離れている様相も見られる。東京都の人口は6月1日時点で1400万人を下回った。

東京都の転出超過は2013年以来初めてで、日本人に限って見ると、東日本大震災後の2011年7月以来の転出超過ということになる。

こうした中で、これからの街づくりについて、明治大学名誉教授の市川宏雄氏は、人の移動パターンと働き方の変化などが影響を与えることを踏まえながら、定住人口を増やすための街づくりでターゲット層を明確にする必要があると訴えている。

地方自治体では、若者を呼び寄せる施策にあれこれと思案する。持続可能な地域社会総合研究所によると、過疎市町村の人口動態を2014年と2019年で比較したところ、鹿児島県三島村では30代女性の増加率が179.8%と驚くほどに高い。

不動産専門紙の週刊住宅では取材記事で三島村を取り上げており、それによれば、「女性の移住を受け入れる独自の行政サービスを実施し、定住支援策が打ち出せたところが人口を増やしている」と同研究所の声を紹介している。

三島村では、UターンやIターンを対象にした定住策として移住した家族に50万円相当の仔牛を一頭プレゼントしたり、生活助成金を3年間毎月支給して新築戸建ての公営住宅を格安家賃で提供しているとする。

◎交流人口の増加で広範囲に地方が潤う

ただ、その一方で定住人口の増加を目指すと人口減少の中でパイ(人)の取り合いに終始することになれば潤う地域とそうではない地域が必ず出てくるのが見えている。つまり、勝ち組と負け組が出てくる。このことから、地方は定住人口を増やすという施策ではなく、交流人口を増やすことにより日本が全体的に潤うような施策が重要だとの指摘がある。

その施策として急浮上しているのが二地域、多地域居住である。リモートワークを交えながら週3日間ほど東京や大阪、名古屋、福岡といったそれぞれの都市部にある会社に通勤し、残りは地方の田舎で過ごしながら仕事と生活を楽しむといったものだ。

自宅のほかに拠点を持つ。このような生活スタイルは、比較的お金持ちの人、一部の富裕層によるものだとのイメージが強いが、実は一般的なサラリーマン層が多いことが分かった。特殊なライフスタイルではなくなっている。

不動産流通経営協会は、「複数拠点生活に関する基礎調査」を7月に初めて取りまとめたが、それによれば、複数拠点の実施者は、世帯年収ベースでの中央値が500万〜600万円未満となっている。

二地域居住や多地域居住に焦点を充てて20〜79歳を対象に調べたもので、複数拠点での生活を既に実施している人は約617万人、これから複数拠点の生活をしたいとの意向を持っている人が約661万人と推計している。2019年は約77万人、2020年も3月末時点で約55万人が実施したとする。

複数拠点の目的については、「自分の時間を過ごす」や「避暑・避寒・癒し・くつろぎ」などライフスタイルを楽しみたいという積極派のほかに、「転勤・単身赴任」や「介護」といった消極派に分かれるが、全体的に複数拠点の生活に満足している割合が65.5%と半数を上回っている。

サブ拠点の住まいについては、戸建て住宅などの持ち家を選択するケースが多いのも特徴だ。実施者では75.3%が持ち家で占めている。意向者でも63.5%を占めており、地方での住宅購入ニーズが一定程度あることがわかる。

◎希望と現実にギャップも

ただ、サブ拠点先は希望と現実が乖離している現実も突き付けている。同調査によると、これから複数拠点の意向を持つ人の希望としては沖縄や海外が多いものの、既に実施している人でそのような希望を実現している人が少ないことも判明した。

サブ拠点先として、実施者の4割が同じ県内にとどまり、約2割が同じ地方内だった。メインの居住地から平均2時間強の場所に落ち着いている。遠距離のサブ拠点のハードルは高い。物件の購入費や維持費だけでなく、交通費などの資金面を支援する政策で刺激する必要がありそうだ。

一方、都市部から地方圏への流れだけではなく、その逆の二地域・多地域居住の流れもある。東日本で見ると、東京都を中心とした首都圏でサブ拠点を探り、近畿〜岡山の間のエリアは大阪を中心とする関西圏の都市部でサブ拠点を求めている傾向もわかった。

二地域・多地域拠点の市場規模が今後厚みを増していくことは、都市部に集約されていた不動産ビジネスにも広がりが出てくるかもしれない。

(鹿嶋淳一)

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