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あと10年弱で高齢者は3人に1人に! 不動産投資家は「高齢者を入居させない?」「入居してもらう?」

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2022/08/07 配信

超高齢化社会への一途をたどっている日本は、総人口当たりの高齢者の割合が2035年には32.8%になるという予測(総務省統計局「高齢者人口及び割合の推移」)。

あと10年ちょっとで3人に1人が高齢者となるデータだが、これはもっと前倒しになるだろうといわれている。それに伴い、起こっている問題の一つが「高齢者が住まいを確保することが難しくなっている」という現状だ。この件について、賃貸トラブルのエキスパート・太田垣章子さんにご協力いただき、まとめてみた。

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多世帯で暮らすのが当たり前だった昭和の時代と異なり、現在は家族のサポートなく単身で賃貸住宅に住む高齢者が増加している。そのような高齢者の入居を、賃貸物件のオーナーは避けたがる。

その理由として挙げられるのは、

■高齢の賃借人は亡くなるリスクが高い

■孤独死で事故物件になるリスクが高い

■認知症のリスクが高い

などが主なもの。

しかしながら、3人に1人が高齢者という世の中で、若い入居者ばかりを確保することができるだろうか…?

実際問題として多くのオーナーは、物件力、管理能力などの観点から高齢者を入居させない選択をするのは難しい。今後のことを考えて頭を抱えているオーナーがまずどうしたらいいのかというと、「リスクに備えて知識を得ておくこと」だ。

亡くなるリスクに備える「死後事務委任契約」

■高齢の賃借人は亡くなるリスクが高い

この場合、オーナーが直面する頭の痛い現実は…

・相続人を探して「賃貸借契約の解約手続き」「残置物の処分」をしてもらわなければならない

・相続人が相続放棄をしてしまう

・次の相続人を探して「賃貸借契約の解約手続き」「残置物の処分」をしてもらわなければならない

・次の相続人も相続放棄を…が繰り返され、相続人がいなくなる

・このような事態になった場合、オーナーは相続財産管理人の選任手続きをして前出の手続きを終了させることで、ようやく次の賃借人に貸すことができるようになる

という流れだ。

かかる時間は1年半〜2年とも言われており、もちろんその間の家賃収入は見込めず、経費はかさんでいく。

どうしようもなくなって、勝手に残置物を処分して次の賃借人に貸してしまえば自力救済として違法となる。これでは、若い人より死亡リスクが高い高齢者の入居を避けたくなるのは当たり前だ。

このリスクを回避するために知っておきたいのが、国土交通省住宅局住宅総合整備課が策定、公開した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」だ。

これは、賃貸借契約の解約と残置物の処分について、死後事務委任契約を締結しておきましょうというもの。

賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与えておくとともに、残置物の廃棄や指定先への送付などの事務を受任者に委託することができる。賃借人が亡くなったとき、速やかに賃貸借契約を解除することができ、残置物の取扱いに頭を悩ませる必要もなくなる。オーナーを守り、単身高齢者に部屋を貸すことのリスクを軽減する道筋ができたといえるだろう。

公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会 ガイドブック1
公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会 ガイドブック1
公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会 ガイドブック2
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孤独死に備えて知るべき「告知義務」と事故物件にしない手立て

■孤独死で事故物件になるリスクが高い

この場合、オーナーが直面する頭の痛い現実は…

・入居者が室内で亡くなったら、次の入居者の確保が難しく、家賃も下げなければならない

・清掃費用(場合によっては特殊清掃となることも)

・原状回復のためのリフォーム費用

など。

過去に人の死があった物件は、死亡理由やその後の状態によっては心理的瑕疵(物件内で人が亡くなったことで良好な住み心地が損なわれること)が生じてしまう。しかし、「人の死があった物件」=「告知義務のある事故物件」ではないことを知っておきたい。

従来は、人の死があったことについて告知するべきかの要否やいつまで告知すべきかは、宅建業者によって対応が分かれていた。そのため、後にトラブルが発生したり、孤独死を恐れたオーナーが高齢者の入居を拒んだりする事態が多発。そのため、2021年10月に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死に関するガイドライン」を発表した。

告知義務 判断のポイント

ここで注目してほしいのが、老衰や病死などの自然死、不慮の事故死は、事故物件として借主に告知する義務はないということ。逆に、亡くなったことに気づくことができずに放置したことで、特殊清掃や大規模リフォームが必要になった場合は、事故物件として告知しなければならない。

ということは、「元気で暮らしているかどうか」気を配ることで、高齢入居者が亡くなることで事故物件となるのを防ぐことができるということだ。

近年は、プライバシーに配慮しながら入居者を見守ることができるサービスも、安価で多種多様なものが提供されている。若い世代受けを狙った高額な大規模リノベーションを検討するよりも、よほど現実的なのではないだろうか。

認知症対策・対応の備えとなるのは「コミュニケーション」

■認知症のリスクが高い

この場合、オーナーが直面する頭の痛い現実は…

・家賃滞納が始まる

・片づけられず汚部屋になる

・共有部で粗相をしてしまうことがある

・頻繁に電話がある

・泥棒が入ったと騒ぐ

・徘徊して物件に戻らない

・施設に入所してしまった

など。

ひと昔前は、地域の民生委員が気を配っていたことだが、現在は人材不足や個人情報保護法による情報不足から、対応が行き届かなくなっている。これらについてオーナーや管理会社が対応するのは、荷が重すぎるというものだ。

高齢で入居している・する人がいた場合は、なるべくコミュニケーションをとることが何よりも大切なこととなる。少しでも異変が現れたり、本人が自分でできることが少なくなってきたら、本来支援すべきは家族。

しかしその支援が得られない場合は、地域包括支援センターのケアマネジャーにつなげば、オーナーもしくは管理会社の負担は随分軽減されるはずだ。ただし地域包括支援センターとも、高齢入居者の困りごとが発生したときにすぐ対応してもらえるよう、普段からコミュニケーションをとっておくことも重要。

昔の大家と店子のようにとまではいかなくても、かかわる人と人との間に日ごろから会話があれば、多くのトラブルは解決できるはず。

不動産業・家主業は人生にかかわる仕事

太田垣章子さんは、「『不動産投資業』『家主業』とは、人に生きる場所を提供する仕事。人の人生にかかわる仕事」だと語る。

「投資とはいっても、株式のように待つだけのものではなく、自分自身の姿勢・対応でなんとでもできるのが不動産投資業であり、家主業です」。

持っている物件に空室があるのなら、どうして空室なのかを考えるとともに、もう一つの手段として高齢者に入居してもらうことのメリットにも目を向けてみてはどうだろうか。

「高齢者は、若い人のように就職、転勤、結婚などのライフイベントでの転居が少なく、長期的に住んでもらえるケースが多いですよね。元気な高齢者であれば、少し家賃を下げる代わりに物件の掃除などをお願いするのも一手。

マメに掃除をする人が居れば物件に目が届きますし、キレイで人目がある物件は“人目を避けたい詐欺集団”的な人たちからは入居を敬遠してもらえます。

高齢者にとっては『ありがとう』と言われる充実感があって、ほかの入居者と会話する機会も増え、孤独を感じる時間も減るでしょう。住んでもらっている間、お互いがいかに幸せに過ごせるかを模索することが賃貸オーナーの役割なのではないでしょうか」

高齢者の入居は、リスクと対処法を理解すれば選択すべき

こうして、高齢の入居者を受け入れる際のリスクを紐解いていくと、印象が少し変わるはず。

リスクは確かにある。しかし、知識を得て備えておくことで、対処することは可能だ。太田垣さんの言葉通り、メリットもおおいにある。これからの時代の賃貸経営においては、リスクとその対処法を十分理解したうえで、高齢者に入居してもらう選択をしていく必要があるのではないだろうか。

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協力/OAG司法書士法人

代表 太田垣章子(おおたがきあやこ)氏

■ 建美家での最新執筆記事

https://www.kenbiya.com/ar/ns/for_rent/chintai_keiei/5893.html

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取材・文/赤石牧子

■主な経歴

住宅系出版社3社で編集業務に携わった後、フリーのライターとして活動。得意ジャンルは不動産。これまで取材した不動産は3000件近く。転勤族の夫とともに地方都市を渡り歩く中で、地域ごとに異なる街の在り方、住まいの特性を見聞きするのもライフワークの一つに。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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