今はメガ大家として有名なあの人が、不動産投資を始めて1軒目や2軒目に買ったのは、どんな物件なのだろう? そんな疑問にお答えする新企画がスタート。記念すべき第1回では、サラリーマン大家の先駆けとして、2005年から不動産投資を行ってきた赤井 誠さんにお話を伺った。赤井さんは、健美家コラムでもおなじみだが、これまでになんと12億円を不動産に投資。現在は専業大家として、16棟117室を所有し、家賃収入は年間1.2億円。そんな赤井さんが1軒目を買うまでの知られざるヒストリーをご紹介する!

●DIY好きが高じ、別荘を建てようとしたのが
不動産投資を始めるきっかけ
もともとDIYが好きで、軽井沢や八ヶ岳などに別荘を建てたいと思っていた赤井さん。通勤途中にマネー雑誌『ビックトゥモロー』を読んで、不動産投資について知ることになる。
「コンビニで立ち読みした雑誌に、家を自宅用に買っては人に貸す『やどかり』方式で儲けている人がいること知りました。別荘を買っても、自分でたまに行くだけでは儲けにならない。でも貸せば、副収入になる。別荘を買うよりも、こっちのほうが面白そうだと思ったのです」
その後、不動産投資に関連する書籍を買いこみ、一日で読破。15年ほど前は、まだ不動産投資の本といっても数えられる程度しかなかった。本を読んで、すぐに「これならできそうだ」と思って赤井さんは、大手の不動産業者に行き、投資用物件の情報を10軒ほど入手する。
「最初は近場で、東京や神奈川の区分所有を中心に見ました。情報をもらったら、家に帰ってすぐ家賃、管理費、修繕費など、エクセルで表にして、実質利回りは何%か、シミュレーションしました。良さそうなものは週末に見て、買い付けをいれるのですが、2度売り主都合で、キャンセルされ、思うように最初の1戸がなかなか買えないのです」
●痛手の少ない区分からと思っていたものの、
利回り約20%の地方の1棟アパートにシフト
最初は、600万円ぐらいで買える区分所有の物件を狙っていた。失敗しても400〜500万円は戻ってくると考え、痛手が少ないと思ったからだ。しかし、3カ月経っても、売り主都合で断られるなど、うまくいかない。勉強しているうちに、地方の1棟ものがいいという情報をえるようになる。
「エリアを関東以外にも広げ、福岡の物件に資料問い合わせをしました。すると、ちょうどオリックス銀行が福岡に開店して、融資に意欲的なことを知り、属性を伝えると、サラリーマンだったこともあり、5000万円は融資してもらえるというので、週末に福岡に飛んで、物件を見に行きました」
そこで現地の不動産会社にオリックス銀行を紹介されたことで、元手200万円もかけずに、なんと、1棟アパートを手に入れられることを知る。

「2380万円の1棟アパートを2100万円に指値をして、買い付け入れたのですが、話がつかず、ほかに、こんな物件もありますよと業者に紹介された物件を2100万円で買うことに。あとあとそこが元付業者の物件で、スムーズに金額交渉できたことを知りました」
購入したのは福岡県東区にある木造で、1Kが10戸入る1棟アパート。購入の決め手になったのは、駅から徒歩5分で近くに大学もあるという立地。そして、ワンルームが12戸。表面利回りは、満室想定で19.3%と悪くないことだ。
4室空室があったが、12月ということもあり、「3月までには満室になりますよ」と管理会社はいう。それが、この後、とんでもないことに・・・。
●12戸中6戸空室。3月になっても埋まらない!
管理会社のずさんな対応に大ピンチ!
購入後、さらに1戸空室になり、空室が5室に。週末に飛行機に乗って、ペンキがはげたところなどを自分で塗ったり、目地の汚れを落とすなどするも、空室は一向に埋まらない。「どうなっているんだ?」と管理会社をつついているうちに、繁忙期が終わってしまった。
「あとあと分かったのは、物件過多のエリアで、賃貸が弱い地域だったのです。今なら、そのエリアに詳しい人に聞けば、ここはキツイと分かるのですが。まだそれが分からない中で、買ってしまった。でもこのままではダメだと思い、物件の写真を自分で撮って、マイソクを作り直し、近隣の業者に、入居者を決めてくれたら、商品券もプレゼントすると書いた手紙をマイソクと共に20〜30社に送りました」
すると、翌日、手紙を読んだ業者から連絡が入り、ある業者が2〜3カ月で、あっという間に満室にしてくれたのだ。
「この辺で物件を探しているという人をどんどん連れてきて、入居を決めてくれたのです。とてもありがたかったのですが、埋まったと思ったら、今度は、数カ月で退去していくんですよ。つまり、入居者の質が低い。派遣の仕事でこの街に来たけれど、すぐ仕事を辞める人が多いのです」
再び、空室が3戸、5戸と増えていった。所有している1年半、管理会社は、ついに1戸も入居者を決めなかった。
「管理会社を変えようにも、どんな管理会社があるかも分からなかった。そんな時、とあるイベントで会った、独立したての管理会社の人に相談をすると、物件の募集内容を見て、どう変えるべきかアドバイスをくれたのです。この人に管理を依頼しようと思っている矢先に、大家仲間からのアドバイスもあり、売ることに」
●1年半で、1棟目を売却することに!
総収支では、100万円程のプラス
2300万円で売り出したが、2100万円に指値をされ、結局、購入したのと同じ金額で売ることに。
「最終的に、買った会社で売ったのですが、ここは売買が専門の会社。管理ができない会社でした。この物件を購入したのは、東海エリアに住むサラリーマン大家で、1年後に見に行ったら、家賃3万円台だったのを2万で募集していました。それでは儲からないでしょう」
1軒目の収支は、キャピタルゲインは、プラスマイナスゼロだが、インカムゲインでは100万円ぐらいの利益となった。利回りでいうと、3%ほどだ。
驚くべきことは、この物件を買うのと同時並行して、物件を探し続け、1軒目の金消契約のその日に、銀行の担当者に2軒目の融資の打診をしていたことだ。すると、驚きの、答えが・・・!

→後編につづく
健美家編集部(協力:高橋洋子)