20〜30代限定の「TerraCoya大家の会」を仲間と共に主宰する辻龍一さん。20代から不動産投資を始め、3棟購入し、会社員時代の収入を超えたことを機に自分のやりたい事業に専念。仲介業者や管理会社などとゼロから関係を築き、退去のたびに家賃を上げていった。どんな物件をどう買い進めてきたのかなど取材した。

セミナーで出会った同世代の3人で意気投合!
最初の空室で、管理会社から「家賃を下げよう」と言われるが…
IT関連の企業に勤めるサラリーマンだった辻さん。このまま会社員を続けていてもおもしろくないと漠然と感じていた。実家で土地を保有していたり、祖母がアパートを持っていたり、不動産は身近な存在だったこともあり、不動産投資に興味を持ち、2017年の3月頃に勉強を始めた。勉強をするなかで刺激となったのが、6回連続の不動産投資セミナーだった。
「高額なセミナーでしたが、考え方やマインド面で刺激を受けました。40〜50代の参加者が多いなか、同世代で参加していた3人で意気投合しました。今ではその仲間と『TerraCoya大家の会』を運営しています」
メンバーの代表、林さんの体験談については「初めての投資物件で驚きの売却益!2棟目の新築は完成までに3年。地方、築古などさまざまな不動産に投資して学んだこと」で前述した。辻さんも林さん同様に、「会社員時代の収入を超える」ことを目標に、不動産投資を開始する。
「不動産業者さんとつながりを作るために1日2〜3社の業者と面談をしたり、物件を見に行ったりしていました。とにかく人と会っては、物件を紹介してもらっては見に行く繰り返しでした」
1棟目はそのようにして関係をゼロから築いて、信頼できると感じた業者からの紹介がきっかけに。神奈川県で築15年程、2500万円、1K6戸、満室の状態で購入した。
「価格も手ごろで、利回りや築年数もほどほどで、業者の紹介で地銀からフルローンで融資を得ることができ、手持ちの資金を減らさずにすんだ点もよかったです。ただ振り返ってみると、正直、勢いで購入した節もあります」
満室で購入したため、リフォームの必要はなかった。ところが購入時に1室、空室が発生。早く入居者を埋めようと管理会社に電話するも、「家賃を下げましょう」と言われ、愕然とする。急いで管理会社に行き、家賃を下げるのは『最終手段』だと直接会って話をするうちに、対応が変わったそうだ。
家賃を下げないどころか、家賃を上げて、入居者を決めることができたのも、管理会社のサポートがあってこそである。
管理会社が気持ちよく仕事ができるように、信頼して任せることも大切で、必要以上に、口うるさく言わないなど配慮している。
掃除やDIY、設備面を充実させ、
退去があるたびに家賃アップさせる!
1棟目を購入した翌年の秋、埼玉県川越市で利回り11%、3600万円の単身者向けアパートを購入する。業者さんからの紹介だった。日本政策金融公庫から融資を受けたが、資料をしっかり作りこんだことも幸いし、融資はスムーズに進んだ。

「落ち葉がたまって掃除が行き届いていなかったため、毎週のように通って、キレイになるまで自分で掃除をしました。買ったときに3戸空いていたのでDIYでキッチンのカッティングシートを貼ってみたり、設備を充実させたり、入居者が入れ替わるたびに家賃を少しずつ上げていきました」
キッチンのDIYやステージングの写真は冒頭に紹介した通りだが、さほどお金をかけなくても見た目が変わることで、入居者募集のサイトに掲載する写真がガラリと変わり、反応がよくなる。
ほかにも家賃アップのために、「テレビモニターホン」「エアコン」「温水洗浄便座」「追い炊き機能付き給湯器」などを新設するなどした。
その後、3棟目は神奈川県内で3000万円の築25年ほどのファミリー向けのアパートを購入する。利回り12%という点と、売値以上に積算評価が高く出ていた点が魅力だった。1棟目を購入した業者からの紹介だった。

「金曜の昼間、業者から職場で電話を受けて、翌朝見てすぐに買い付けいれましたが、5人から買い付けが入っていました。耐用年数の関係と、スピード感を重視し、ノンバンクで融資を受けることにしたのですが、1棟目を購入していた業者さんとの信頼関係も幸いして購入できました」
この3棟で会社員時代の収入を超えたことを機に自分のやりたい事業に専念。現在は大家業のほか、仲間と立ち上げた不動産管理のマッチングサービス「COSOJI」にも力を注ぐ。
最後に、これから不動産投資を始める人にアドバイスをするなら?
「不動産投資は、情報が命な部分があり、一人でやろうとしてもなかなか進みません。同じ志を持った人とつながることが大切です。そうした考えから大家の会を立ち上げました。最初は5人だったのが今では70人近くのメンバーに成長し、大人のサークルのようなノリで楽しんでいます。頼りになる仲間や業者さんなど、人脈を大切にすることが不動産投資で役に立つと身をもって感じています」
なお、「TerraCoya大家の会」では2冊の著書『不動産投資の羅針盤』『僕の不動産投資は、1,000円のお酒から始まった』を出版している。こちらもぜひ参考にしてほしい。
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健美家編集部(協力:
(たかはしようこ))