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所有でも賃貸でもない、新しいカタチ。賃貸経営のサブスクリプションサービス、今後の展開は?

不動産投資全般/商品・サービス ニュース

2019/03/06 配信

2月5日、トヨタ自動車が、高級車「レクサス」の定額利用サービスを発表して話題になっていたが、不動産オーナーの皆さんは自動車に興味があるだろうか。

「興味はないが、乗らざるを得ない」という方や、「大好きだが、乗る環境にない」という方もいて、自動車について言えば、興味・関心の対象と必要性の有無とは、関係なさそうだ。今回発表されたトヨタの愛車サブスクリプションサービスのうち「KINTO SELECT」は、6カ月ごとにレクサスブランド6車種を新車で乗換えられるサービスだ。

利用にあたって、頭金は不要、登録費用や自動車税、任意保険料などは月額料金に含まれ、契約期間は3年間だ。気になる月額料金は、税抜180,000円とのこと。対象車種を購入すると1台425万〜604万円となるそうだが、高いか安いかは個々の判断となろう。

ところであなたは、サブスクリプションサービス(サブスク)を利用しているだろうか。

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「定額制」と言い換えられることが多いサブスクだが、一定額を支払うことで当該サービスを一定期間利用できる仕組みだ。月額980円で4000万曲が聴き放題となる「Spotify Premium」をはじめ、定額で動画が見放題、ブランドバックやアクセサリーのレンタルし放題、カフェやバー、ラーメン屋に高級レストランと、サブスクは身近な分野から広がってきた。

昨年末には、「パナソニック」が定額制で最新の有機ELテレビを利用できる「安心バリュープラン」を始めると公表している。55型4K有機ELテレビで月々7,800円。3年もしくは5年後に同プランを利用して新商品に買い替えることを条件にした販売だが、当初のまとまった費用が不要で、月々の支払を低くおさえることができる。

さらに、プランの利用中は、通常1年のメーカー保証がずっと適用される。更新時には買い替えができるため、使い勝手に応じてテレビの見直しができるのも、購入との違いと言えよう。

「サブスク」と言われると目新しい印象だが、「定額制」と言い換えれば、お馴染みの頒布会も定額制だし、新聞も定額で読み放題だ。そして、住宅の賃貸も定額制。言い方次第だが、賃貸住宅は、定額の家賃を払って住みたい放題。なかなか魅力的な定額制である。

サブスクと賃貸経営を考えるにあたって、サブスクのメリットとデメリットを確認しておこう。

ユーザーのメリットは、「定額で利用し放題」というお得感。購入ではなく利用のため、比較的安価であること。そして、サービスが気に入らなかったり不要になったりすれば気軽にキャンセルできるため、購入と比べると当初の決断ハードルが低くなる。

一方でデメリットは、使わなくても利用料が発生すること。スポーツクラブの月会費が、利用の有無にかかわらず引き落とされる、と言えばその感覚がわかりやすいだろうか。

サービス提供者である企業側のメリットは、初期コストを下げることで顧客を囲い込み、その顧客と継続的に繋がれること。継続的であれば、顧客数×利用料で収入を予測しやすい。

さらに、繋がることで、貴重な顧客情報を得られる。先のトヨタの「KINTO」では、全車種に車載通信機「DCM」を搭載し、走行データや車両データなどを収集。安全運転やメンテナンスの状況などをスコア化して顧客にポイント還元することも予定しているとのことだ。

企業側のリスクは、顧客がサービスにあきれば、簡単に解約されることだろう。企業努力が欠かせない。加えて、価格設定も重要だ。

サブスク型スーツレンタルを手掛けたAOKIホールディングスは、半年でサービスを終了した。海外では、自動車のサブスクが先行しているが、米国GM(ゼネラル・モーターズ)はすでにサービスを休止している。

サブスクの企業側の使命は、顧客と長期に繋がって顧客情報を得、そのデータを活用してさらに支持されるサービスや商品を提供することにある。あらためて考えたいのは、賃貸オーナーはすでに、顧客である借主と繋がっているということだ。

賃貸契約はすでに確立された関係だ。他業種からすれば、何とも羨ましい繋がりに違いない。だが、そのことが当たり前すぎて有難さに気付かず、賃借人情報をデータ化することもなく、ただ家賃を受け取っているだけとなっていないだろうか。

住宅の供給過剰、人口減少、景気低迷、低金利継続等の状況のなか、より優良顧客と、より長期に繋がっているには、顧客のニーズに見合ったサービスの提供が必要だ。

あまりにも基本的なことだが、個人オーナーこそが大手にはできないきめ細やかなサービス提供ができるに違いない。折しも、不動産とテクノロジーの融合が進む不動産テックの時代だ。貴重な顧客の生情報を活用したい。

前述のパナソニック「安心バリュープラン」は、利用期間後の買い取りが前提だが、買い取らずにそのまま利用することもできる。住宅メーカーやデベロッパーが、住戸に1年間の試用期間を設け、1年後に購入か賃貸継続か解約かの選択権付きで販売するとどうだろう。

大手の住宅事業者が、家事代行、レンタルビデオ、レンタルスーツ、レンタルアクセサリーなどのサービスを使いたい放題で定額家賃に含めて提供するとどうだろう。

トヨタホームがレクサス乗り放題サービスをくっ付けた賃貸住宅の提供に乗り出すこともあり得ない話ではない。そしてこれらは、大手でなくても十分可能となるのが、IoTの世界だ。

目新しいところでは、株式会社アドレスが昨年12月に、サブスクリプション型で全国の住居を利用できる多拠点コリビング(co-living)サービスを展開するための会社設立を発表した。

同社は、2019年4月からサブスクリプション型居住サービス「ADDress」を開始する。当初は、首都圏から1、2時間の距離にある自社所有物件を5ヶ所以上用意するとのことだが、登録拠点がどこでも住み放題になるサブスクリプション型の住居シェアサービスだ。ユーザーにとっては、ライフプランに応じた生活拠点の気軽な変更が可能となる。

価格は、空き家や別荘を活用することでコストを抑えて、月額4万円という低価格の実現を目指す。現在はホームページで、住人、物件提供者、管理人をそれぞれ募集している。日帰り会員もあり、物件提供者には、旅館や民泊など1日単位や1部屋単位も可と呼び掛けている。

大仰な移住でない気軽な田舎暮らしは魅力的だ。だが、人口減少や空室増加の真の理由を解消しなければ、人の移動を誘うのは厳しいのも事実。拠点(地方)の魅力がキーワードか。サブスクによる、観光とも移住とも違う、これまでなかった暮らしのかたちを大いに期待したい。

「所有から利用へ」と言われる時代である。アドレス社に限らず、所有でも賃貸でもない、その中間的な位置付けとなる不動産のサブスクはこれからだろう。

不動産テックも追い風にしたい。サブスクやシェアビジネスの鍵を握るのはユーザーデータ、そして異業種とのコラボ。賃貸管理・顧客データ管理を他業者に任せきりにせず、賃貸経営の未来のため、いや賃貸経営の生き残りのために、オーナー自らがあらゆる選択肢を模索したい。

執筆者:大石泉

【プロフィール】
“新聞による経済教育” NPO法人全国NIE.E指導委員会 副委員長 ファイナンシャルプランナー(CFPR)。株式会社NIE.Eカレッジ 代表取締役。
ライフプランや資産形成等をテーマに講演や執筆、個別相談を行う他、「新聞による経済教育」を全国で展開。「2014年度金融知識普及功績者」として金融庁と日本銀行より表彰される。著書に「投資デビュー!/平凡社新書」「女性のためのマンション選びとお金の本/平凡社」他。NPO法人全国NIE.E指導委員会 副委員長。オールアバウト「シングルのマンション購入」ガイドも務める

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