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「令和」時代到来!銀行融資はどうなる?「「1法人1物件スキーム」は終焉か?!

融資/その他 ニュース

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5月1日から「令和」時代がスタートした。元号が変わり、銀行融資がどうなっていくか、不動産投資家にとっては一番の関心事だろう。

金融庁は昨年、一連の不正融資問題等を受け、金融機関に対し、投資用不動産向け融資に関するアンケート調査を実施。その結果を公表した(平成31年4月20日付当ニュース「金融庁が530の金融機関を調査。通帳など原本確認はわずか18%」で既報)。

その中では、各金融機関の融資の管理態勢の傾向について、いくつかの項目に分けて分析しているが、加えて、各項目に対する同庁の考え方が述べられている。これらは、今後の同庁の検査及び指導の方向性を示すものであり、大変興味深い。今回は、この金融庁の考え方について紹介したい。

@紹介業者の業務に係る適切性の検証
(金融庁の考え方)
「紹介業者の業歴・評判、財務の状況、顧客の勧誘方法、顧客への事業・リスクの説明方法等を検証したうえで、紹介業者が不適切な行為を行っていないかを十分に確認し、必要な場合には、紹介業者の健全な業務運営が確保されるよう促すか、紹介業者から紹介を受けることを控えるなど、紹介業者の業務の適切性を検証・判断することが必要。」

→融資を申込む顧客の属性だけではなく、紹介業者の属性まで(財務状況等も含めて)審査することが必要。場合によっては、紹介業者経由の取引は控えることも必要であるとしている。不動産投資家には、紹介業者(仲介業者)にファイナンスアレンジを任せるか、自身で動くかの判断が求められることになる。

A融資審査(事業・収支計画の検証)
(金融庁の考え方)
「一般的に顧客の給与収入等は、物件のキャッシュ・フローが一時的に減少した際の副次的な返済原資として考慮されることが信用リスク管理上あり得るものと考えられる。

しかしながら、一棟建(土地・建物)向け融資を住宅ローンの延長と捉え、物件収支と給与収入の合算を要返済額と比較したうえで返済能力を判定するなど、給与収入を主要な返済原資のひとつとして考えている場合もあり、物件の経常的なキャッシュ・フローのみで債務を返済できる見込みがなくとも融資が実行されるケースもある。」

→アパートローンは事業性融資であり、住宅ローンとは全く性質が違う。融資の返済はあくまで物件のキャッシュ・フローで行うものであり、給与収入との「収入合算」で返済能力を判定するものではない。つまり、今まで融資が付いていた低収益力物件に融資が付かなくなったり、巨額の頭金を要求されたりすることが想定される。

(金融庁の考え方)
「一部の金融機関では、中古物件を取得するための融資において経済耐用年数を基に融資期間を設定する中、築年数を考慮すると法定耐用年数を大幅に超過する融資期間となることを許容しているケースもある。

当然、物件の管理状況等によって経済耐用年数が法定耐用年数を大きく上回ることは十分に考えられるが、経済耐用年数を用いる場合には恣意性を排除するために、物件が継続的にキャッシュ・フローを生み出す期間をできる限り客観的に評価する必要がある。」

→これは極めて重要な話である。例えば、これまで法定耐用年数の経過した木造アパートに20年の融資が付いたりしていたが、基本的に今後そのようなケースはなくなると考えられる。金融庁は融資期間を「客観的に評価する必要がある」としているが、一方で「法定耐用年数を用いる場合は恣意性を排除しやすい」とも指摘している。

これを裏読みすると、(残存)法定耐用年数を超過する融資期間は、よほどのことがない限り「好ましくない」との考えが透けて見える。つまり今後は、中古より新築若しくは築浅、木造よりRCという方向によりシフトしていくと考えられるのではないか。

B融資審査(顧客の財産・収入等の検証)
(金融庁の考え方)
「金融機関においては、顧客の財産・収入を示す資料が偽装されるという問題の発生を防止するため、提出されたエビデンスが顧客の財産・収入を真に示しているかを十分に確認する必要がある。

その際、エビデンスの原本確認も重要であるが、それを形式的に行えば足りると判断するのではなく、顧客とのリレーションを十分に構築したうえで、顧客の財産・収入が職業・年齢・家族構成等に照らして妥当かどうかの観点から検証することが重要である。」

→個人属性の審査に当たっては、単に預金通帳、申告書、既存物件の登記事項証明書を確認するにとどまらず、職業、年齢、家族構成まで含めて審査を行うということ。その年齢でそれだけの資産があるのはなぜか、など細かく訊かれる可能性がある。いずれにせよ、審査が厳しくなることは間違いない。

(金融庁の考え方)
「また、顧客が複数の資産管理会社を設立しそれぞれが別個の物件を取得するケースにおいては、単に形式的に財産・収入のエビデンスを確認するのみでは他の法人の取引も合算した資産・負債の全体像を把握することが難しいため、こうした意味においても顧客とのリレーション構築は重要となってくる。」

→この文章も裏読みすると、いわゆる「1法人1物件スキーム」について、「他の法人の取引も合算した資産・負債の全体像を把握すること」が必要である、と金融庁が指摘していることになる。これまでも金融機関側は、例えば鞄本信用情報機構(JICC)へ照会をかければ、代表者が同一の法人の信用情報(借入金残高等を含む)を把握することは可能であった。

融資側・投資家側双方の事情により、これまで見て見ぬふりをしてきた金融機関であっても、今後は経営者が同一である法人への融資は、そのグループ全体で属性を判断することになると見られる。つまり、「1法人1物件スキーム」は、少なくとも今後通用しなくなるものと考えられる。

(金融庁の考え方)
「物件の利用目的の確認について、外形は投資用不動産向け融資でなくても実態として投資用不動産を取得する目的で融資が申し込まれていないか留意する必要がある。

例えば、投資目的で物件を取得するにもかかわらず自己居住を偽装して相対的に低金利の住宅ローンを利用する事例が認められており、この場合、金融機関が投資用不動産向け融資であるとの認識がないまま、想定し得ないリスクを負うこととなる。

特に保証付の住宅ローンを取り扱っている場合には、金融機関が顧客の実態を十分に把握していないことがこのような不適切な行為を招く原因となりうることから、金融機関においては紹介業者や保証会社に過度に依存することなく、顧客の物件の利用目的を主体的に確認する必要がある。」

→住宅ローンで区分所有物件を購入し、それを賃貸に回して別の金融機関でまた住宅ローンを組む、いわゆる「ヤドカリ投資法」については、厳しい目が向けられることになるだろう。「投資目的で物件を取得するにもかかわらず自己居住を偽装して相対的に低金利の住宅ローンを利用する」場合を問題視しているのであり、住替えのため結果的に「ヤドカリ」になってしまった場合まで咎めているわけではもちろんない。

しかし、ワンルーム以外の区分(もちろん戸建ても)を所有する不動産投資家が自宅を購入しようとする場合、住宅ローンの審査が厳しくなることは間違いないだろう。

また、5月4日付の一部全国紙では、住宅金融支援機構が提供する住宅ローン(フラット35)を悪用して不動産投資をしていた事例が報じられた(令和元年5月9日付当ニュース既報)。いわゆる「なんちゃって」は正に「自己居住を偽装」しているものであり、言語道断。詐欺と言われても仕方ないであろう。

金融庁は、アンケート調査の末尾に「当庁における今後の取組み」として、次のように記している。

「当庁においては、前述のとおり、アンケート調査に対する回答の分析を踏まえ一部の金融機関に対してはより詳細な実態把握を行っており、必要に応じて立入検査も活用しつつ、深度あるモニタリングを実施していく。(中略)個別のモニタリング等の機会を通じて当庁の問題意識を幅広く発信する」

つまり、銀行検査やモニタリング等の機会を活用し、金融機関に対して今回紹介した内容を発信=指導していくということになる。したがって、各金融機関の融資姿勢も、(金融庁の考え方)の内容に収斂していくと思われる。とは言っても、融資基準が本来の姿に戻るだけであり、地に足の着いた投資家にとっては特に懸念する必要はないだろう。「令和」時代、融資の行方にますます注目である。

健美家編集部

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