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知らないと、何千万円も損することも!構造設計者によって建築コストが大きく変わるわけ

政策/建物 ニュース

健美家不動産投資ニュース

構造設計者によって建築コストが大きく変わる事をご存知だろうか?

構造設計のやり方によっては約20%-40%の躯体費のコストダウンが可能になるケースもあるという。
今回は筆者が構造設計の勉強会で学んだ事を書いてきたいと思う。
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■構造設計1級建築士とは

新築物件を建てる時に初めて意識する構造設計者。そもそもその業務を皆さんはご存知だろうか?
構造設計1級建築士は2006年(H18年)12月の建築士法改正により創設されたものである。

その時から一定規模以上の建築物の構造設計について、構造設計一級建築士が自ら設計を行うか、若しくは構造設計一級建築士に構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務づけられたのである。

ではそれ以前はどうだったのか?
設計業務は一般には基本設計、実施設計の2段階で行われ、それぞれについて意匠設計、構造設計、設備設計がある。
法改正以前は、法令上の設計者は一人しかいなかった。
通常は意匠設計(間取り図や建物のデザインなどを作るメインの設計者)を担当した元請け建築士が法令上の設計者になっていた。

ところが先に述べたように設計業務は意匠設計、構造設計、設備設計と専門が別れている。
しかし、意匠設計の設計士がすべてを理解しているわけではなく、特に構造設計については専門性が高く、ほぼチェックできていなかったということである。

ある建築士の2006年に書いたブログにわかりやすく書かれていたので引用する。

「CADオペレーターだって図面を作成する行為ですから設計の一部です。では、CADオペレーターが高層マンションの図面を書くのに1級建築士である必要があるかと言えば、もちろんそんな必要はない訳です。アルバイトでも学生でもOKです。

そして、構造設計もこのCADオペレーターと法令上の扱いが同じになっているのです。法令上、構造設計はアルバイトでやっても、なんでもいい。ただの”設計補助者”なのです。

さて、確認申請書を見るとわかりますが、構造設計者の名前はありません。あるのは意匠の元請け設計者のみです。そしてその元請け建築士が意匠・構造・設備と全ての設計を行った前提で確認申請書類を作成します。

なんで、こんな事になるかと言うと、建築関係基準の中では、”設計”という行為が、現状の様な分業体制になる事を意図して作られていないからです。建築士法の中では構造設計という概念もありませんし、言葉すら出てきません。」

■構造計算書偽造問題と建築士法改正

こんな中で、事件となったのが「構造計算書偽造問題」である。
構造計算書偽造問題は、2005年(平成17年)に、ある一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していた事を国土交通省が公表したことに始まる一連の事件である。

2006年(平成18年)3月には札幌市内のマンションで二級建築士による構造計算書の偽装が発覚、2007年(平成19年)1月には京都市のホテル2棟の構造計算書の偽造が判明し更なる波紋を呼んだ。

こういった問題を解決するために、構造設計1級建築士が2006年(平成18年)12月の建築士法改正により創設されたのだ。
このように経済設計を追求するあまりに、手抜き設計が行われないようにしたのがこの制度である。

構造設計一級建築士証を申請するには、原則として、一級建築士として5年以上構造設計の業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習の課程を修了することとされている。
構造計算が必要な建築物
(1)住宅などの木造建築物で階数が3以上のもの。
(2)住宅などの木造建築物で延べ面積が500m2超のもの。
(3)住宅などの木造建築物で建物の高さが13m超のもの、または軒の高さが9m超のもの。
(4)木造以外の建築物で階数が2以上のもの、または延べ面積が200m2超のもの。
(5)主要構造部(柱・梁・壁等)を石造、レンガ造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造等にした建築物で、高さが13m超、または軒の高さが9m超のもの。
木造2階建てで500m2以下の物件以外は、新築するときには構造計算が必要ということだ。
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■法改正の影響

この法改正によって今度は構造審査が非常に厳しくなって、審査さえ通せば褒められるようになり、コスト設計よりもスムーズに着工できる事が優先になり、審査に付いていけない構造設計者には仕事がなくなり、一部の構造設計者に仕事が集中する事態になったのだ。

それによって構造設計者の立場が強くなり、面倒な経済設計をするメリットも無く、また経済設計を追求した設計は「うさんくさい」という空気となり望まれなくなったというのだ。

■意匠設計者の心理

しかも設計料は経済設計をしたとしても基本同じ。設計事務所には経済設計に取組む直接的なインセンティブが無いのである。それは一般的に設計料は、工事費の 5%〜10%で計上されることが多く、工事金額が減ると設計料が減り、経済設計で手間を掛けても、設計料に反映しない事が多いからである。

そして一式発注を受けた意匠設計事務所は、自らの手取りを増やすべく、構造設計を出来るだけ安い構造事務所に発注しようとする。

そんな中で設計料も限られてるので、変わったことはしたくないし、手間をかける事はしたくないという意識が働き、仮に経済設計といいながら、実際に意匠側の図面が変更になるような、面倒な構造側からの提案については非協力的な事が多いという事だ。

■経済設計できない設計の様々な問題点

・安全性とコスト意識のバランスの欠如
安全側にとして設計に余裕度を持つ事は必要ではあるが、コスト意識が欠如すると実態から乖離した結果を生んでしまう。

・構造計算ソフトを使いこなしていない
ソフトは道具であり、設計者が使いこなすべきにも関わらず、各種パラメータの意味を理解せずに、ただ電算に数値を入れるだけの設計。

・耐震壁として使える壁までスリット配置していた
使える壁と使えない壁を建物の特性を見極めて耐震壁をバランス良く活用する事でコストを下げることができるにも関わらず、全ての壁にスリットを配置している。

・意匠設計とのコミュニケーション不足
意匠設計との意思疎通が不足し、仕上げ、ピット配置、壁開口配置、梁配置など全てが技工に欠けていた。構造コストは意匠設計と構造の密な意思疎通なくして実現しない。

他にも多くの問題点が示されていたが、設計のプロである設計士に、このような問題点があったとしても、我々オーナー側は知る術は無いのである。

■構造設計者の良し悪しを判断するには

基本的には構造技術者でなければ判断が難しいが、構造技術以外のところで見極める方法を聞くことができた。
・図面が汚い
・約束をすぐ破る
・メールの返信が遅い
・言ってることがころころ変わる
・説明をうけても意味がわからない

一般のビジネスと一緒で、このような構造設計は良い設計ではない可能性が高いとの事だ。

ただ、構造設計は我々オーナーが基本的には指名しないケースが多く、実際に会うことも非常に少ない。
しかしながら耐震性や安全性を考えながら経済設計も考える構造設計事務所があるのも事実。

オーナーは、構造設計者が変われば躯体コストも変わるという事を理解し、意匠設計に相談する事が重要である。またどうしても納得が行かない場合には「構造設計セカンドオピニオン」などと検索すると、そういった事務所が出てくるので、レビューを依頼する事も必要ではないのであろうか。

どちらにしても無知は数千万円の損をするという事である。特に新築を建てようとするオーナーには必須の常識であるという事だ。

執筆:J-REC教育委員 原田哲也

【プロフィール】
2010年より、一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の北海道支部を立上げ、不動産実務検定の普及に尽くし、多くの卒業生を輩出。2018年よりJ-RECのテキスト編集、改定などを担当する教育委員に就く。
また自身が主宰する北海道大家塾は既に50回の開催を数え、参加人数も述べ3000人を超える。

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