
計画は第3期に突入
第1期・第2期の効果とは
愛媛県の県庁所在地である松山市は、市内の活性化を図るべく「松山市中心市街地活性化基本計画」を策定しており、今年の3月8日に第3期分の変更計画を認定した。
活性化基本計画は2008年に最初の計画が策定されており、これまでに第2期までの分が完了している。
現在進んでいる第3期は2020年11月に最初の計画が策定されており、今年の3月に認定されたのは第1回変更計画だ。
松山市のホームページで第1期・第2期の経過を見ると、それぞれ5回〜7回変更されているため、第3期も今後さらに変更が重なる可能性はある。
期ごとに計画区域やテーマが異なっており、第3期ではJR松山駅の周辺・松山城の南側エリア・道後温泉の周辺などが計画対象となっている。

※引用:松山市
これまでに第1期・第2期計画で採用されてきた計画の狙いは主に以下のようなものだった。
- 松山市内の賑わい創出
- 交流人口の増加
- 商業機能の強化
- 観光振興
松山市は第1期・第2期の取り組みによって歩行者通行量の増加や観光施設の入込客数増加など、一定の成果があったとしている。

※引用:松山市
その一方で、エリアを絞った施策を進めたことにより効果が限定的になった点や、居住人口の減少などといった課題が浮上した。
効果が限定的と判断されたポイントの1つは、例えば中心市街地の居住人口推移だ。
松山駅周辺では土地区画整理事業やまちづくり事業などが進んでいるが、中心市街地の人口は横ばいで推移するにとどまっている。

※引用:松山市
なお、土地区画整理事業は市街地活性化基本計画と同じく2008年から始まっており現在も進行中だ。
第3期計画に基づく事業は市街地再開発や
道後温泉に関するコンテンツの発信など
第1期・第2期の結果を受けて、第3期計画における目標は以下の3つになっている。
- 来街者の回遊性向上による広域的な賑わいの創出
- 観光コンテンツの充実による満足度の向上
- 高質な居住環境の形成によるコンパクトシティ化の推進
1つ目の目標は、エリアによって賑わいにばらつきが出ている点を解決すべく策定されているもの。
1つ目の目標を達成するために計画されている事業は、商店街の空洞化対策や湊町三丁目エリアの再開発事業などだ。
市内の歩行者に関するデータを分析した結果、商店街や商業施設の店舗入居率が1%増えると、歩行者の通行量が推計548人増えるとされており、松山市は商業施設の充実が賑わい創出に寄与すると考えている。

2つ目の目標に関する事業は、クルーズ船の誘致受入推進事業や道後温泉本館を活用した観光事業などだ。
道後温泉は松山市が持つ最大の観光資源とも言えるが、本館が保存修理工事中であり、現在は営業規模を縮小している。

工事期間中は入浴できるものの、休憩室の利用ができない。松山市ではイベントの企画などによって、来訪者の誘客等を図る予定だ。
3つ目の目標に関する事業としては、長らく進めている土地区画整理事業の推進や赤十字病院の整理事業に加え、一番町一丁目・歩行町一丁目地区第一種市街地再開発計画などが該当する。
市全体で見ると、松山市も他の地方都市と同じく少子高齢化や人口減少などの課題を抱える都市の1つだ。
しかし、長期的に見直しと効果の検証を繰り返しながら都市計画を進めており、その取組姿勢には好印象を持てる。
道後温泉や松山城など有名な観光資源も持っているだけに、松山市の都市計画が今後どのような形で実を結ぶのか、要注目だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
取材・文:
(はたそうへい)