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海外不動産ナナメ読み 住みやすさとサスティナブルで人気 米国ポートランドが目指す公正な開発とは?

都市計画・再開発/海外 ニュース

2020/09/02 配信

「この街は感じいいな」と思わせる理由には、街区のゆとりや緑の多さなどもあるが、開発計画によってすべての住民が安心して公平に住めていることが、いい雰囲気を作るのには重要だ。

筆者が東京と2拠点生活を送るポートランド(アメリカ・オレゴン州)は、サスティナブルなライフスタイルで、全米でも住みたい街として人気を集める都市だが、どんな背景があるのだろうか。

一つには、中心部から緑豊かな周辺まで車で15分ほど。公共交通機関を利用しての移動も可能なコンパクトなサイズで、米国でありがちなスプロール化(無秩序な拡大開発)をさせないことが功を奏してきたと言われる。その開発手法や街のあり方を学びに日本を含む海外からの視察なども多い。

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そんなポートランドで今、過去の開発のひずみから、住民の経済格差などの問題が生じてきているエリアがある。そこで、今後の開発の大きなテーマになっているのが「equitable (公正)な開発」だという。ポートランド州立大学で住民政策について教鞭をとる西芝雅美教授に聞いた。

西芝教授は
「いま、SDG’s(国連サミットで採択された持続可能な開発目標)のなかでもうたわれているequity(公正)という概念が開発において重視されています。公共交通の開発と住宅の開発を連動させて、なおかつequitable (公正)な開発であることが、スマートグロース(賢明な成長)の重要な概念となっています。今までのように経済だけを重視した開発では、経済格差がただ大きくなってしまいます。社会的弱者も含めたすべての人が安心安全で公平に住めるということがequitableな開発なのです」
と語る。

例えば、ポートランドの主要公共交通機関であるMAXライトレール(軽量軌道交通)は、5路線あって、約15分間隔で走り、いずれもダウンタウンを経由し、乗車運賃はわずか$2.5(2時間半乗り降り自由)ととても便利だ。

このライトレールのうち街を東西に横切るレッドラインは、1990年代から乗客数が増え始めたポートランド国際空港(PDX)の拡張に伴って、2001年に空港まで延伸された。

「この時に以前は移民や黒人が多く住んでいたエリアで立ち退きが進んで、トレンディなエリアに変身した代わりに、今までそこに住んでいた低所得者層には手の届かない価格のエリアになってしまい、彼らには住む所がなくなってしまったんですね。そうした過去の開発の反省もあり、連邦政府から開発業者に対してequitable (公正)な開発には助成金がでる仕組みもできています」(西芝教授)

MAX延伸計画 Southwest Corridor の計画マップ。
MAX延伸計画 Southwest Corridor の計画マップ。

そもそもこのequity の概念は、SDG‘sの17目標の一つでもあり、ポートランド市もまた広域行政体であるメトロもその理念を「equitable development strategy」としてHPに掲載し、その理念に基づく開発戦略を出している。

具体的には、MAXの延伸計画で過去の繰り返しにならないように、向こう10年間に新たに建てられる住宅のある一定割合は低所得者でも入居できる住宅となるようきめ細かな住宅建設計画を設けるなどの施策だ。

「街の中に高級住宅とそうでないところの住み分けが進んでしまうと環境的によくないゲットーが出来てしまう可能性があるので、そうならない都市政策を取っていく必要があります。そのプロセスでいろんな住民を巻き込んでいくことが、多様性のある居心地のよい街づくりに繋がるのです」と西芝教授は言う。ポートランド州立大学では、西芝教授らが日本向けにこうしたポートランドの住民政策のワークショップ(JaLoGoMa: Japanese Local Governance and Management Training Programまちづくり人材育成プログラム)を毎夏開催しており、今年はコロナの影響で初のオンライン開催になったが、64人の応募があったという。

Equityが考慮されてない開発のあり方や都市政策で「いつの間にか自分の不動産のある場所の雰囲気が変わってしまった…」これは日本でもありそうなこと。

全米一住みやすいという評価されている街でさえ、そんな局面を迎えているのだ。エリアの今だけでなく、今後どう作ろうとしているか?をチェックすることの重要性を感じた。

CAP ポートランド州立大学教授 西芝雅美氏。
CAP ポートランド州立大学教授 西芝雅美氏。

西芝雅美:
大阪大学文学部英語学科を卒業後、関西経済連合会国際部勤務、会議通訳者を経て1991年に渡米。1996年ポートランド州立大学修士課程修了(コミュニケーション学)、2003年同大学博士課程修了(行政学 Ph.D.)。2003年同大学ハットフィールド行政大学院行政学部助教授に就任、准教授を経て,2016年より行政学部長(教授)。

文/小野アムスデン道子
経歴
元リクルート週刊住宅情報関西版編集長、月刊ハウジング編集長を経て、メディアファクトリーにて、世界的なガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集に携わったことから観光ジャーナリストに。東京とオレゴン州ポートランドのデュアルライフと世界中を巡る取材で旅を基軸にしたライフスタイルについて執筆。国内外で物件運用中。ownmedia【W LIFE】で40代からの豊かな暮らし方を発信。

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