2015年、首都圏でにわかに話題になった場所といえば清澄白河(江東区)だろう。サードウェーブコーヒーとして名高い、西海岸のブルーボトルコーヒーが日本での初出店の地として清澄白河を選んだことが意外性を持って報じられ、それがきっかけで実はここ何年かでカフェが増えるなど活況を呈していたことが明らかになったのである。

だが、首都圏に長らく住んでいても、今回話題になるまで清澄白河という地名をそもそも知らなかったという人も少なくないだろう。どこにあるかを非常に大雑把にいうと、下町として名高い深川エリアの一画である。深川と聞くと富岡八幡宮や深川不動尊のある門前仲町を思い浮かべるだろうが、江戸時代の深川はそれよりもずっと広く、現在の江東区の大半。清澄白河は門前仲町の北側にあり、清澄、白河という別々の地名を合体させて生まれた駅名だ。
元々のこの辺りは徳川家康が入府した際に最初に運河を掘削した場所。江戸城と当時関東で最大の規模を誇った行徳の塩田と結ぶためで、そのために掘削された河川が現在の小名木川、新川(船堀川、行
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