築地市場跡地の
開発に先行
東京・築地市場跡地の北東で市街地再開発が進んでいる。再開発の対象は、東京メトロ日比谷線の築地駅を出てすぐ西側約0.6ヘクタールのエリアだ。
※引用:中央区
再開発対象エリアは築地市場跡地から歩いて数分程度離れた位置にある。このため、ここから紹介する再開発は築地市場跡地の再開発と別物だ。
現在、再開発対象地とその周辺にはペンシルビルとも言えるようなオフィスビル・雑居ビルに加えて、マンションなどが立ち並んでいる。
その中でも、日鉄興和不動産が保有する2棟のビルと、NTTグループが保有する3棟のビルが再開発の対象だ。
※引用:中央区
このため、再開発は日鉄興和不動産とNTT都市開発によって計画されている。
今後の予定としては、2023年3月以降に都市計画を立案し、同年の8月には都市計画決定を目指す。
都市計画が決定したら2024年に解体工事着手、2025年に再開発建物の着工、2028年に再開発建物竣工の予定。
※引用:中央区
再開発ビルの規模は地上20階・地下2階建てとなっており、地下1階には築地駅の改札が設けられて駅直結ビルとなる。
なお、現在予定されている建物の用途はオフィス・店舗・子育て支援施設などだ。
※引用:中央区
そのほか、約1,000㎡のオープンスペースが設けられ、イベントなどに利用される予定。
築地市場のイメージから、築地というと下町のような印象を持つ人もいるかもしれない。
しかし、築地は銀座の隣町であり東京都心の中心部と言っても差し支えないエリアだ。都心の雰囲気に沿った建物・施設ができることを期待したい。
築地市場跡地の開発については
事業募集要項の公表が間近か
一方で、築地市場跡地の再開発はどうなっているのかと思う人も多いのではないだろうか。
築地市場が豊洲へと移転したのは2018年10月だが、その後市場跡地開発の具体的な報道などはまだ出ていない。
報道は特にないものの、市場跡地の開発計画が何も進んでいないのかというと、そういうわけではない。
中央区が2021年10月に「中央区築地まちづくりの考え方」という大枠の開発方針を発表したほか、東京都も事業実施方針の策定などを進めている。
今年の6月には、事業実施方針に対して寄せられた500を超える質問の回答が東京都から公表された。
東京都都市整備局が今年の3月に発表した「築地地区まちづくり事業 実施方針」では、今年の秋頃に募集要項等の公表が行われると記載されている。
事業予定者の決定は2023年度内とされているため、再来年の3月までにはデベロッパーなどが決まる見込みだ。
1つだけ気になるポイントを挙げるとすれば、築地市場跡地は都有地であるため、約70年間の定借事業となることが記載されている点だろうか。
もっとも、70年も経てば建物の老朽化によって建て替えなどが発生することは想定できるとも言える。
いずれにしても、築地市場跡地の広さは約23ヘクタールと広大であり、市場は移転したと言えども場外市場はまだ健在だ。築地の活気をさらに活性化させるものができることを期待したい。
築地市場跡地の再開発建物が完成するのはまだかなり先になると予測されるが、今後の行方に要注目だ。
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取材・文:
(はたそうへい)