三井不動産レジデンシャル株式会社と三井ホーム株式会社は、脱炭素社会の実現に向け、三井不動産グループ初となる4階建てALL木造カーボンゼロ※3賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION(モクシオン)※4」が2023年8月31日に竣工したことを報告している。同物件は国際的環境認証「LEED認証※1」ゴールドランク予備認証※2を取得している。
三井不動産グループでは、2021年11月に「脱炭素社会の実現に向けたグループ行動計画」を策定しているが、同物件は、人と地球環境にやさしい「木」を構造材に用いることにより、鉄筋コンクリート(以下、RC)造と比較して建築時のCO2排出量を約50%※5に削減した。
また、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化により、入居中のCO2排出量を実質ゼロ※6として環境と共生するすまいを実現し、グループとしてカーボンニュートラルへの新たな取り組みを進めている。
今後も、三井不動産レジデンシャルの全住宅事業のブランドコンセプトである「Life-styling × 経年優化」のもと、多様化するライフスタイルに応える商品・サービスを提供することで、安全・安心で快適に暮らせる街づくりを推進し、持続可能な社会の実現・SDGsへ貢献していくという。

■物件の特長
1.三井ホーム「MOCXION」の技術でALL木造・高断熱・高気密の地球環境にやさしい賃貸マンション。
(1)人と地球環境にやさしい「木」を全フロアの構造部材に活用。
同物件は、三井ホーム「MOCXION」の技術を採用し、1階から4階の全フロアの構造部材で木を使用したALL木造マンション。木造はRC造に比べて製造時や加工時、建物建設時に必要とされるエネルギーが少ないため、CO2排出量を約50%削減することを可能にする。また、「木」の熱伝導率はコンクリートの1/10、鉄の1/350と、熱を伝えにくい特性があることに加え、三井ホーム独自の高断熱・高気密の技術を最大限活かすことで、冷暖房の消費を大幅に抑えることが可能となり、省エネルギー性能が向上する。


(2)三井不動産グループ保有林から採取した木材を内壁面に使用※7。建築資材の自給自足、持続可能な森林経営や地域経済に貢献。
同物件においては、「木」ならではの安らぎを共用部で感じてもらえるよう、共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材を使用した。
三井不動産グループでは北海道の道北地方を中心に約5,000haの森林を保有・管理しており、木造賃貸ビルや木造住宅などの主要部材、各施設の仕上げ材などに積極的に活用するなど、森林保全活動や木材の利活用を通じて、建築資材の自給自足および森林資源と地域経済の持続可能な好循環を実現する。



(3)三井ホームのダブルシールドパネル※8により建物全体の断熱性を向上。

三井ホームでは、主軸事業である注文戸建住宅の建築において標準的に、屋根断熱構造材であるダブルシールドパネルを採用している。その独自技術を集合住宅である本物件の屋根に採用することにより、母屋や小屋束から構成される従来の木造建築の小屋組とは異なり、邪魔なものが存在しない広い空間になっていることから、小屋裏空間を有効利用したロフトを4階の一部住戸に実現した。
また、屋根構造体自体が優れた断熱性能を発揮し、室内へ外気温の影響を与えにくくすることが可能。これにより、物件全体の断熱性を向上させることに加え、屋根の温度変化の影響が大きいロフト空間でも、快適なくらしを実現している。
(4)「木」を身近に感じさせるデザインと設え。
○外観デザインとアプローチ
木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、「木」を強調するデザインで統一した。1階のエントランスから建物内部のアプローチ、ラウンジ、廊下等に木目調デザインを配置し、外から中への連続性を強調。また、アプローチ上にある植栽は季節で葉色の変化がある植種を選定し、季節毎の美しさが感じられる植栽計画とした。




○共用ラウンジ壁面のアート
国産広葉樹を用いた作品を採用し、既存の木材流通ではチップや燃料となる広葉樹をアートとして再生させることで、入居者に「木」をより身近に感じてもらえるようにした。
さらに1階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井には、天然木である赤樺の仕上とした。風除室から、ラウンジ・エレベーターホールまでの動線を赤樺特有のインパクトのあるカラーで統一感を出すだけでなく、天然木ならではの自然な色合いや色の変化が楽しめる空間を創出している。


○木質化宅配ボックス「グリーンハイブリッドボックス※11」
宅配ボックス扉に木製エコ素材の両面化粧パーティクルボードを使用した「グリーンハイブリッドボックス」を採用した。本体のパーティクルボードが、木質廃材を破砕して活用している環境保全型のエコ素材であることに加え、表面に使用している低圧メラミン化粧層は、耐熱・耐汚染・耐摩耗性に優れている。そのため従来の宅配ボックスと比較してエコな製品となっている。

2.再生可能エネルギー※9の一括受電×オール電化と「太陽光パネル」の設置によりCO2排出量実質ゼロと創エネを実現。
(1)再生可能エネルギーの一括受電×オール電化により、ご入居中のCO2排出量実質ゼロを実現。
同物件は非化石証書付きの再生可能エネルギーを一括受電する。あわせて、オール電化にすることにより、入居中の建物から排出されるCO2排出量が実質ゼロとなる。また、給湯設備にはエコキュートを採用。エコキュートは大気熱を利用してお湯を沸かすため、電力使用量が抑えられ、環境にやさしいだけでなく、災害時はタンク内の水を生活用水にも利用することができる。

(2)「太陽光パネル」を屋上に設置しオンサイトで創エネを実現。
同物件敷地内で電力を創出するため、屋上には54枚、総面積139.32m2の「太陽光パネル」を設置し、共用部の想定使用電力量を上回る年間約29,566kwhの電気を創出する。また、電力供給がストップした時には、太陽光パネルで発電した電気を入居者に無償で利用してもらえるよう、共用ラウンジに非常用コンセントを設置し、緊急時も、携帯電話の充電等に電力を使用できるようにしている。

3.「LEED認証」の他、各種認証の取得および国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」に採択。
(1)国際的環境認証「LEED認証」のゴールドランク予備認証を国内の賃貸マンションで初めて取得※10。
同物件は、「環境負荷の低い『木』の構造材採用」、「再生可能エネルギーの一括受電」、「オンサイト太陽光の有効活用」等の環境に配慮した多様な取り組みを行っていることから、国際的な環境認証の「LEED- BD+C NC(新築部門)」のゴールドランクの予備認証を国内の賃貸マンションで初めて取得した。
(2)BELSに基づく評価「ZEH-M Ready」を取得。
同本物件は、断熱性能の高い「木」を構造材に使用するとともに、LOW-E複層ガラスやLED照明の採用等による省エネ性能の向上、オンサイト太陽光の活用により、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得した。
(3)国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」に採択。
国土交通省がカーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる、木造の中高層住宅・非住宅建築物について、優良なプロジェクトに対して支援を行う、2022年度「優良木造建築物等整備推進事業」に採択された。
※1 LEED認証:米国のグリーンビルディング協会(USGBC)が運営する環境性能認証制度で、環境配慮型の建物と敷地利用の牽引を意味する「Leadership in Energy and Environmental Design」の頭文字をとって名付けられている。
同制度は、環境配慮型の建物や敷地利用が評価対象で、環境性能を様々な視点から評価するため、「BD+C(建築設計および建設)」「ID+C(インテリア設計および建設)」「O+M(既存ビルの運用とメンテナンス)」「ND(近隣開発)」などの分野に分けられており、同物件においては、「LEED- BD+C (住宅部門)」の認証取得を指している。
運営母体のある米国では、取得による税制面への優遇などもあり、これまでに76,000件以上の案件が認証を取得している。その流れは米国から世界へと拡がり、現在、160ヵ国以上で登録が行われ、全世界で93,000件近くの案件が認証を受けている。一方、日本でも年々登録数は増加し、2022年3月の時点で、201件が認証を受けている。
※2 予備認証とは、プロジェクトの完成前に計画内容に基づいて取得が可能な認証。
※3 ALL木造カーボンゼロ:全フロア(1〜4階)の構造部材に木を採用し入居中のCO2排出量が実質ゼロ(以下※6参照)であることを指す。
※4 MOCXION:三井ホームが手がける「脱炭素社会に向けたサステナブル木造マンション」のブランド名称。
※5 建築時のCO2排出量を約50%削減:林野庁が床面積120uの住宅で鉄筋コンクリート造との比較で試算した際の参考値となる。(出典:「平成23年度森林・林業白書」P61、図U-5)
※6 ご入居中のCO2排出量を実質ゼロ:再生可能エネルギーの一括受電をすることにより、建物内で利用する電力は全て実質再生可能エネルギーとする。あわせて給湯設備にエコキュートを採用したオール電化にすることにより、入居中の建物から排出されるCO2排出量が実質ゼロとなる。
※7 三井不動産グループ保有林から採取した木材を壁面に使用:三井不動産グループが北海道の道北地区を中心に保有している約5,000haの森林の建築資材の活用を指す。
※8 ダブルシールドパネル:ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を芯材とし、広葉樹のチップなどを積層・圧縮した構造用面材(OSB)を両面接着したサンドイッチパネル。高強度・高断熱の三井ホームオリジナル屋根パネル。
※9 再生可能エネルギー:非化石証書等を利用して使用電力を実質的に再生可能エネルギーとしたもの。
※10 「LEED認証」 ゴールドランクの予備認証を国内の賃貸マンションで初取得:LEED- BD+C NC(新築部門)でゴールドランクを賃貸マンションで初めて取得した。
※11 グリーンハイブリッドボックス:日本宅配システム株式會社が手がける木の電気式宅配ボックス。
■「パークアクシス北千束MOCXION」物件概要
■「パークアクシス北千束MOCXION」位置図
健美家編集部