一般社団法人マンションあんしんセンターは日新火災海上保険株式会社と共同開発した、「分譲マンション大規模修繕工事向け履行保証保険」の取扱いを2022年10月より開始している。これを受け、同保険の内容を紹介する公式ホームページを2023年3月28日にリリースした。
これまで分譲マンション大規模修繕工事中の工事会社の倒産に対して保険制度は広く提供されていなかったが、同保険を通じて、より多くのマンション管理組合に、工事会社の倒産による費用負担を軽減する仕組みを届け、安心・安全をサポートしていく。
新商品「分譲マンション大規模修繕工事向け履行保証保険」は、保険契約者である修繕工事会社が、倒産によって工事請負契約を履行できない場合に、被保険者であるマンション管理組合が被る損害に対して、事前に工事請負契約で定められた損害賠償の予定額を保険金として定額で支払う。
■商品開発の背景
マンションの大規模修繕工事は、区分所有者で構成されるマンション管理組合が発注者となり、修繕積立金を使用して行われる。外壁タイルや塗装面の改修工事、屋上防水工事などが12〜15年周期で実施されるが、工事費は数千万円から数億円にも上る。
他方、企業の倒産は年々増加しており、大規模修繕工事においても工事会社の倒産はリスクの一つとなっている。以下データのとおり、新型コロナウイルス関連の倒産件数は全国で累計5,117件となった(帝国データバンク調べ、2023年2月9日現在)。そのうち「建設・工事業」の倒産数は743件の「飲食店」に次いで、639件で2位と高く推移している。
このように、大規模修繕工事における工事会社の倒産リスクが案じられる中、多くのマンション管理組合は工事会社に対し倒産への備えを求める潜在的なニーズがあった。公共工事においては、工事会社が倒産するリスクに対して第三者による請負工事の履行保証を手配すること(履行保証保険に加入する等)が一般的だが、これまで民間工事においては、公共工事同様の保険による仕組み・制度は広く提供されていなかった。
この状況を受け、MACは日新火災と同商品を共同開発する運びとなった。
■「分譲マンション大規模修繕工事向け履行保証保険」の特徴
同商品の主な特徴は以下のとおり。
1.工事会社の事前審査
日新火災が保険契約者である工事会社の経営状況などに基づき、保険加入の可否について審査を行う(審査の結果、保険加入できないことがある。)。
2.地域や団体加盟の制限なし
保険の申込みにあたり、地域や団体加盟などの制限や条件はない。これにより、マンション管理組合が選定できる工事会社の幅が広がる。
3.費用は保険料のみ
登録手数料や年会費は不要。保険料は保険申込み時に工事会社にが負担する。
※具体的な保険料については、別途問い合わせを。
4.定額での保険金支払い
工事中に工事会社が倒産した場合、工事の再開と完了のために、マンション管理組合には様々な金銭負担※が発生する。同商品では、被保険者であるマンション管理組合の各種金銭負担に対して、事前に工事請負契約で定められた損害賠償の予定額を保険金として定額で支払う。
(※金銭負担の参考例:過払い金、増高費用、破産管財人対応費用、出来高査定・精算費用、工事停止中の現場管理費用、代替履行業者選定費用)
健美家編集部