不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営する株式会社タスは、「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2022年3月」を発表した。
トピックスとして「東京23区の賃貸住宅市場の回復はいつ頃になるか」を掲載している。また賃貸住宅指標は2022年1月期の空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率)を掲載している。
◎詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版2022年3月」
■レポートの概要
(1) 東京23区の賃貸住宅市場の回復はいつ頃になるか
先月号において、市況分析から、2021年第4四半期の首都圏の賃貸住宅市場が全面的に回復傾向となったことを報告。一方で、東京23区の貸家着工数と世帯数増減の推移からは、感染拡大開始後に世帯数増減が大きく減少したのに対し、貸家着工数は横ばいで推移している。2021年第4四半期においても、この状況は少しも変わってない。むしろ悪化している。

(1)住民票の移動を伴わない居住者が増加した、(2)宅建業者へ広告料(AD)を支払うことができなくなったオーナーの物件が住宅情報提供会社のサイトに登録されなくなった、(3)建て替えで取り壊された賃貸住宅が増加した、等が複合的に組み合わさった結果、公的統計から得られる結果と、住宅情報会社の登録情報から推計した市況や空室率TVIの推移に相違がみられると考えられる。
本当の意味で、東京23区賃貸住宅が安定するのは、公開データから算出される需給ギャップが回復を始める状況になってからだろう。東京23区の需給ギャップ分析(「悲観」:2022年の東京23区の世帯数増減が2021年と同等、「楽観」:世帯数増減がコロナ前の2019年と同等、「中庸」:世帯数増減が2019年と2021年の平均で推移)からは、「悲観」ケースの場合は需給ギャップが2022年も拡大を継続、「楽観」ケースでは、2022年の第4四半期には需給ギャップが縮小、「中庸」ケースでは需給ギャップの拡大幅が縮小するが2022年中はギャップの拡大が続くことが予測できる。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限が解除された期間が長くなるほど、飲食業や宿泊業等に従事する非正規社員が職場に戻ってくる。また、対面授業の割合が高くなれば、首都圏周辺に実家がある学生が東京23区内で賃貸住宅居住を開始するだろう。オミクロン株による第6波の収束後、第7波到来までの期間をどれだけ抑え込めるかが、東京23区の賃貸住宅市場復活のカギとなる。

(2) 2022年1月期1都3県賃貸住宅指標
オミクロン株による感染拡大第6波の影響を受け、東京23区と神奈川県の空室率TVIが再び悪化に転じた。アパート系がより大きな影響を受けている。
[東京都]
全域 23区 市部
空室率TVI(ポイント):13.98 13.43 17.99
募集期間(ヶ月) :4.50 4.31 5.51
更新確率(%) :44.18 44.14 44.48
中途解約確率(%) :38.91 38.80 39.68
[神奈川県]
空室率TVI(ポイント):15.98
募集期間(ヶ月) :5.09
更新確率(%) :43.87
中途解約確率(%) :40.88
[埼玉県]
空室率TVI(ポイント):17.85
募集期間(ヶ月) :5.25
更新確率(%) :43.72
中途解約確率(%) :41.22
[千葉県]
空室率TVI(ポイント):16.22
募集期間(ヶ月) :4.54
更新確率(%) :43.34
中途解約確率(%) :40.99
分析:株式会社タス
(3) 2022年1月期 関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標
中京圏は、自動車産業の好調を受けて、賃貸住宅市場の改善が続いている。
[大阪府]
空室率TVI(ポイント):9.94
募集期間(ヶ月) :4.97
更新確率(%) :46.76
中途解約確率(%) :41.33
[京都府]
空室率TVI(ポイント):14.77
募集期間(ヶ月) :5.26
更新確率(%) :40.70
中途解約確率(%) :42.46
[兵庫県]
空室率TVI(ポイント):13.77
募集期間(ヶ月) :5.74
更新確率(%) :42.65
中途解約確率(%) :45.17
[愛知県]
空室率TVI(ポイント):18.07
募集期間(ヶ月) :6.08
更新確率(%) :41.56
中途解約確率(%) :45.17
[静岡県]
空室率TVI(ポイント):24.01
募集期間(ヶ月) :8.03
更新確率(%) :43.86
中途解約確率(%) :44.49
[福岡県]
空室率TVI(ポイント):10.55
募集期間(ヶ月) :5.26
更新確率(%) :47.94
中途解約確率(%) :37.57
分析:株式会社タス
◎詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版2022年3月」
健美家編集部