寄付はスマホから約5分で完結
返礼品は現地で使える電子ギフト

年収や家族構成により控除額の上限は異なるものの、寄付をすることで節税につながり返礼品も受け取れる、ふるさと納税。地域応援でなく返礼品目的の寄付が目立ち、返礼品競争により一部の自治体に寄付が集中し、減収に悩む自治体が現れるなど課題はあるが、一定の成果を収めていると言えるだろう。
総務省の調べによると、2021年度の寄付金総額は約8302億円、受入れ件数は約4447万件と、ともに過去最高を記録した。

出所:ふるさと納税ポータルサイト
制度の立て付けに対する是非はさておき、高い人気を誇るふるさと納税。これに加え、同制度を使い旅行や出張で訪れた自治体に寄付できる、「旅先納税」の制度が始まっているのはご存じだろうか。
旅先納税は、スマホを使い即座にふるさと納税ができる仕組みのこと。専用サイトにアクセスし新規登録を済ませると利用でき、寄付先の自治体・金額を決めると、クレジットカードで納付。
寄付をすると返礼品として宿泊施設や飲食店、レジャー施設、おみやげ店などで使える「e街ギフト(電子ギフト)」が受け取れる。
同市策は、国内観光人口の拡大およびふるさと納税の寄付拡大に向けた観光経済支援策のひとつで、2022年1月に3自治体(岡山県瀬戸内市、山梨県笛吹市、北海道伊達市)と一般社団法人ワインツーリズム、民間企業2社(株式会社コト、株式会社ギフティ)の計6者(その後コンソーシアムメンバーは拡大)で設立した「旅先納税広域連携コンソーシアム」が主導して計画を開始。
9月上旬には旅先納税や加盟自治体の特色が知れる「旅先納税公式ホームページ」やコンソーシアムの公式Instagramも開設。11月末時点で22の自治体が参加している。
例えば、11月11日には「海の京都地域」と称する福知山市や舞鶴市、宮津市など、京都府北部の7自治体が、海の京都DMO(一般社団法人京都府北部地域連携都市圏振興社)を通じて、旅先納税を導入。寄付をすると加盟店で使える電子商品券「海の京都コイン」(寄付金額の30%)を返礼品として発行する。
仕組みも簡単で、専用サイトからクレジットカード納付をするとコインは即発行され、宿泊施設や飲食店、体験施設といった加盟店では使いたい金額を1円単位で利用可能だ。
利用期限は発効日から180日間となっている。同コインは加盟自治体を横断して利用できるのが特徴で、複数自治体で利用できる広域の旅先納税ははじめてだという。
自治体によってe街ギフトの有効期限や利用できる施設業態も異なるが、旅先・出張先でふるさと納税によるメリットを得つつ、すぐさま使える電子ギフトが使えるとなると、ふるさと納税自体の促進につながり、加盟店で使うことによりスピーディな地域還元も実現する。
人気の観光地や出張時需要のある都市部でも利用が期待できるだろう。今後、さらに多くの自治体で導入を期待したいところだし、出かける機会が多い人は活用してはどうだろうか。
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健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))