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マンションに係る財産評価基本通達の改正を検討する有識者会議が始まる。議論の方向性は

不動産の税金/税制改正 ニュース

2023/02/23 配信

相続税対策

相続税課税時のマンションの財産評価が、市場価格と大きく乖離することがしばしばあることが問題となっている。

令和5年度与党税制改正大綱に、相続税におけるマンションの評価方法について適正化を検討するとの記載がなされたことを受け、令和5年1月から「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」が始まった。

問題の背景と相続税の財産評価の取扱いと時価との乖離の実態を整理し、有識者会議の議論の方向性を探る。

■ マンションの相続税評価適正化の検討とその背景

相続税の財産評価は、法令上、時価でなされるのが原則になっている。評価方法の実務上の運用は、財産評価基本通達と呼ばれる国税庁の内規に従ってなされている。評価通達は、画一的に適用されるので公平である。

しかし、タワーマンションや一棟マンションは、投資商品としての価値があることから、市場価格が高騰しがちである。そのため、評価通達による画一的な評価額と、市場価格との乖離が著しいケースが多発している。

相続税の節税対策として利用される場合もあり、令和4年4月19日の最高裁判決が、市場価格との乖離や租税回避目的などを理由に、通達による評価を否認したことは記憶に新しい。

このように、公平性を確保するべき評価通達が、不公平性や当局に否認されかねないという予測不可能性を生み出していることから、マンションの財産評価を見直す必要性が叫ばれるようになった。

出典:国税庁
出典:国税庁

令和5年税制改正大綱においても、マンションの相続税評価の適正化を検討すべきとの文言が盛り込まれたところである。

■ 現行の区分マンションの相続税評価と時価との乖離の実態

それでは、現行の区分マンションの相続税評価と時価との乖離は、実態上、どのようになっているのだろうか。

出典:国税庁
出典:国税庁

財産評価基本通達によれば、区分マンションの相続税評価額の評価方法は、建物と敷地とで異なる。

建物は、固定資産税評価額で評価され、その固定資産税評価額は、1棟の建物全体を積算評価によって求め、専有面積割合によって按分して求める。敷地の評価は、敷地全体の価額を路線価あるいは倍率方式によって求め、共有持分割合によって按分する。

有識者会議の資料によると、このようにして求めた区分マンションの評価額と比較し、市場価格は2〜3倍になるものもあるという。

前述した令和4年4月19日最高裁判決は、通達評価を否認したが、その事例のマンション価格は、通達評価額の4倍近くに達していた。否認する際に適用されたのが、財産評価基本通達6項である。

この規定は、通達評価が著しく不適当である場合に、当局の裁量によって評価することを定めている。めったに発動される規定ではないが、直近10年間で9件の適用事例がある。

■ マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議の議論の方向性

有識者会議の議論は、どのような方向性で検討が進められるのだろうか。

公表された第1回会議の資料によると、マンションの評価方法について、評価額と時価との乖離を適正に是正することを目的として、実態把握と分析をおこない、それを踏まえた是正方法を検討していくとしている。

第1回会議では、見直しはタワーマンションに限定すべきではない、評価方法は時価を超えることのないようにしなければならない、一戸建てとの選択にバイアスがかからないような配慮も必要である、などの意見が出されている。

このような現時点の方向性からすると、マンションの財産評価方法は、市場価格に近似するように、マンション全般に適用されるような大きな是正が検討されると考えられる。

通達評価の2〜3倍の市場価格を問題視していることから、おおむね2倍を超えるような時価との乖離を防ぐ対策が練られるのではないだろうか。有識者会議の議論のゆくえが注目される。

取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

佐藤永一郎

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。2級FP技能士。
会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。 スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。
不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所」を運営。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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