■日々進歩する設備類は退去の際に最新のものにDIY交換する
今年の繁忙期に起こった愚生の現場状況速報の後編をお届けします。
前回は退去立ち会いで確認した過失・事故破損の費用回収や、天井の漏水による共用部建物管理会社への報告と費用請求、対策工事交渉についてお話いたしました。
後編はDIYで交換できる設備類などのお話からです。
築30年を超えた物件は、四半世紀前の設備がそのままある場合、時間が止まったようで、お客様はまるでタイムマシンで昔にタイムスリップしたようで、頂けません(笑えません)。
これらは、見た目、実用性、保守性、コストなどを多面的に考慮して、仕様をチョイスした上で、最新タイプに交換します。
設備類は、現場合わせのノウハウが必要な木部工事等と違い、工場であらかじめ均一製造された工業製品なので、道具さえあれば、誰でも短時間で同一品質に工事し易く、コスト対パフォーマンス効果も大きいです。
図6 ダウンライトは流行のレールスポットライトへ
20年前のダウンライトは今、流行のレールスポットライトへ交換します。
・ライティングレール 約3,000円
・スポットライト 約1,000円×2個
・作業時間約5分間
図7 アコーディオン扉は次の退去を考慮して、壊れにくい部材仕様に交換
アコーディオンドアは芯の段ボール紙に塩化ビニルを被せただけなので、劣化が早く、普通の操作で破損します。そのため入居中にクレームとなるリスクもあります(今回のお客様は壊れたまま、無理して使ってくださっていました)。
この機会に、プラスティック製パネルドアと、ロールカーテンにDIY交換しました。
ロールカーテンは3分割にすれば、品物を出し入れする場所だけの開閉で、操作回数も減るので、一体型のアコーディオンカーテンよりも壊れにくいです。
・パネルドア 約8,000円
・作業時間約15分間
・ロールカーテン 約4,000円×3本
・作業時間約10分間×3か所
図8 製造中止換気扇はより安価で安定供給されている他社製互換品に交換
換気扇は、動作はしましたが、騒音が大きく、新規顧客からクレームが入るリスクがありました。
TOTO製・EKI0001N1でしたがこれは製造中止で、取付穴がそのまま使える同メーカー奨励の後継機種は高額です。
他社類似品を調べるとパナソニック 製 FY-17C8なら、取付ビス穴ピッチは違いますが、1/3程度の金額でした。
ユニットバス天井なので、新規に取付ビス穴を開け足しても、漏水リスク無しと判断しました。
・機材費 約4,500円
・取付ビス穴開け加工+取替+電気配線 作業時間約30分間
図9 トイレタンク内部材予防保全交換
トイレタンク内部品は、正常動作でしたが、アルミ鋳物と銅パイプ製のため、金属酸化被膜劣化で動作不良(止水不能)となるのは時間の問題なので、樹脂製に予防保全交換しました。ゴム止水ボールも同様に予防保全交換しました。
・ロータンク用ボールタップ類一式 約7,000円
・作業時間約15分間
図10 浴室水栓をサーモ式に交換
築30年超物件で四半世紀前の水栓は、機能は正常でまだまだ使えましたが、デザインが古く使い勝手も良くありません。
前回は早期入居お申込みによる工事期間不足で、部材手配入荷が間に合わず、ハンドルだけを交換して、見た目だけでごまかしていました。今回は先行調達して最新のサーモ水栓に交換できました。
・サーモ水栓 約13,000円
・作業時間約15分間(漏水検査、水流調整含む)
図11 キッチン水栓をシャワー切替伸縮式に交換
キッチン水栓も同様です。
・キッチン水栓 約9,000円
・作業時間約30分間(漏水検査、水流調整含む)
図12 玄関ライトを人感センサー自動ON/OFF式LEDシーリングライトに交換
玄関ダウンライトは電球から、感センサー付きLEDシーリングライトで1600lmの明るいものに変えました。清潔感を増すため昼白色としました。
・ライト 約2,500円
・電気配線改造+取付工事 約15分間
図13 ユニットバス床下の給湯給水&排水管調査
築30年超物件で、前回は短期で賃貸が決まり、調査の時間がとれませんでしたので、30数年にして初めてユニットバス床下配管を調べました。
埋没配管ではありませんが、鉄管(水)と銅パイプ(お湯)で、特に鉄管はエルボー接続部の周辺に錆が見られます。赤水は全く出ませんが、経験上、この状態ですと部分的に内径の50%程度が局部的に閉塞しているリスクがあります。
とりあえず、今回は目視検査だけとして、再び点検口を閉じることにしました。
ステンレスビスでも長年には湯垢で癒着します。
今後、共用部の大規模修繕などとの兼ね合いで、タイミングをみて、専有部の床下配管更新は検討の余地ありと判断しました。
将来、点検口を再度開け易くしておくため、ビスへの浸水を防止しつつ、開口時はビスを回せるように、ねじの頭部分だけを見えるように防水シーリングしました。
同時に、念のために点検口蓋の淵も防水シーリングしておきました。
再点検の時はカッターナイフで簡単にシーリングは切れます。
現在進行中の7物件から、幾つかの先行している物件現場をピックアップして速報させて頂きました。
今後も、原状回復が終わった物件から、早期賃貸付に努めたいと思います。
本稿執筆中の本日は、昨日、現場仕上げと点検が完了して、写真撮影までしてきた先行1室を、約20社の賃貸仲介業者さんへの、マイソクと物件写真集の配布と営業活動を電話とメイルで済ませました。
後日、順次訪問営業を行う予定です!
これからも頑張ります。
■芦沢ラボ 上昇中の日経平均と米国指数を観察
物件に籠りきりで、世間と隔離されて? 夜間まで一人黙々と作業していると、世界経済情勢や、今後の動向を見失ってしまいそうなので、復習と確認を情報共有させて頂きます。
今春は急激な円高と日経平均高が続いています。
3月に米国インフレ率発表とFRBパウェル議長会見があり、CMEフェドウォッチ等の市場データも今年の利下げ回数が2~3回とペースダウンが織り込まれています。
それを裏付けるように米10年債利回は、徐々に下値(利回りの底)を切り上げてきています。
各種データを色々と比較してみました。
図14 米国インフレ率と10年債利回の関係
インフレ率と米10年債利回りは相関。今はインフレが落ち着くのを様子見という感じですので、今後のインフレデータは常に要注意と思います。
インフレ率よりも10年国債利回りが高いのが正常ですので、これが逆転した状態は名目インフレ率よりも実質インフレ率の方が理論的に高くなってしまいます。
その状態は、お金を借りられるだけ借りて、借金でモノを買えば買うほど、お得な世界を意味しますので、超長期的には是正されます。
図15 ドルと円と米10年債利回の関係
為替については、ドル指数は米10年債利回と相関していますが、今は円が独歩安になっています。
つまり、ドル円が円安になっているのは、円だけが世界の先進国通貨円指数)に対して、ただ一人割安にやっているだと分かります。
図16 ドルと円と日経平均の関係
日経平均はドルの動きよりも、円安分だけ値上がりしています。
図17 円と日経平均の相関係数
そこで、日経平均と円の相関係数を計算してみると、(今は)常時負の相関関係だと出ました。
つまり逆の値動きをしているということです。
図18 米10年国債利回と円の相関係数
米10年債利回りと円指数の相関係数を計算してみると、年初位には、日米金利差が円安の原因でしたが、最近は米10年債利回の動きよりも、円安との相関関係の方が大きいことが分かりました。
図19 ドル/円と米10年国債利回相関係数
ドル/円は米10年債利回と正の相関関係がありますが、ドル/円と日経平均とは昨年は中立でしたが、今年に入って正の相関係数が出ています。
図20 FRBの市場資金サプライ(バランスシート変化)
米国M2サプライが約100年ぶりにマイナスになっています。(図20)
FRBバランスシート(図21)自体は依然巨大ですが、歴史的なQTによる市場からの資金引き上げが行われていることが分かります。
今は、急激に世界的な世の中の状況が変わりつつあるので、今後とも、自分の目と手で色々なデータを分析して行こうと思います。
皆様の益々のご成功をお祈り申し上げます。