手先の器用さに自信のない人でもカンタンに、コスパ良くできるDIYリフォームの技術を伝える「不動産投資初心者のためのDIYリペア講座」シリーズ。第9回目は「トイレの補修」をテーマにお届けする。
前回は水栓の水漏れ補修が意外と簡単にできるということをお伝えしたが、同様に、トイレのトラブルも自分で簡単に対処できる場合が多い。今回は一般的なタンク式の洋式トイレでありがちなトラブルとその対処法についてお伝えしていく。
まずは、トイレの水が流れる仕組みについて知っておこう。上の画像はトイレのタンク内の図解である。レバーを回すと鎖で繋がったゴムフロート(排水溝の栓の役割を果たしている)が持ち上がり、水が便器に流れていく。
ゴムフロートは水が流れ終わると自重で閉まる。水位が下がることで給水栓に繋がったボールタップという器具の浮玉が沈み、連動してボールタップの弁が開いて給水が始まる。
水位が上がるのと同時に浮玉も再び上がり、元の位置まで上がるとバルブが閉じ、給水も止まる。この仕組みにより常に一定の水量がタンク内に保たれているのだ。シンプルながら非常に良くできた仕組みである。
レバーをひねっても水が流れない…
そんな時は焦らずタンクの中をじっくり観察すべし
トイレの構造や水の流れる仕組みをご理解いただいたところで、本題のトイレの簡単DIY補修の解説に移る。まずありがちなのが、水洗レバーをひねってもに水が流れないという不具合。
そんな時は焦らずタンクの蓋を持ち上げて、タンクの中を観察してみよう。手洗ノズルとボールタップはホースでタンクを挟んで連結されているので、破損しないように気を付けるべし。ホースのナットを外してタンクを分離させると作業しやすい。
中を覗いてみたら、ひょっとして単純にレバーとゴムフロートを繋ぐ鎖が外れていたり、切れているだけかもしれない。そんな時は掛け直すか、切れてたら新しいものに交換しよう。
鎖が必要以上に長くてゴムフロートの上がりが悪いようなら、鎖を結うなどして短く調整してやればよい。
古いトイレや空き家で長く使われていなかったトイレなど、レバーがサビ等で固着してそもそも動かないということもしばしばある。
タンク内のナットを外せばレバーが取り外せるので、サビを綺麗に取り除いてあげよう。サビがあまりに酷かったりレバーが破損しているようなら、レバーのみ単体で売っているので交換すればOKだ。
また、便器に水は流れるけど手洗い器のノズルから水が出ない、ということもあるかもしれない。そんな時はノズルのサビ詰まりや、ボールタップと繋がる連結ホースの外れといった症状を疑おう。掃除やホースの再接続をしても改善しない場合は、ノズルを交換すべきかもしれない。こちらも単体で購入可能だ。
水が止まらず、便器内に流れ続ける…
そんな時は給水or排水に問題アリ
もうひとつよくあるのが、先ほどとは逆で便器内に水が流れ続けて止まらないという不具合。タンクに水が溜まった後もずっとちょろちょろと水が流れてくるような状態だ。
こんなときは、給水、排水のどちらかに問題が生じていると考えられる。まずは大元の止水栓を閉め、問題箇所を見極めよう。
・止水栓を閉めたら水の流れが止まった場合
この場合は、給水システム(ボールタップ側)に問題があると考えられる。まずはタンクを開けて、浮玉やアームに他の部品との干渉やゆがみがないかをチェックしよう。
ひょっとしたら器具の調整だけで直るかもしれない。他には、浮玉と連動するボールタップ弁の不具合の可能性も考えられる。
水垢などの異物の付着や、弁パッキンの劣化により弁が完全に閉じなくなっているというパターンだ。弁の掃除や弁またはパッキン(ホームセンターやネットで購入可能)のみの交換で解消が期待できる。これだけで直れば無料~せいぜい数百円の出費で済む。
前述の方法で改善しない、またはそもそもボールタップ自体が破損していると見られる場合は、ボールタップ全体の交換が必要となる。
ボールタップは数千円で購入でき、SANEIやKAKUDAIといったメーカーが様々なメーカーに幅広く適合する商品を提供している。見た目が全く異なるものの機能は同じでコスパ抜群な樹脂製の商品もあり、なるだけコストを抑えたい方におすすめだ。ボールタップは給水栓および手洗ノズルのホースと連結されており、連結部分のナットを外せば着脱可能。交換自体はなんてことない作業だ。
・止水栓を閉めても水の流れが止まらない場合
この場合は、排水システムに問題があると考えられる。たいてい、ゴムフロートやオーバーフロー管の劣化・破損による水漏れだ。ゴムフロートは安価で購入可能かつ、取り外し、交換も非常に簡単だ。古いゴムは素手で触ると手が真っ黒になってしまうので、手袋着用のうえで作業しよう。
一方でオーバーフロー管の劣化については、初心者には交換をオススメしかねる。作業工程で一度タンクとトイレを取り外さなくてはならないため、難易度がやや高く、トイレ本体の破損リスクも跳ね上がるからだ。応急処置的に市販の防水テープで破損箇所を塞ぐか、素直に業者に任せよう。防水テープは例えばゴリラテープなどが有名だ。
水回り、特にトイレの修繕というとハードルが高く感じられるかもしれない。だが、ご紹介したとおり、簡単な作業であっけなく安価に解決できる場合も少なくない。不具合を見つけたら落ち着いて原因を見極め、DIYでの補修にチャレンジしてみてはいかがだろうか。