価格も地上からの高さも日本一とされる「アマンレジデンス東京」(東京都港区)、世界的な建築家の安藤忠雄氏が設計を手掛ける「アルマーニ ビーチ レジデンス パーム ジュメイラ 」(UAE・ドバイ)、マイアミのビーチにそびえ立つ地上60階建ての「ベントレー・レジデンス」(アメリカ・フロリダ州)など、2023年に竣工、着工あるいは販売を開始する世界の超高級レジデンスには共通項がある。
いずれも、ホテル、アパレル、自動車の超高級ブランドの名前を冠した「ブランデッドレジデンス」であるという点だ。
特に、ジムやプール、コンシェルジュにハウスキーピング、ルームサービスなど五つ星ホテルが提供する上質な設備、サービスを受けられるホテルブランデッドレジデンスの数が多く、日本でも近年、「フォーシーズンズホテル京都」併設の「フォーシーズンズホテルレジデンス京都」(ホテル客室123室、レジデンス57室)や、「パークハイアットニセコ花園」併設の「パークハイアットニセコ花園レジデンス」(ホテル客室100室、レジデンス約100室)などその数は増え続けている。
海外では、最近の大型開発のほとんどにマリオット系、ハイアット系ホテルやポルシェ、アストン・マーチンといった欧州車などの超高級ブランド名を冠したブランデッドレジデンスが組み込まれていて、超富裕層・富裕層向けマーケティングの常識となりつつある。
デベロッパーにとっては、通常の物件価格にブランド料を上乗せしたプレミアム価格を設定できること、そのブランドの愛用者である超富裕層向けに販売活動がしやすくなること、世界的な話題性などのメリットがある。
買い手側には、ホテルブランドが長年かけて培ってきた上質なサービスを受けられること、またブランド名に担保された安心感が大きな魅力だろう。
特にフィリピンやマレーシア、タイといった東南アジア諸国では先進国と比べて建築技術が高くなく不動産の品質にバラツキがある、地場のデベロッパーの倒産リスクといった不安要素があるため、大手ブランド名を冠した物件の人気が高い。
投資の観点から見ても高リターンを得やすく、例えばフィリピン・マニラの一等地に5年前に完成した「グランドハイアットレジデンスタワー1」は現時点で価格が倍に値上がりしているという。(参照:販売開始から完成後5年で価格が2倍に!人口ボーナス期のフィリピン、東南アジア不動産の人気急上昇中)
フィリピンでは現在も、「バンヤンツリーレジデンス マニラベイ」(マニラ)、「シェラトン セブ マクタンリゾート ザ・レジデンス」(セブ島)などのホテルブランデッドレジデンスが販売中。バンヤンツリーレジデンス マニラベイは104.97㎡~857.36㎡の1ベッドルームから5ベッドルームの展開で、価格は約2億6千万円からとかなり強気の値付け。
しかし、冒頭で紹介したアマンレジデンス東京やベントレーレジデンスは完全なクローズド販売戦略を採用していることを考えれば、東南アジア諸国のブランデッドレジデンスは手が届く投資先と言えるだろう。高いリセールバリューが見込めるとなるとその魅力はなおさら増す。
現在はアメリカやアジア諸国が中心のブランデッドレジデンスだが、今後、その市場規模はますます成長すると見られている。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))