私が所有する物件の多くは、金融機関から融資を受けて購入しました。その際、中古アパートと中古戸建と、中古RCでは、それぞれにアプローチの仕方が異なりました。
融資を受ける際には知識や準備が必要になってきます。ここまで現金で買ってきてそろそろ融資を、と思っている方は怖い気持ちもあると思いますが、事前に準備しておけば、その不安も和らぎます。
今融資に挑戦されている方の参考になれば嬉しいです。
■初めての融資は2,000万円の中古アパート
不動産投資の手法は、融資を受けるか現金かの、大きく分けてふたつの道があると思います。どちらが良いかは人によって変わるので、自分自身の目標によって決める必要があります。
私が始めた平成23年頃は、多くの人が融資派の印象でした。私も最初から融資を使うことを考えていました。自分の目標を達成するためにはその方がいいと思ったからです。
当時の私の目標とは、「5年でキャッシュフロー100万円」というものでした(やってみると簡単ではないとすぐ分かりました汗)。給料から現金を貯めながら買っていく方法では、追いつかない金額です。
しかし、融資を引くことは思ったより簡単ではありませんでした。最初の頃は、とにかく利回りを重視していて、どうすれば融資を受けられるかという金融機関目線に欠けていました。
当時、金融機関に持ち込んだ物件の多くは、耐用年数越えの築古や、あまり人気のないエリアのものが多かったです。当然、金融機関からの評価は厳しく、苦戦が続きました。
当時は「なぜ高利回りで悪くない物件なのにダメなのか」と、年収320万円の自分の属性のせいにしていました。今ふりかえると、(属性も関係はあったと思いますが)、肝心な物件選びにも原因があったと理解できます。
また、大きなRC物件の融資の相談に行き、門前払いを受けたこともありました。金融機関の目線も何もわかっていない自分は箸にも棒にも引っかかりません。
紆余曲折を経験する中で、金融機関や仲介会社さんと話す機会も増え、自分の実力と可能性が見えてきました。そして、「2,000万円以下」という低価格帯のアパートに的を絞った事で、ようやく融資を受けることできました。
その後も飛び込みで行った金融機関の支店長さんに親身に対応して頂けたり、不動産会社の担当者さんに金融機関を紹介して頂いたりして、苦戦しながらも、何とか4年で4棟のアパートを購入する事が出来ました。
その頃の融資で意識していた事は、「確定申告では赤字を出さない」こと。出来れば初年度から利益を出し、その後も黒字を続けること。また、持ち込む物件の返済比率は50%以下に抑えられる融資の組み方をする事でした。
「サラリーマンを卒業する」という目標に向けて、ガムシャラに物件を探す私を見て、「そうじゃないよ、こうだよ」と思ってくださったのか、色々な方が力を貸してくださいました。
■新築の融資付けは築古と全く違う
その後は築古アパートで融資を受け続けることの難しさや、所有物件が築古に偏っていくことのリスクを考え、次第に新築アパートにシフトしていきました。
ひとつ補足すると、築古だからと言って必ずしも融資が受けにくい、継続した融資を受けるのが難しいとは言い入れません。金融機関の意向を把握した上で、例えば築古でも土地の評価が出る物件を選ぶなどして、築古アパートで継続的に融資を受けて購入されている方も多くいます。
新築アパートにシフトしてからの融資付けは、築古とは全く違いました。金融機関の担当者が建築会社へ「ウチで借りて欲しい」と営業に来ると聞いて驚きました。プランの時点で物件の評価は出ており、あとは買う人の属性次第で融資の可否が決まるという状態でした。
■戸建ての融資は公庫さんに助けられた
そうして新築アパートを3棟ほど経験して専業大家になった後、築古激安戸建にシフトしていきました。戸建の購入は、現金と融資の割合が半々くらいの割合でした。
なぜアパートからシフトしたかというと、これまでのFIREのためにキャッシュフローを積上げる投資から、やってみたい、興味がある投資をしたいと意識が変わったためでした。
築古戸建の融資はすべて日本政策金融公庫さんにお世話になりました。公庫の特徴の一つに、他ではあまりない「無担保融資」を受けられる可能性がある、というものがあります。
その際、物件の土地値等だけでなく、こちらが準備していった事業計画や物件の収益性、そして、これまでの取引実績を見て融資の判断をされたのが印象でした。
ありがたいことに、私自身は公庫さんに持ち込んだ物件全てで融資を受けることができました。(エリアや時期などによっても傾向は変わりますので、近くの公庫で一度、方針等を確認されることをおすすめします)
■大家仲間の紹介で融資を受けられた中古RC
築古戸建に2年間集中して取り組んだ後は、中古RCにシフトしました。ここからが自分にとって、融資の正念場でした。
検討する物件の規模がこれまでより大きな1億円前後となり、今までのような周りからのお膳立てだけではどうにもならない、「自分の実力」が求められるステージに入ったと感じました。
そんな中、気になる物件に出会いました。札幌市内にある約9千万円の中古のRCマンションです。既存の取り引き金融機関に打診しましたが、いずれも回答はこちらの希望額と大きくかけ離れていました。新規の金融機関にも複数アタックしましたがダメでした。
途方に暮れていると、私が当時、定期的に主催していた大家さんの集まるミーティングに毎回参加してくれていた大家仲間の一人が、「大野さんに恩返しがしたい」と言って、金融機関の役員さんを紹介してくれました。
面談にはその大家仲間も同席してくれました。私も本気の思いでプレゼンをしました。すると後日、正式に融資承認の電話が入りました。それもこちらの希望通りの融資額と融資年数で!
その時は嬉しさのあまりスマホの電話口で声が震えました。本当に、紹介してくれた大家仲間には感謝しています。
その1か月後にまた気になる物件を見付けました。今度は1億円オーバーです。前述の金融機関の役員さんには、気になる物件が出ればすぐに相談するようにしていました。この時もすぐに連絡を取り、まずは口頭で融資の承諾をもらう事が出来ました。
その理由の一つに、私がこちらの金融機関の評価方法を事前に把握しており、その基準にあった物件を探していた事があります。金融機関さんの目線を理解することは非常に重要だと改めて感じました。
次回は、私が金融機関さんからの融資を受けるために実践したことや、金融機関の担当者さんに「融資を出す、出さないを決めるポイント」に関して言われたことなどをお伝えします。
キャンプ場に向かう途中の美瑛の景色