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現地見学前に確認したい最低限の書類は”建築確認通知書”と”検査済証” 「不動産投資家のための建築知識002」

不動産投資全般/建築知識 ニュース

2021/01/14 配信

「不動産投資家のための建築知識」のシリーズ。前回の記事では建築監理の重要性について述べたが、2回目の今回は、不動産投資のリスクを最小に、リターンを確実にするため今回は建築確認通知書と検査済証の有無を確認する意味と重要性について説明していこう。

エビデンスで区別する安心物件とリスク物件
建築確認通知書と検査済証は初歩の確認

物件のチェックをする際、建築確認通知書と検査済証があるかはまず確認する必要があるチェックポイントだ。

前回紹介したレオパレスの施工不備の一つに集合住宅の界壁(住戸と住戸を区切る壁)の防火区画の問題があった。

ちょうど先日、レオパレスではないがおそらくまさにその点に問題があったであろうアパートの火災現場に遭遇した。

写真はイメージ
写真はイメージ

火元の室の火災が「防火性能を満たさない」界壁を超えて隣室への延焼を引き起こし、結果として一棟すべてが損傷してしまったのだ。

築40年ほどの木造アパート物件であり、界壁の焼損状況からは界壁の防火性能が不備であり建築検査を受けていない、すなわち検査済証がない物件と思われた。

現在の日本国内で、すべての建築物は主に建築基準法、消防法という二つの法規によって「安全である」ことを竣工時に確認された上で利用開始されている。その安全性の担保を大前提として不動産(建築)は取引されているが、実態はどうだろうか。

法適合は「建築主が主体」となって審査機関(地方自治体、または認定された民間審査機関)に確認申請と検査申請を行い、その申請に基づき審査が行われ問題ないことが確認されれば「建築確認通知書」「検査済証」が交付されるのは、建築について少し詳しい方ならよくご存じのことだ。

すなわち、現在の日本国内の遵法既存建築物は原則としてこの二つのドキュメントを備えることで安全を保証・証明している(ことになっている)。

建築確認証イメージ
建築確認証イメージ
検査済み証イメージ
検査済み証イメージ

ここで、「ことになっている」とすっきりしない言い方をしたのはこの制度の運用がバブル期ぐらいまでかなりあいまいだった事実が一方にあるためだ。

国土交通省のデータによれば、平成10年前後に検査済証取得率は40%、90%を超えたのが平成19年である。そしてそれ以前ではさらに低い。
国土交通省作成資料「効率的かつ実効性ある確認検査制度等のあり方の検討」より

これら、検査済証のないものについての「遵法性に基づく安全」は、その時点で「エビデンスがない=確認ができない」ことになる。

そして、その既存建築の遵法性が証明できない場合、増改築などの建築確認を必要とする改修、同じく建築確認を必要とする用途変更は新たな建築行為の建築確認が受けられない。そのポイントでそのプロジェクトはストップしてしまう。

すなわちその物件に対する「新たな投資による新たな価値向上ができない」のだ。
※どうしてもその改修が必要であれば、建築士に依頼して費用をかけて遵法性を別の方法で証明することは可能であるが、工事費用に加えて時間とコストがその分かかることになる。

検査済み証取得率100%の時代が来る?
安全確認の責任とエビデンスで証明できなかった場合のリスク

自己の保有物件が確認された遵法性を有していることが日本国内の建築物として本来必須である、ことを原則とする。

そしてそれを前提に不動産(建築)の取引が行われているとすれば、賢明な不動産投資家が物件を取得検討するときに、この二つのエビデンスを確認することは「基本のき」にあたることが分かるであろう。

それでは取引による建築物の取得時にその遵法性が確認・証明できないということが、オーナーにとってどういうリスクになるのだろうか。

一つは、そのリスク物件を保有すること自体が、今後ババヌキのババを引くことにつながる可能性。

検査済証取得率は上がることはあっても下がることはありえないので、それが本当の意味で常識になっていく近い将来、検査済証がないことは相対的に市場価値を下げ、売却が困難となるリスクは時代と共に相対的に増大している。

持ち札がいつのまにかババになってしまう、そういう未来だ。現在もその有無が直接的に判断基準にはなっているわけではないが、火災保険、地震保険の加入や評価においても基本的な重要書面としての位置づけになっている。将来的には検査済証がないことがリスクとして保険料に反映される流れもあるだろう。

もう一つは不動産投資者=物件所有者の責任として、テナント・借り手に対して遵法性を証明できない状態で、冒頭の火災延焼のように何かの事案が建築物の法規上の不備によって起きた場合、その時点での所有者の連帯的な責めになる可能性を考えておきたい。あのアパートが保険加入を断られていたら、延焼で人身に被害があったらと考えてみてほしい。

そして、安全性という問題だけでなく、違法建築のため検査済証が取得できなかった場合も考えると、「再建築不可」「最小面積違反」など融資条件自体が厳しくなるリスクも考えておくべきだろう。

不動産投資物件検討における最低限のエビデンスとして、「建築確認通知書」、「検査済証」の確認の、更に言えばエビデンスそのものではなく、それが保証すべき建築物の安全性を確認する重要性が理解できるだろう。

昨今の「リスク忌避社会」はアクションに透明性を求める。その透明性の一つがこういったエビデンスにあることを理解したい。

次回は、建築物取得後に現れるリスクのいろいろについて考え、それを避ける方法について見てみよう。

執筆:新堀 学/しんぼり まなぶ

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【プロフィール】
建築家。1964年埼玉県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。安藤忠雄建築研究所所員を経て、1999年より新堀アトリエ一級建築士事務所主宰。独立後、リノベーションを中心として、設計のみならず建築の保存再生から地域文化活動へと広く携わり、建築の企画から利活用にわたり、技術と制度を活用した柔軟な提案を行っている。一般社団法人HEAD研究会理事、一般社団法人住宅遺産トラスト理事。
著作
2002年:リノベーション・スタディーズ(lixil出版)共著
2004年:コンバージョン設計マニュアル(エクスナレッジ出版)共著
2005年:リノベーションの現場(彰国社)共著
2016年:建築再生学(市ヶ谷出版)共著 ほか

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