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行政手続きで、認印全廃に向けた動き。 不動産業界ではどんな影響がある?

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2020/11/27 配信

行政手続き約1万5000種類のうち、99%以上の手続きで押印を廃止すると11月13日の定例会見で河野太郎行政・規制改革担当相は、明らかにした。

実印を押す必要がある手続きなど83種類は存続するものの、「認め印」は全て廃止する考えだ(出典元:日本経済新聞)。これによって不動産の業務においては、どのような影響があるのだろうか? 日本橋くるみ行政書士事務所の石井くるみ氏に話を聞いた。

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今後一気に認印を押す機会が減ることになりそうだ。

登記などの実印は存続でも
住民票の転入・転出届けなどでの認印は廃止

不動産業界においては、登記などの実印は存続、住民票の転入・転出届けなどは廃止の方向だ。行政書士の石井氏に、まずはこれまで印鑑が担ってきた役割について聞いた。

「印鑑には、本人が市区町村に登録した『実印』と、登録がされていない『認印』の2種類があります。今回の印鑑不要論の対象となっているのは、『認印』です。そもそも押印の目的は、民事裁判において、契約書等の私文書が、押印をした本人によって作成されたことを示すことにあります」

たとえば、ある顧客と不動産を売買する契約書を作成したのに、後になって「私はこの契約書を作成した記憶がなく、偽造されたものだ」と言われて裁判になるケースを想定すると分かりやすい。

民事訴訟法には「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という規定がある。

「すなわち、不動産の売買契約書の中に顧客の署名又は押印があれば、裁判上、その私文書は、本人(顧客)が作成したものであることを主張できるのです。しかし、裁判において顧客から『他人がその印鑑を利用した可能性がある』などの反証がなされた場合には、本人が作成したという推定は破られてしまうリスクがあります」

そこで利用されるのが「実印」とその「印鑑証明書」である。契約書に顧客の実印を押してもらい、その印影に係る印鑑証明書を得ていれば、その印鑑証明書をもって、印影と作成名義人の印章の一致を証明することができる。

一方で、「認印」には印鑑証明書が存在しないため、もしも、「他人が自分の認印を不正利用した可能性がある」といっても、それを証明する手段がないと石井氏は指摘する。場合によっては署名(手書きのサイン)の方が、認印に比べ、本人の筆跡との一致を証明しやすいケースもありうるという。

「今後も、不動産売買契約書のような重要な契約書には引き続き『実印』が使われていくと予想されますが、それ以外の『認印』で済ませている重要性の低い書類については押印をなくして署名のみとして、代わりに本人が契約書を交わしたことを証明できる運転免許証やマイナンバーカードを確認しようという考え方、いわば『書類上の認印不要論』が出てくるでしょう」

そもそも、紙の書類自体が要らないのではないかといった「書類不要論」に変化すると石井氏は予測する。

紙の契約書等を作成するたびに、印刷や郵送の事務作業が発生し、かつ契約書等の原本の保管や事後的な検索のコストがかかっている現状から、紙の契約書等を廃止し、オンライン上で迅速に契約を完結させる「電子契約」に大きなメリットがあると考えている。

地面師やなりすまし、
詐欺被害が増えるなどの問題は?

認印廃止によって、地面師やなりすまし、詐欺が増えるなどの悪影響はないのだろうか?

「重要な契約書には引き続き『実印』が使われていくと予想されるため、認印の廃止が、地面師被害やなりすまし/詐欺被害の増加につながるとは考えにくいでしょう。むしろ、3Dプリンター等の技術の進歩で、実印の印章が模倣されてしまうことにより、地面師被害等が増加することの方が懸念されます」

そこで石井氏が注目するのが、前述の電子契約である。「電子署名」という方法を用いて、偽造・改ざん不可能な電子的な徴証を電磁的記録に付与することができる。

「コロナによるテレワーク文化の浸透や、環境への配慮を謳うESG/SDGsの広がりも、事務コストや紙資源の消費を抑える電子契約の導入を後押しするでしょう。電子契約の導入は、不動産会社の業務全体の電子化・オンライン化のきっかけになり得ると考えられます」

電子署名や電子契約に、まだ馴染みが薄い人もいるだろう。しかし、すでに石井氏の事務所では、電子署名や電子契約で業務を進める機会も多いという。

「時間や手間を省略することができ、保管も容易で安全性が高い電子契約が広がっていくことに期待しています」

コロナの影響で、オンライン化が急速に進む今、認印廃止や電子契約、電子署名などの広がりによって、不動産業務においても、書類の取り扱いに大きな変化がありそうだ。

不動産業界では、これまで紙やFAXを多用してきたが、その業務フローが大きく変わるときなのかもしれない。

健美家編集部(協力:高橋洋子)

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