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次世代都市「スマートシティ」全国で進む トヨタ、NTTは2021年着工 投資家もスマートに戦略を

政策/街づくり ニュース

2020/07/18 配信

膨大なデータなどAIで分析し都市効率化
MaaS、自動運転、テレワークが当たり前に

街全体をITでつなぎ、人工知能(AI)などを活用して生活の利便性を高める次世代都市「スマートシティ」の整備計画が全国で進んでいる。

民間では、トヨタ自動車とNTTが2021年、静岡県裾野市に着工する予定。省庁は自治体への支援を広げている。ITが得意とする「非接触」技術は、折からの新型コロナウイルス感染拡大で強まった、人との接触を避けたいというニーズにもかなう。

新たなニーズを満たすスマートシティは、街をめぐる人の流れを変える可能性があり、不動産投資家もスマート(賢明)に戦略を練っていきたい。

写真1

スマートシティという言葉は以前からあり、10年くらい前は、主に省エネや再生エネルギーの活用といった、エネルギー面を主眼におくものが多かった。

現在は、IT技術の飛躍的な進歩を背景に、スマートフォンや街中のカメラなどを使って膨大な情報を集め、AIで分析してサービスを提供し、街全体の活動の効率を高めることが主眼となっている。

想定されるスマートシティでのサービスの典型例は、タクシー、バス、鉄道などのさまざまな移動手段をスマホのアプリで使える次世代交通サービス「 MaaS(マース)」や、自動運転だ。ウェブ会議システムなどを使った在宅勤務(テレワーク)も当たり前になるだろう。

政府はスマートシティを、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く第5の社会「 Society(ソサエティ)5.0」を体現する都市、と位置づけている。
ちなみに、5月31日配信の「『スーパーシティ法案』成立 AIなどで都市開発の概念変わる 不動産投資家も意識変革を」で紹介したスーパーシティは、スマートシティの進化系ともといえる。

主眼は、国家戦略特区という地域限定で、実際に法規制を緩和して取り組みを進めようという点だ。スマートシティが規制緩和を想定せず、基本的に現在の法規制のもとで取り組みを進める点が違いだ。スーパーシティの区域は9月に国が公募を始め、年内にも5つ程度の自治体などを指定する予定となっている。

静岡県に「ウーブン・シティ」建設へ
広さ70万平米、道は自動運転専用など3通り

ここで、進行中のスマートシティをみてみよう。まずは民間による取り組みだ。
冒頭紹介したように、トヨタ自動車は21年、NTTと静岡県裾野市にスマートシティ「ウーブン・シティ」の建設に着手する。今年3月、両社は、互いに2000億円を出資し、株式を持ち合う資本業務提携で合意したと発表した。

静岡県裾野市から見た富士山。2021年、富士山を望めるスマートシティが着工する
静岡県裾野市から見た富士山。2021年、富士山を望めるスマートシティが着工する

ウーブン・シティが建設されるのは、今年末に閉鎖するトヨタ自動車東日本の東富士工場(裾野市)跡地だ。将来的には、175エーカー(約70.8万平方メートル)の広さで展開することを考えている。

どのような街になるのか。たとえば、街を通る道は3つに分類する。
@スピードが速い車両専用で、完全自動運転でゼロエミッションの「モビリティ」だけが走行する道
A歩行者とスピードが遅い「パーソナルモビリティ」が通るプロムナードのような道
B歩行者専用の、公園内の歩道のような道ーだ。

燃料電池などのインフラはすべて地下に設置する。住民は室内用ロボットなどの新技術を検証。センサーで集めたデータをAIが分析し、住民は日々の健康状態をチェックするなどして、生活の質を高める。

街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で作り、屋根には太陽光発電パネルなどを設置して、環境との調和やサステイナビリティ(持続可能性)を実現させる。

国交省、15の「先行プロジェクト」選定
「大丸有」は環境データ可視化、札幌市は健康主眼

一方、政府もスマートシティ導入の音頭をとり、自治体を支援している。
国土交通省は昨年3〜4月、スマートシティモデル事業を公募し、全国の牽引役となりうる「先行モデルプロジェクト」15事業、国が重点的に支援して早期の事業化を進める「重点事業化促進プロジェクト」23事業を発表した。

このうち、先行モデルプロジェクト事業について、国交省は今年4月、それぞれの将来像や実現までのロードマップなどを定めた実行計画を公表した。

先行モデルプロジェクトに選ばれたのは、東京都千代田区や江東区、札幌市、静岡県の熱海市・下田市、広島県三次市など、全国の15地区だ。国交省はこれらのプロジェクトに財政的な支援を行ったり、人を派遣して助言としたりといったサポートを行う。

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プロジェクトのうち、たとえば、東京都千代田区の「大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティ」は、IoT(モノのインターネット)やAIを活用し、エリアの「スマート化」を進めていく。

たとえば、都市の緑や気象といった環境データをリアルタイムで可視化しシミュレーションして、快適に過ごせる空間の情報を発信する。また、警備、物流、清掃など、人手不足で苦しい分野でのロボットの活用や、運動履歴、血圧などのデータにもとづいた健康関連情報のサービスを配信する。

国交省の資料から
国交省の資料から

地方では、たとえば札幌市は健康に重点を置いた取り組みを行う。スマホで市民の歩数を計測し、歩数に応じて公共交通機関で使えるポイントを付与するサービスを想定している。

国交省の資料から
国交省の資料から

広島県三次市では、「持続可能な中山間地型のスマートコミュニティモデルの構築を目指す」としている。

国交省の資料から
国交省の資料から

これらの実行計画は、実現すればいずれも魅力的なものばかりだ。その魅力にひかれ、今まで住民の減少に苦しんでいた自治体へ若い世代が流入するようになり、その街の不動産価値が高まる可能性がある。

また、5月31日配信の記事で紹介したように、スーパーシティと同じく、不動産で重視される価値を変えてしまいうる。

「駅近なのか」「人の集まる商業施設に近いのか」といった要素だけでなく、「テレワークに適した静かな住環境なのか」といった多様な要素に不動産価値が左右されるようになるのだ。
不動産投資家も時代の流れに乗っかり、自分の戦略に生かせるよう、スマートシティの動向に注意していきたい。

取材・文 小田切隆

【プロフィール】 経済ジャーナリスト。長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。ニュースサイト「マネー現代」(講談社)、経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)「近代セールス」(近代セールス社)などで記事を執筆・連載。

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