※引用:大洲市
四国北西の港町:大洲市
愛媛県の大洲市は、市内の港である長浜港の埋め立て地活用方針となる「長浜港周辺利活用基本構想(案)」を発表した。
大洲市は四国の北西、愛媛県の県庁所在地である松山市の南西に位置している。長浜港は清流として知られる肱川(ひじかわ)の河口に位置する港で、その位置は大洲市の北に当たる。
※引用:大洲市
長浜港には日本国内と海外を行き来する貿易船が入ってくるほか、木材の集積基地や建築資材の供給基地という機能も持ち合わせている。
さらに、地域の漁業基地として重要な役割を果たしており、漁業に使われる小型船の係留地などとして使われており、大洲市内における長浜港の位置づけはとても重要だ。
長浜港が位置しているのは大洲市の長浜町だが、長浜町はもともと大洲市とは別の町だった。
2005年1月に大洲市・長浜町・肱川町・河辺村が合併したことにより、長浜町は大洲市の中に組み入れられている。
旧長浜町では、地域産業の振興や町の活性化を目的として1987年に「長浜町第三次開発事業基本計画」が策定されていた。市町村合併によって計画は大洲市に引き継がれている。
計画は2003年に一度見直しが入ったものの、改定後約20年が経過したことや社会情勢の変化などを受けて、大洲市は2022年度に長浜港周辺利活用基本構想(案)を策定した。
港は町にとって重要な存在であることから、港周辺の都市開発に絞った内容になった次第だ。
長浜港周辺利活用基本構想(案)の概要
基本構想は長浜港の埋め立てを前提としており、埋立地の活用方法について方向性を示している。
埋め立てを前提としているのは、愛媛県が漁業に使われる小型船係留地の整備を進めたためであり、漁船が長浜港から移転するからだ。
構想の目的は人口の維持・増加と交流促進とされており、大きく分けて4つの用地に分けられている。用地の区分けは以下の通り。
- ふ頭用地
- 便益施設用地
- 公共施設用地
- スポーツ・レクリエーション施設用地
※引用:大洲市
①のふ頭用地は上記の図で言うところの右上、水色のエリアに該当する。主に港の機能を集めたエリアとなり、業務施設用地として活用される予定だ。
②の公共施設用地は図で言うところの左下、紫のエリアに該当する。消防団詰所や公園などが整備されるほか、観光バスの駐車場・複合施設などが作られる。
各施設の規模は今後見直される可能性があるが、公園の面積は約6,000㎡・複合施設の面積は約6,000㎡となる予定だ。
③の便益施設用地は左上の黄色いエリアに該当し、木造平屋建ての物産飲食施設(道の駅)や商業施設などが入る。道の駅は面積約1,100㎡、商業施設と道の駅で合わせて面積約2,900㎡になる予定。
④のスポーツ・レクリエーション施設用地は右下、オレンジのエリアが該当する。サッカーなどのスポーツができる約2.5ヘクタールの多目的広場に加えて、スケートボードなどを楽しめる多目的運動場が設けられる予定だ。
なお、各施設完成後、ふ頭用地以外のエリアでは民間事業者による管理が行われる。
今後のスケジュールとしては、2024~2025年度に埋立地造成の調査・設計が行われ、2026年度に埋め立て・造成工事着工の予定だ。
各施設の整備は2032年度以降の着工を目指すとされており、施設が完成するのは、しばらく先となる見通し。
沿岸エリアの埋め立てを前提とした市街地開発というのはあまり例がない。
大洲市の計画は、海に面した地方都市の都市開発として今後モデルケースになる可能性もあるだろう。今後の推移に注目していきたいところだ。
取材・文:
(はたそうへい)