大阪・茨木市の市民会館跡地で
整備が進められる複合施設「おにクル」とは?
大阪市と京都市の間に位置し、北摂のベッドタウンとして人気を博す大阪・茨木市は、2023年11月の開館に向け、「茨木市文化子育て複合施設(通称:おにクル)」の整備を進めている。
開発地は、2015年12月に閉館した元市民会館やその周辺を含めた市民会館跡地エリア。西側のJR京都線「茨木」駅と東側の阪急京都線「茨木市」駅からともに約600m、徒歩約10分の場所にある。
この両駅間にある中心市街地で、「おにクル」をきっかけとした人の回遊性・滞在・交流・活動を生み出すのが茨木市の狙いだ。
「おにクル」のキーコンセプトは「育てる広場」で、行政だけでなく地元住民も交え、ともに作り上げていく。7階建ての新施設には、約1,200席を設ける大ホールや子育て支援拠点、図書館、プラネタリウム、子どもの屋内遊び場などが入り、芝生広場も併設される予定だ。
目玉のひとつになると見られるプラネタリウムの席数は60席で、通常の上映に加え、ミニコンサートなどの活用方法も検討。他にも科学ギャラリーが設置される計画のため、子どもから大人まで、宇宙について楽しみながら学べる施設になることが期待されている。
図書館のコンセプトは「Book Park」。さまざまな人が気軽に訪れ過ごすことができる、公園にいるような開放的な空間を目指すという。図書館のメインフロアは5階と6階だが、2階から7階までは本やCDを置く計画で、その資料総数は約10万冊。図書館フロアの座席だけでなく、各フロアのテラスでも読書ができるようだ。
キャッチーで呼びやすい「おにクル」という愛称は、公募と市民投票により決定した。この愛称を命名したのは当時6歳の男の子。市内にある鬼のいばらき童子の像を見て、「怖い鬼ですら、楽しそうで来たくなる場所」という意味が込められている。
2段階に分けられる整備の進捗と
現在の活用状況
この計画は大きく2段階に分かれており、第1期整備では2023年11月の開館に向けて新施設の建築工事を行う。その後、第2期工事として北側の福祉文化会館を解体し、北側全体を再度公園として整備するという。
市が公表している整備の進捗では、現在第1期整備を実施中。2022年10月時点で5階に柱が立ち、「縦の道」と呼ばれる1階から7階までの吹き抜けも、現在6階にまで達しているようだ。
第2期工事が予定されている北側の敷地では、2020年秋から2024年度までの期間限定広場として「IBALAB@広場」が設けられ、ボール遊びやピクニックはもちろん、コンサートやマルシェといったイベントで幅広く活用されている。
さまざまなプレ事業が
本開発への期待をより一層高める
現在、2023年の新施設開館に向けた市民の期待感向上を目的に、建設中である「おにクル」の現場見学など、さまざまなプレ事業が随時実施されている。
プレ事業のコンセプトは、過去と未来を途切れさせることなく、人や活動を育み、新たな場を生み出すことを目的とした「つむぐ。おる。」。子育てと図書館をかけ合わせた取り組みのように、開館後に「おにクル」で実施されそうな異なる機能の連携事業など、「おにクル」らしい企画を今後も進めるという。
これまでうまく活かされていなかった土地で、急速な盛り上がりを見せるこの計画。これからも随時発表されるプレ事業などを中心に、今後の動きにも引き続き注目したい。
健美家編集部