テーマは環境保全とコミュニティ
東京ガスグループは今年の2月に2023-2025中期経営計画を発表し、計画の中でESG型不動産開発を推進する方針を示している。
その具体的な取り組み内容は、東京都江東区の新豊洲で自社主導の都市開発に着手するほか、オーストラリアでESG型の開発案件に参画することなどだ。
これまで新豊洲で進めてきた開発については、グループ会社の東京ガス不動産がウェブサイトでその内容を示している。
東京ガス不動産のウェブサイトによると、同社は豊洲埠頭に約18ヘクタールの土地を所有しており、今後その土地が開発対象になると考えられる。
東京ガス不動産が所有している土地の範囲は以下の図の通り。
※引用:東京ガス
豊洲駅より西側では、豊洲市場と南東のエリアを除くと、ほぼ東京ガス不動産の土地になると考えて良さそうだ。
区域1とされているエリアには、東急不動産がタワーマンションのブランズタワー豊洲を建設している。区域3についても、住友不動産などがタワーマンションを建設済だ。
※引用:東急不動産
区域2については、住宅展示場・バーベキューなどができるアウトドアパーク・フットサルコート・ライブハウスなどが建っている。
区域4のエリアに建っているのは、がん患者相談支援施設や子ども向けのスクール、ランニングスタジアムなどだ。
また、区域8は「豊洲ぐるり公園」という公園になっており、こちらも区域2と同様にバーベキューなどを楽しめるようになっている。
東京ガス不動産が豊洲の開発に当たって掲げているコンセプトは3つある。1つ目はガス発電を中心に据えたエネルギーネットワークの構築だ。省エネと二酸化炭素排出量の抑制を目指す。
これは、日本でインフラ産業の中核を担う東京ガスグループらしいコンセプトと言えるだろう。
2つ目は都市の利便性と自然景観の両立を目指した「グリーンクロス」。ESG型の開発というだけあって、環境配慮の方向性が色濃く表れているコンセプトだ。
3つ目のコンセプトは、スポーツとアートをテーマとしたコミュニティづくりとなっている。ランニングスタジアム・フットサルコート・公園などが配置されている背景には、このコンセプトがあるというわけだ。
2025年から開発に着手の予定
ここまで解説してきた内容は、全て東京ガスグループが豊洲で既に行ってきた開発についてものだ。
一方で、前述した東京ガスグループ中期経営計画の中には、2025年の到達点として「新豊洲における大規模開発に着手」と記載されている。
※引用:東京ガス
現時点で読み取れるのは、東京ガスグループが2年後から豊洲エリアの都市開発に着手するということだけだ。
ウェブサイトを見る限りでは、今後開発用地になり得る手つかずの土地は、東京ガス不動産が新豊洲周辺で所有する土地の中には見当たらない。
その一方で、これまで作られた施設の中には、住宅展示場・ランニングスタジアム・公園など、低コストで撤去できそうなものも多い。
恐らく、デベロッパーがタワーマンションを建てた区域1・区域3が新たに開発されることは無いだろう。その一方で、区域2と区域4については今後何かしらの開発が比較的容易な状況にある。
ちなみに、豊洲の隣町にある晴海フラッグは、2024年1月から入居が始まる予定だ。
晴海フラッグの状況が豊洲の都市開発に影響を与えることも考えられるだろう。ポジティブな影響によって、近隣エリアとの相乗効果が発揮されることを期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)