童話が元になり、童謡にもなった「ウサギとカメ」は示唆に富んだ話です。皆さん、ご存じかと思いますが、「奢りと怠慢は地道な努力に負けてしまう」というメッセージを投げかけてくれています。
現在N局で放映中の「どうする家康」では、幼少から中盤までの弱くて臆病な主人公が、ライバルたちから「白兎」と蔑称されていました。面白い表現です。
ドラマはだんだんと話が面白くなり、毎週楽しみに視聴しています。実は、オイラは「信長・秀吉・家康」の三人の天下取りの戦国武将の中ではダントツで家康さん贔屓なのです。
家康さんは、オイラの人生において苦しかった漁業経営時代から不動産経営が上手く行かなかった最初の15年間くらいの時代に、オイラの心を支えてくれた偉人の一人です。
人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。
おのれを責めて人をせむるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。
これらは家康さんの言葉です。恐らく知らない人はいないであろう有名な一節ですが、オイラがこの一節を知ったのは恥ずかしながら30歳を過ぎた頃でした。
父親が茶の間の壁に貼ったカレンダーなのか、旅行先のお土産でもらった暖簾か何かだったのか、ハッキリとは覚えていませんが、幼少期から何度も目にしていたような気がします。
それが家康さんの遺訓であり、物凄い力を持ったものだと認識したのは自分が本当に苦しい思いをした時でした。それまではノホホンとして、人生についても仕事についても真剣に生きて来なかったのでしょう。
いま、若い人たちで、自分の仕事や将来について真剣に考え行動している人たちを多く目にします。自分の若い頃を思い返すと赤面の至りで恥ずかしい限りです。
ともあれ、30歳を過ぎてからはこの遺訓を心に刻み、失敗に直面した時や先が見えないような時など、何度も思い出して乗り越えてきました。直近では3年前、コロナの影響で宿泊事業で失敗した時がそうでした。
この遺訓は後世になって家康さんの生き方を称して誰かが作ったもので、家康さん自身が残したものではないという説もありますが、これらの言葉がオイラの心の拠り所になったという事実に変わりはありません。
皆さんにも心の拠り所となるものがあると思いますが、それはどんなものでしょうか?
■大家さんと投資家のバランス
さて、前置きが長くなりました。先日のことです。若い不動産投資家さんに次のような話をしました。
「大家さんと投資家というものは似て非なるもので、それは車の両輪のようなものである。両輪をバランスよく合わせてパラレルすることで中心に座るのが不動産投資家である」というような内容です。
簡単に言えば、大家さんの仕事は入居者の事を考える事が第一で、投資家の仕事はもう一つの目で経営判断をする事といえるかと思います。そして両方をバランスよく采配できるのが不動産投資家だとオイラは考えています。
順番としては、不動産賃貸業を通じて投資に行く人もいれば、投資的観点から不動産賃貸業に入ってくる人もいます。自分で書いていても、曖昧で分かりにくいように感じます。補足的な意味で次の事柄を書き加えます。
これは一般論として管理会社からよく聞く話ですが、「賃貸不動産オーナーいわゆる大家さんはケチな人が多い」と酒席でよく話題になります。
例としては長年住んだ部屋の退去後のリフォームで、居間と寝室のクロスの両方が汚れていた場合、汚れのひどい居間だけを張り替えして、寝室はそのままにして募集をするような人が多いそうです。
もう一部屋分の2万~4万円の追加工事をケチる訳ですね。しかし、リビングとベットルームのクロスが明らかに経年劣化が違う、そんなチグハグな部屋に自分なら入居したいでしょうか?
(以前視察した宮古島の物件は、クロスの張り替えなどしないでも退去前に入居者が決まると聞きましたが、それは例外でしょう)
また、管理会社に自分がネットで購入した照明器具などをタダで取り付けさせるようなことも珍しくないとか(かく言うオイラも過去、極東に住んでいる時にはお願いしたことがありますが…汗)
他にも、相場よりも明らかに高い家賃で募集を指示していて空室が決まらないと管理会社へクレームを入れたり、広告費を相場よりもケチっているのに空室が決まらないと管理会社へクレームを入れたり…。
月々わずか数千円の管理費で、管理会社へなんでもさせようとするオーナーがけっこういるそうです。
考えてもみてください。一回、物件を見に現地に行くとしたら、ガソリンや高速代等がかかります。それにプラスして、管理担当の時間給を換算すると往復1~2時間としても合わせると数千円以上です。
本来ならこんなことに管理会社の時間を使ってもらうのではなく、リーシング調査や自分の物件の営業に時間を割いてもらうことの方がはるかに重要です。
そうして、管理会社と共同協調作業で入居率を上げていくことや、きっちりとリフォームをして家賃を下げなくても満足して入居してもらえる部屋を提供することが、大家さんの仕事だと考えています。
では、投資家としての仕事というのはどういうものなのでしょう。
利益を上げるためには、一番リターンの高い適切なタイミングで物件を売却したり、売却益を次のよりよい投資へ適切なタイミングで投下するといった判断が必要です。こうした知識や判断力は投資家として必須です。
物件価値を高めるための追加投資をどのタイミングで行うかも、どちらかと言えば投資家としての観点で判断するべきでしょう。(当然、物件の瑕疵や洪水、震災などで物件に危険があり人命優先する場合は、なににも変えて即対応しなければなりません)
その為には、税理士、不動産仲介業者、管理会社、保険代理店、弁護士さんなど所謂自分のチームの力を引き出すための対人能力も必要になってきます。
それに加えて、自分のチームのエキスパートたちに、何をどう質問すれば自分の知りたいことを引き出せるかという質問力も求められます。大家よりも高い視座が求められるといえそうです。
本コラムを読んでくれている方たちはきっと前向きに賃貸経営をしているはずですから、管理会社から「ケチなオーナー」と陰で言われることはないと思います笑。
しかし、これだけ不動産投資というものが一般的になった今でも、大多数の不動産オーナーは「ケチ」と言われる部類に属するようなので、我々は時に、我が身を振り返ることが必要かもしれません(苦笑)
これは別に、「気前よくお金を使え」という話ではありません。管理会社にどんな事に優先的に取り組んでほしいかを明確にして、その為にやるべきことはやるというメリハリの問題です。
オイラの第一優先は「良い入居者の確保」で、「獲得した入居者の満足度を維持すること」がそれに続きます。そのためにはクレーム対応を管理会社に任せ放しにせずに、共に問題を解決する姿勢が必要だと感じています。
良い投資家としての視点を持ちつつ、良い大家として目の前の仕事に取り組むことが大切です。バランスを取りつつ、管理会社と協力して成果を上げていってほしいと思います。オイラもがんばります笑。
■9月2日の極東船長プレゼンツセミナーのお知らせ
最後にお知らせです。今年最後の極東船長プレゼンツセミナーを近々の9月2日(土曜日)に開催します。まだチケットは残っていますので、お時間のある方はぜひ参加してみてください。
セミナー講師は、道東在住のプーケット大家sakuさんと神奈川出身の5050さんです。
詳細:お申込み⇒コチラ
今回も健美家パートナーセミナーとなります。このセミナーが終わると北海道の短い夏は終わり、実りおおい秋に季節は変わるでしょう。会場で皆さんのお顔を見れることを楽しみにしています。