皆さん、こんにちは。満室研究所所長の山岡清利です。
冬になると北国の大家さんは、雪庇(せっぴ)に悩まされることになります。アパートに行って上を見上げて雪庇があると、めちゃめちゃ怖いです。
万一、敷地外に落下して隣家や通行人、駐車車両などに被害を与えてしまった場合、賠償責任が発生しますから、大家としては、しっかりと落雪・落氷への対策をしないと超リスキーです。
念のため説明すると、「落雪」や「落氷」は、建物の屋上に降り積もった雪の塊が、風の影響を受けて屋上笠木にひさしのように張り出し、このひさし部分(雪庇)がくずれて落下することで発生します。
知らない方はモフモフフカフカの雪のイメージかもしれませんが、実際はほぼカチコチの氷の塊です!毎年、道内では雪庇や雪の落下で死亡事故も出るほどの超危険なものなのです!
その雪庇に悩まされている大家さんの相談を受けて、私は過去のコラムで「こんな対策を講じました!」という報告をしました。
参照:140話:この手があったか!雪庇落下から室外機を守る方法
参照:141話:雪庇対策(落雪)として屋上にルーフヒーター設置。その工程とコスト
それから2回、冬を越しましたので、今回のコラムでは、過去コラムで紹介した「雪害対策の効果」について、写真付きで発表させていただきます。
■アパートで行った低コストでできる2つの落雪対策
1、屋上ルーフヒーターの設置
この屋上ルーフヒーターは、屋上の笠木部分や軒先に電熱線シートを接着し、雪庇やつららを笠木部分で溶かして雪庇の成長を止めるというものです。
つまり、雪庇ができる前に溶かすというシンプルな仕組みです。(サーモスタットを仕込むと、設定気温で自動的にON/OFFが切り替わるので、電気代の削減になります)。
ヒーターは2系統2本仕様で、使用月の電気代は1万円ほど増えます。ただ、札幌の場合、稼働は12月から3月末の約4か月なので、1シーズン「1万円x4か月=約4万円」です。事故防止費用としては格安だと思います。
詳しい内容は下記コラムをお読みください。
参照:141話:雪庇対策(落雪)として屋上にルーフヒーター設置。その工程とコスト
2、雪庇落下対策櫓設置
写真の巨大雪庇の下に、8台もの室外機が並んでいます。これが落ちてきたらどうなるかは、容易に予想できますね(;´Д`)
はい、落雪一発でこうなりました(涙)
北海道の物件って、数年前までエアコンの設置が想定されていなかったんです。最近の猛暑で後付けでの設置が増えましたが、想定外なので壁にむき出しで付けることになります。そして、誰もこの上に雪庇が形成される事を予想できない(しない)のです。
この物件の場合、隣の物件と間隔が狭いのとコスト削減を優先したかったので、「落雪があっても壊れないようにすればいいじゃん」と良い意味で割りきり、力技で対策を講じました(爆)
上の写真のように、雪庇が形成される壁面の下に櫓(やぐら)を組み、室外機にぶつらないようにしたのです。仕組みは簡単で、ホームセンターで販売されている単管を櫓状に組み、天井部分に足場板を置くだけ。
強度があるのに比較的簡単な工事で済むので、物件敷地内にどのようにでも設置できる自由度の高さが強みです。ただ、見た目はカッコ悪いので、目立たない面に組みましょう。
詳しい内容は下記コラムをお読みください。
参照:140話:この手があったか!雪庇落下から室外機を守る方法
■実際に雪害を防ぐことはできたのか?
まず、屋上ルーフヒーターを設置する前は巨大な雪庇ができていた場所ですが、ルーフヒーターを設置してからは全く雪庇ができなくなりました。嬉しいことに、入居者様からも大好評!
以前は雪庇が集合ポストの上や物件出入口の上に張り出していたので、「郵便物を回収している時に、落ちてきたらどうしよう」と怖かったそうです。ルーフヒーターを設置後は安心して回収や出入りができるようになったと喜ばれました。
以前は大学の新入学生がご両親と内見される際に、親御さんから雪庇の危険性を指摘されたこともありましたが、設置後はそうした心配もなくなり、入居詰付けもしやすくなりました。
もう一方の雪庇対策で櫓を組んだ物件の方も、効果はバッチリ。
ご覧ください。以前は室外機に雪庇が直撃して、壁から引きちぎられてしまったこのアパートですが、櫓を組んでから2シーズンは、雪庇が落下しても室外機は無傷。もちろん防御の要の櫓はびくともしていません!
■まとめ-保険があるからと油断するのはキケン!-
いかがでしたでしょうか?
雪庇落下で死亡事故!手塩にかけたアパートが一瞬で事故物件になるなんて、想像もしたくないですよね。
今回、「雪庇ができないようにする予防対策」と「雪庇の落下を想定した防御策」を講じたところ、2つとも100%の効果を発揮していることが確認できました。退去防止にも役立っていると感じます。
ココまで読んで、「うちは物件に賠償保険を掛けているから大丈夫」と思った大家さん、人の命がかかっていますよ。事故が起きてからでは遅いのです。所有物件の冬季の様子を把握し、危険な箇所は適切に対策を施しましょう。
「うちのアパートは、人が通る場所には雪庇ができないし、もし室外機が壊れても火災保険に加入しているから、全然大丈夫」という大家さんも、油断は禁物です。何度も同じ事故を保険会社が補償すると思いますか?火災保険はどんどん厳しくなっていますよ。
以上、雪国の不動産投資には避けては通れない2つの雪害対策の実績効果を報告させていただきました。
私のコラム第136話「雪国のエアコン室外機設置場所ノウハウ」も参考になると思いますので、北国に物件をお持ちの大家さんは、ぜひ合わせてご覧ください。
皆さんの不動産投資の参考になれば幸いです。
次回もお楽しみに~(^^)/